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牛久大仏は果てしなかった。
※過去ブログから2017年7月27日の記事を移したものです
面接の質疑応答タイム。企業の説明会。
「学生のうちになにをしたらいいですか?」という、
大学四年生になって最後にあがこうとしている人の質問には大抵、
「たくさん遊んどいてください」などという答えが返ってくる。
今年に入って何度も聞いた。
「大学生のうちにたくさん遊んでおいた方がいいよ!」
この、「遊ぶ」というのは一体なんなのだろう。
小学生のときは鬼ごっことか、畳でスイミングとか、そういうの楽しかったな。
中学生のときは「今日遊ぼ~」って言ったら、誰かの家でゲームするか、漫画を読んでた。
高校生になってからは、学校帰りにカラオケとか本屋に行くっていうのが、程よかった。
でも、"大学生"の遊びって、分からない。
なにしときゃ大人になってから「学生のときは遊んだナァ~」とかほざけるのか。
ほざきたいので、考えた。
BBQとウノしか浮かばなかった。
悲しかった。
だって私は、「#BBQ #恒例 」という集合写真に、トングを持って笑いながら写っているような人に、
どうしたらそんな機会が訪れるのかと教えを請いたいくらいBBQとは無縁だからだ。
ウノは別に……やりたきゃやればいい。
週末に、まるっと空いた休日が待ちうけていた。
遊ばなきゃ、遊ばなきゃと色々考えて、
牛久大仏を見に行くことにした。
「遊び」は結局分からないが、どこか遠くに行って散歩でもしよう。
ネットで色々見てたら、牛久大仏というワードが出てきた。
そういえばずっと見たいと思ってたけど、見たことないな!
腰抜かすぐらい、ものすごく大きいということだけ知っている。
調べると、上野駅から牛久駅まで一時間ぐらいで行ける。
牛久駅から牛久大仏までの行き方はよく分かんないけど、
とうきょうスカイツリー駅からスカイツリーまでみたいな感じかな?
そして、なにもない日曜日、一人で上野駅へやって来た。
熱海とか箱根に行きそうな人で溢れている。
その人たちに混じって普段あまり乗らない電車を目指すだけで、
旅行に出発するんだ!という気持ちを味わうことができた。ワクワクだ。
でも、牛久に行く人はいないのか、
常磐線土浦行きのホームに上がるとぽつんとなった。
なんだよ、みんなで温泉浸かりに行っちゃって。
みんなで浸かったらお湯がザバザバ溢れて湯船がからっぽになるぞ。
いいのか?
人がいないホームに誰も乗っていない電車がやってくると、
「これで遠くに行くんだ」という感じがして胸がときめいた。
しかもこの向かい合わせの座席。旅っぽさが9割ぐらい増すよね。
他に乗客がいないので一人で贅沢に座って、ゆったり車窓からの景色を眺める。
上野なんてしょっちゅう来るはずなのに、もうすでに非日常。
私、これから知らない町へ行くんだ―――……
と、景色を目で追いながら思いを馳せていたら、
日暮里駅でジャンジャカ人が乗ってきて、
ボックス席に一人座る私を、三人家族が囲んだ。
車窓の外を見て「わ~すごい」と楽しそうに言葉を交わす家族。
勝手に、全く喋らない反抗期の長女のような位置付けになっている私。
こんなのは、いやだ!!!
申し訳なさと気まずさで思わず「スミマセン…」と立ち上がると、
「あっ!いいんですいいんです!」とお母さんが引き留めてくれたが、
普通の座席が空いてたので大人しく車窓に背を向けて座った。
図書館で借りてきた、小山 薫堂さんの『考えないヒント』という本を読みながらあれこれ考えていたら、
松戸や我孫子となんとなく知ってる駅に止まっては走り出し、やがて牛久駅に着いた。
「うしく」と書かれたパネルが斜めになっており、
ちょっとクイッとやれば直せるのではと思ったが、なんだかもったいないので放っておいた。
牛久へきたぞ!本当にきたぞ!
