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2024京都大学入試問題二次試験 化学 解答解説

京都大学2024化学の解答解説です。
怪しいところがあれば教えてください。

問題はこちらなどを参考にしてください



【Ⅰ】(a)1結晶格子


図なしで六方はちときつい

聞いていることは比較的オーソドックスな結晶格子なのだが、通常掲載されている六方最密充填の図がないので想像しにくい。層状の重なり方や、隙間の場所などもなかなかただでさえ把握しにくいのでしっかり立体的に理解しておく必要があった。

【Ⅰ】(a)3隙間(b)気体・吸着

体心にしては難しめ。吸着この辺はとりたい

体心立方は比較的考えやすい…と思ったらこの格子の隙間を考えることは多くなく、想像しにくい。

吸着の問題は話題としてはドキッとするがまだ簡単。この辺では点を取りたい。


【Ⅰ】(b)5気体【Ⅱ】ヘンリー

Ⅱは読まないと意味わからん

(b)後半は少し計算が面倒だがそれでも取りたいところ。

【Ⅱ】は目新しい話題かもしれないがじっくり読んでいると時間が切れる。その辺の塩梅が難しい。少しでも似たような話(液体を噴霧して気体を回収するような話)を知っているだけでも大分違う。


【Ⅱ】2速度

よく読めば聞いていることは難しくないが…

速度含め様々な話題に質問が及んでいて、柔軟に読んでいく必要がある。特に吸収の粒径や表面積の関係などは類似の問題に経験がないと難しい。

速度のグラフは条件設定がどちらとも読めるので、いまのところ両方正解なのではないかと…

【Ⅱ】後半 ヘンリー定数、pH

ヘンリー定数の使いどころが問題

吸収前後の問題は前フリがあるのでなんとか。
全Aを求める問題は、すべてのAの状況・物質量を反映する必要があるため、平衡状態でどうなっているかをちゃんとイメージしておく。(とはいえこれも難関大を考えている人は似たような問題に接触しているはず。)

【Ⅲ】a有機構造決定(鎖式)

C₅H₁₀Oは結構色々あるので全部考えると大変

話題としてはよくあるC₅H₁₀Oだが、条件絞らずに全部考えるのは結構大変。ある程度絞ってからスタートしたい。

反応のステップも結構あるので、問題用紙の空白箇所などを広く使って凡ミスがないように考えていきたいしこの辺で落とすともったいない。

【Ⅲ】aつづき、環状エーテルなど

脱水したりくっついたり忙しい

炭素が等価か?という話題は最近の共テ関係の模試などでも頻出になってきている。見分けられるようにしたいが、結局構造を書き上げないと予想もしづらいのでなかなか手間取る。

後半は環状構造を考えていくことになるが、問題リード文に環状構造が登場しているのでその辺をヒントに早めに思いつきたい。

【Ⅲ】b3~5有機化合物の立体構造

さてはアンチだなオメー

序盤はともかく、後半はアルケンへのアンチ付加(はさんじゃうぞ)が登場している。文中で説明があり最近は頻出でもあるが、立体が苦手な人は早めに克服しておきたい。

【Ⅲ】b6、7立体構造の回転【Ⅳ】環状ペプチド


立体を回せるか?

【Ⅲ】の最後は立体をぐるぐる回せるかが勝負。分子模型などでぜひ練習しておきたい。
【Ⅳ】序盤は簡単じゃんと飛びつけばすぐ間違う。数学で円順列みたいなのをきちっとやってるはずなので大丈夫かとは思うが…

【Ⅳ】後半 逆滴定

この辺でとっておかないときつい

逆滴定など基本的な話題が続く。モル比など見間違えないようにここらへんで確実にとっておきたい。

最後のアミノ酸は「オルニチン」。聞いたことあるかもしれないが覚えなくてOK


【Ⅳ】bアミノ酸並べ、ニンヒドリン反応

プロリンとXの扱いが微妙

普通のアミノ酸推測と思えば、ニンヒドリン反応陰性という聞きなれないケースがでてくる。これがプロリンのN絡みだと推測できれば1ステップ進めるが…さらにX(オルニチン)の側鎖も考慮する必要がありそう。(とはいえ、側鎖のアミノ基NH₂のニンヒドリン反応はあまり顕著ではないという説もありちょっと審議な感じもある)が、それで推測するしかないかなという感じ。詳しいニンヒドリン反応については覚える必要ないが、「アミノ基が必要」というのと「ニンヒドリン2分子消費」というのは知っていてもいいかもしれない。

【全体として】

確実にとるべき問題も多いが、いかんせん読ませてくるのでそこにたどり着くまでが遠いものも多い。難関向けの問題をしっかりこなしたり、教科書のコラムや化学的なニュースなども目を通しておいて「センス」を磨いておく必要もありそう(結晶の想像力、速度や平衡・吸着がらみの様子、分子の組み立てや回転)

計算スピードは当然だが、記述はそんなに多くなく、むしろ読解スピードや正確性勝負になってきているのでそのあたりの対策をしっかりしよう。