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2024東京工業大学入試問題二次試験 化学 解答解説

東京工業大学2024化学の解答解説です。
怪しいところがあれば教えてください。

問題はこちらなどを参考にしてください



【Ⅰ】1周期表 2金属

ここは確実に取りたい

周期表の問題は「5周期」に一瞬ビビるが「全部気体」なので大したことはない。金属も標準的

【Ⅰ】3 電気分解

情報量おおめ

やることは標準的だが情報量が多め。A,Bを序盤「仮定」して進めるしかないため、外れルートに行くとタイムロスが生じてしまう。地味だが2価、1価、電子のmol等を数え間違えないようにしよう。

【Ⅰ】4 電離平衡・加水分解定数

実際はかなり教科書通り

かなり教科書通りの展開のため、確実に早く取りたい問題。cαやchを暗記していた人もそれでいいが、やり方さえ分かっていれば必須ではない。現役生も、自身の確認として最適な問題だ。

【Ⅰ】5結晶格子【Ⅱ】6いろいろ

うまくやらないと時間かかる

5の結晶格子は、「充填率が同じ」をしっかり意味まで把握していればはやいが、そこがあいまいだと六方の体積を求めるためc(高さ)を計算しに行く流れを問1からやらないといけない。もちろん、正四面体の高さが求められなければ論外だが…

6はなにやらいろいろ。とはいえ選択肢5の気体が答えにくい。直感で行くには少し怖さもあるので、たとえば論理的に解いていくなら図のような感じになる。

【Ⅱ】7反応速度 8反応熱(エンタルピー)

8は少し煩雑に見える

7は、やっていることは標準的。ただし「生成速度」「分解速度」を一部混在させて聞いてきているのでよく読む必要がある。

8は、こうやって書き出してみるとすぐわかるが、読みながら整理していく必要がある。手を抜くと係数比あたりでミスりそう。式変形で処理していくほうがこの問題は解きやすいか?エネルギー図もできるけど、図で進めて2/3が思いつくには慣れが必要かも。

【Ⅱ】9凝固点降下・浸透圧 10燃焼・圧力

手間がかかるゾーン

9は2種類混ざっていることに一瞬戸惑うが、MgCl₂が膜を通過できることからiの「凝固点降下」は膜を気にせず(Aとは関係なく全体に広がっている)、iiの「浸透圧」ではAのみ考えて(MgCl₂は両方にあるということは浸透圧差に影響しない)いいということになる。RTが与えられているのはありがたいね。

10が一見意味わからん問題でとっつきにくい。とはいえ、物質量が割とすぐ求まる部分があるので、めんどくさがらずに係数としっかり追いかければx,y,zの関係が出てくる。それを利用して圧力を求めていけばなんとかなるぞ。

【Ⅲ】11脂肪族

これは基本的

11は基本的。しかし、手を抜かずちゃんと書き出さないと数え漏れがあるかも。

【Ⅲ】12芳香族

見慣れない物質だが…

序盤手掛かりが少なめだが、サリチル酸が大きめのカギ。3価カルボン酸も決定打にかけるが「最小構成と仮定して話を進めてみる」のは手。もしそれでうまくいかない場合、後から調整すればいい。入試問題は足踏みしている時間がもったいないわけだから、多少手がかりが少なくても進んでいくのは悪い方法ではないぞ。不斉炭素の数え方などは、油脂の問題にも若干似ていた。

【Ⅲ】13糖類 14タンパク質

タンパク質は基礎確認

13は、Bがスクロースなので還元性がないことに注意。フェーリング反応の詳細な係数比まではなかなか把握していないかもしれないが考え方は図のような感じ。生成する酸化銅(I)と同molのアルデヒド基が反応する
14は、ジスルフィド結合がちょっとだけ考えにくいけど落ち着いて。

【Ⅲ】15有機ラスボス

東工大の最後に登場しがちなラスボス

まずはあてずっぽうで予想して進めていくしかない。そうすると、不斉がらみで矛盾が出てきて解答不能になる。しかし、不斉を減らしながら条件を達成するには…と考えると「対称性を上げる」配置を検討する必要が出てくる。というわけで答えにたどり着くことができる。構造決定のいろいろな問題にあたって「センス」を磨いていきたい問題だ。


【全体として】

東工大のイメージにある「かなり答えにくい選択問題」「計算が劇的難しい」というのは多くなかった。とはいえ文章を読んで必要な情報を引っ張り出して整理する場面はかなり多く、正確かつ速度が必要なことには変わりない。語句なども正確な意味把握に心がけよう。