こういう顔ハメパネルは大好きなのだけれど、
一人だと写真が撮れないという悲しみがある。
笑顔で牛久大仏に突っ込んでいく運転手になりたかった。
真顔でワインをぶちまけるカッパになりたかった。
(牛久市にはシャトーカミヤという有名なワイン醸造施設があるらしい。)
心の中で、そっとハメた。
牛久浄苑に比べて牛久大仏が「ギャグだよ~ん!」みたいなフォントになっているけど、
これからここへ行くのだと思うと、とても楽しみになってくる鮮やかな看板だ。
ただ、春と秋の風景しか載っていない。夏はどうなのだろう。
早く会いたい、牛久大仏。写真じゃいまいち、大きさが掴めない。
駅の外に出ると、一気に牛久大仏の情報がなくなった。
静かで、広々としていて、いい駅前。
バスを待っている人が何人かいて、
「あのバス停から乗れば牛久大仏に行けるんだ」というのが分かった。
けど、この日の私は、歩くことをすごく楽しみにしていたのだった。
牛久市を歩いて散歩しながら色々なものを見つけてみたかった。
あらかじめ、駅から牛久大仏までタクシーで15分という情報だけ知っていたので、
歩いて50分ぐらいかな~と思っていた(よく分からない計算)。
グーグルマップで、徒歩のルートを調べる。
1時間44分?
アレ………?
牛久大仏、案外遠くに居るよ。
8.3キロか……。
歩けなくはない!歩けなくはないけど、
覚悟してた2倍ぐらいあってちょっと怖気づいてしまった。
あとこの地図、2つほど広そうなゴルフ場を平気で越えていってるけど大丈夫なの?
思わずバスを調べると、20分ほど待つようだった。
待つぐらいなら、歩き始めるか。
「歩いていたらだんだん見えてくる牛久大仏」。
私がどうしても見たい光景。
バスでいきなり牛久大仏に対面するよりも、
遠くに見えてきたときの牛久大仏の衝撃と、
ゆっくりと近付いていくというドキドキを味わってみたかった。
色々あって楽しそうだし、歩いてみよう。約2時間。
朝からなにも食べておらず、お腹もすいた。
途中で気になるお店があったら入ったりしちゃおう。
牛久大仏目指して、行くぞ!!!
行くぞ!!と言って歩き始めたら、まっすぐな道が、どこまでも続いていた。
消失点に向かってすべての景色がギューンとしている。
右にある赤い看板には「―お箸で食べる洋食―」と書かれており、
箸で食べやすいピラフとかがあるのかな?とさっそく気になるお店だった。
が、調べたら閉店していた。
ちなみに私はこんなことを言っているけど、
「気になるお店があったら入れる」ような人間じゃない。 スゲー緊張する。
注文の仕方が分からずに、無のテーブルで一時間過ごす妄想とかしてなかなか入れない。
小心者だ。日高屋で精いっぱいだ。
全体的に曇っていて直射日光からは逃れられたものの、ものすごく暑い!
途中にあったヨークベニマルを見て、中でガンガンにかかるクーラーの想像で気持ち良くなるほど。
途方もなく道が続いてるように見えて、思わず何度かバスを調べてしまう。
もしバテてしまったら、そこから一番近いバス停でバスを待てばいい。
でもこの地点ではまだ、駅まで戻ってバスに乗るのが最速ルートだった。
過去の自分へ。
その先、牛久大仏に行けるバス停はひとつもないよ!
この時点で11時半を少し過ぎていて、
順調に歩くと、牛久大仏に会えるのが13時過ぎになる。
しばらくすると、一軒家が立ち並ぶ道に入った。
牛久大仏を目指して来た人が観光気分で歩く道ではなさそうだけど、
のどかで、爽やかな気持ちだった。地図に沿って元気に歩く。
一人なのに写真撮ってるやんけと思われるかもしれませんが、
写りたがりなのでわざわざ小さな三脚を立てて撮っています。
タイマーなのに歩いてる風に撮っちゃって。恥ずかしいよ。ごめんなさい。
かっぱの可愛いマンホール。こういうの見つけると嬉しくなる!
大好きな『ぼくのなつやすみ』に入り込んでしまったかのような。
向こうから「ぼくく~ん!」っておじさんが走ってきて、夕食に連れていかれそうだ。
思わずスピーカーを探してしまったくらい、
あまりにもきれいな「ホーホケキョ」が何度も聞こえる。
歩くの自体は楽しいのだけど、ただひたすらに暑い。
暑いっていうより、ちゃんと文字にすると『アヅヴゥ~~イ!!』って感じ。
汗がだらだら出てくる。
スマホも発熱しまくっており、話を盛るが、肉を乗せたら焼けそうだった。
でもまだまだ全然、五分の一も歩いてない。
たまに見える送電塔を、牛久大仏の先っちょではないかと見間違える。早とちり。
グーグルマップが行けという道。
大丈夫なのか?
森だ。涼しい。
まさか牛久大仏への道で森林浴ができるとは。
涼しいが、耳元でずっとブンブン聞こえる。
歩いても歩いてもずっとブンブン聞こえる。
すごくこわい!!
力宿りし光る木みたいなのもある!
なにかが起こる!
すごくこわい!!!
マッハで駆け抜けた。
森の出口から離れて、振り返る。
「ナルニア国物語みたいだ」と思った。
あと1時間ちょっと、どんな道が続くのだろうと、少しだけ不安になった。
相変わらず送電塔と牛久大仏を見間違えては「見えた!?」と興奮しかける。
牛久大仏。
どうやって見え始めるのだろう。どんなに大きいのだろう。
人生の分かれ道に突然遭遇した人の気持ちが味わえる道。
あぁいう分かれ道で、グーグルマップに頼らずに進んでいけたらかっこいいんだけど、
めっちゃ頼って、大きめの通りに抜けた。
お腹がすいた。喉が渇いた。
でも食べ物屋さんも、自販機も見えない。
と思ったら、すごくよさげな定食屋さんがあった。
「名物 スタミナ豚どん」というポスターにかなり惹かれた。
「スタミナ」とつく丼ぶりはほぼ100%旨いと、前世から脳に刷り込まれている。
私は、夏休みにドカッと出てくる味の濃い肉の丼ぶりが好きなので、
おふくろの味という謳い文句にも頷けた。
と、よだれを垂らしながら店の正面に回ったら、準備中であった。
よだれの行き場がなくなった。
自販機がない道が、どこまでも続いている。
この道を延々と歩く。牛久大仏に会うために。
喉がからっからになって、ぶっ倒れそうだった。
実は、駅から少しのところに、
セブンアップやコーラやC.C.レモンが並ぶ自販機があったのを、
「なんかジャンキーだな~」と見送っていた。
いつもそうだ。
「あんま飲みたいの無いな~」とか言って自販機を見送る癖がある。
それで結局最後は、変な炭酸を買って「さっきの自販機にも売ってたよ」とか言われるのだ。
セブンアップが死ぬほど飲みたい。
あの自販機、今思えば神だったな。
スマホも発熱し続けて、まともな写真もあまり撮れなくなった。
グーグルマップでバスを調べても、「ひたち野うしく駅まで行って乗るしかないよ!」と言われる。
ひたち野うしく駅は遠かった。
川の方から吹く風が、一瞬すごく涼しくてびっくりする。
上野駅から一時間、ただ電車に乗ってただけで、
こんな景色に辿り着けるのかと不思議な気持ち。
まだ午後になったばかりで、
いつもはまだ寝ているかもしれない休日。
楽しいなぁと思った。
思えば今まで、スマホばっかり見て終わった一日や、
夕方に目覚めて夕飯だけ食べて寝た一日や、それから……
布団の上で腹をボリボリかく自分の姿ばかりが、走馬灯のように駆け巡る。
喉がかわいた。肌が赤い。死ぬのかもしれない。
と、そのときだった。
ア…!!!!!!!!!!!!
セブン・イレブンだ…………!!!!!!!!!!!!!
ワァア~~!!!と心の中で叫びながら入店し、
涼しいッヒッヒ~!と大興奮で店内を回りながら、
三ツ矢サイダーと、凍ったヨーグリーナと、
普段めったに買わない美味しい氷のやつを買った。
店内には人がたくさんいて、店員さんがものすごく優しくて、
人と触れ合うこと自体久しぶりに感じた私のエネルギーはとても回復した。
不安になった。
このセブンイレブンに出会えた感動を、
牛久大仏に出会ったときの感動は超えられるのだろうか……?
顔がやばい上に、肌が校庭の砂みたいな材質になってて申し訳ないが、
美味しい氷のやつに三ツ矢サイダーを入れて飲んでみて、
ウマ・・・ツメタイ・・・ということしか頭にないのでやばくて当然である。
これで、またしばらく元気に歩ける。
さっきの道路から横に延びる道に入ってしばらく歩くと、
「牛久大仏」と書かれた看板があった。
嬉しい!!!
良かった!合ってたんだ!!たどり着けるんだ!!
とはいえ、マップを見るとまだまだ遠い。
近くのゴルフ場で大きな大会がやっているらしく、人も増えてきた。
ゴルフ場の横の道を歩きながら、張られた青いネットの向こう側を見る。
あ・・・
れ・・・・・・
は、牛久大仏だーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
先っちょだけ!先っちょだけ見えちゃった!!!!
と、興奮を燃料に歩みを早めると、
またどこかに消えてしまった。
大きかった……幻のようだった……。
でも、まだかなり遠くにいるように見えた。どれだけ歩けば近付けるのか。
橋を渡ろうとすると、
クリスマスツリーのようなものを手に握る、
目の真っ青なサンタクロースがしっかりと立っていた。
めちゃめちゃ怖い。
「この先に行ってはならぬ…」と言いたげだけど、
眼下には蓮が一面に広がっていて、とても綺麗だった。
ふと遠くを見ると、牛久大仏が悠然と立っていた。
もっと「でっけぇーーー!!!」と驚くかと思ったが、
「いる…」っていう感じだ。
いる……。
いる…………!!
やがて、看板が道を教えてくれた。
危ない。この看板がなければ、
ずっと牛久大仏が右に見えていたので、バツ印の落とし穴だと思われる場所に向かっていただろう。
急がば回れの図式みたいだ。
近付けそうで、近付けない。
でも、もうすぐ会える。
正直めっちゃ疲れていたが、
ラストスパートだと思えば足も動く。
ワーッ。
背中側から、ぐんと近付いた。
鉄塔との遠近感が分からない。
でかい。でかいぞ!
ようやく。
もう、本当にようやく、
牛久浄苑にたどり着いた。
予定時間を大幅に越え、二時過ぎだった。
グーグルマップの予定時刻は、
元気よくずっと同じ速度で進むことの出来るロボットのような歩行じゃないとアテにならない。
さすがに、浮かれていた。
その証拠に、牛久大仏を手に乗せたみたいな写真を撮っている。
でかいものを見て感動しているのに、手に乗せて「ちっちゃーい」的なことをしているのは、
浮かれて思考回路があんまり回ってなかったからだろう。
入口。
来る前に牛久大仏のサイトを見て、中に入ってエレベーターで展望階に行けるというのは知っていたが、
胎内のエレベーター待ち0分という看板を見て
「思ってたよりテーマパーク!!!」と衝撃を受けた。
正直テンションは上がった。
入場+牛久大仏の中に入るチケットで、大人800円。
入ると、牛久大仏の顔ハメパネルや、顔の模型や、等身大の螺髪があり、
みんな記念撮影を楽しんでいた。
私は一人で、写真を撮ってくれる人もいないので、
螺髪をボーッと眺めながら「こんなに大きいのが頭についてるなんて想像できない」などとベタに感動していた。
牛久大仏へ続く道。
ここで、牛久大仏の中に入るチケットをなくしたことに気が付いた。
うそだろ……!
目前にして、こんな悲しいことがあるなんて!
牛久大仏を前にして、
「ひどいよ神様!」などと泣きそうになりながら来た道を戻り、探す。
あった。
入り口近くの記念スタンプ台に忘れて置いてあった。
そう、パンフレットに記念スタンプを押しているときに、チケットを傍らに置き、
パンフレットだけ満足してカバンに入れたのだ。
浮かれてんじゃねぇ。
牛久大仏のそばまで来た。
下から見上げる。
これ。
この光景を見たかったのだ。
大きい。大きいよ。
本当に見に来れた。牛久大仏。
ぽっと空いた休日に思い立って、会いに来ることができた。一人で。
いや、21歳にもなって「一人で来れた!」とか達成感を味わってるのもおかしいのか?
まだ子供なの。全然。
大きいな~としばらく眺める。
大きいな~以外には、顔が穏やかだな~とか、手がきれいだとか思った。
この御方の中に今から入るなんて。
どういうことなんだ。
~以下、牛久大仏ネタバレ注意~
なにも知らずに牛久大仏に入りたい人はシューーーってスクロールしてください!
牛久大仏の入口。想像より石だ。
「開くまでこちらでお待ちください」と書かれているので、靴を脱ぎ、
他の家族二組とじっと待つ。
どえらい楽しいところに来てしまったのではないか。
子供たちが素直に「おかあさん、いつあくの~?」とワクワクを声に出す中、
真顔で待つ私の心の中でも、激しくワクワクさんが踊っていた。
中になにがあるのだろう。
しばらく待つと、ガー―ッと扉があいた。
そして一緒に待っていた家族と共に入ると、また扉は閉まり、私たちだけになった。
中では係員が待っていた。
「明かりが消えます」
エッ?と思ってたら、真っ暗になった。
なんだこれは。最近話題になった某展覧会を思わせる。
子供が泣くんじゃないかと思ったが、案外楽しそうにはしゃいでいた。
これは現代の闇で…大仏様の心の光がどうこう……(うろ覚え)みたいなナレーションが静かに流れたが、
楽しそうな子供の声でたまにかき消された。
そして、奥の扉が開いた。
……?
な、な、なにこれーーー!?!?
めちゃめちゃサイバー空間だ。
「しゃ、写真撮って良いんですかこれは」と興奮しながら係の人に聞き、
「いいんですよ」と言われてパシャパシャ撮っている私をよそに、
他のお客さんは「へぇ~」みたいな感じでどんどん先に進んでいく。
なんで?「へぇ~」で済む?
「ホ、ホゲーーーー」ぐらい言いたくなるよ!言わないけど!
最新技術がすごいふんだんに使われてる。
異世界だ。
まさか牛久大仏の内部に、こんな世界が広がっていたなんて。
パーティー会場みたいだ。
二階に上がるとき、一階は蓮花(はす)の香りですというポスターを目にしたが、気付けなかった。
そもそも蓮花の香りを知らない。
無臭なのかもしれない。
二階についた。
入口にあったエレベーター待ち0分という看板は嘘だった。
すごく並んでいた。こんなに人いたんだってぐらい賑わっていた。
牛久大仏に関する年表や、季節の写真を見ながら、
テーマパークの行列のようにちょっとずつ進んでエレベーターに近付いていく。
数十分並んだ先には狭めのエレベーターがあり、
ぎゅうぎゅうになりながら大仏の展望階に向かって一気に上がっていった。
ここだ。ここに来たのだ。
「←現在地」って言われても、想像できない。
さっき見上げてた牛久大仏の胸元に、今、自分がいるらしいぞ。
本当に?
いまいち実感が分からないので、隙間から景色を見られるスペースに行ってみる。
本当だった。
いつの間にか、牛久大仏の胸元にいた。
高い。急に高いところに来た。
「スカイツリーが見えます」という案内がある隙間があったが、
みんな覗いては「見えねぇ」と言って諦めていた。
私も覗いた。
遠くまで見渡せる、空気の透き通った日だったが、見えなかった。
牛久大仏に限ってそんな……嘘を?
景色を堪能して、三階に行く。
一面、どこに行っても、金色。ピカピカ。きれいだ。(もはや感想がちゃんと浮かばない)
タマちゃんも慰めてくれている。
がんばろう。苦しいことも…人生。
私はこの牛久大仏を見て、そして中に入って、
「自分の悩みなんて小さいもんだな~」とか思いたかったんだけど、
むしろ逆で、なぜか自分の人生をすごく偉大だと感じた。
人生、悩みは尽きないよ。長いよ~、と。
なんでそう感じたのかは分からないし、
受け取るべきメッセージとして合ってるのか分からないけど!
写経を書けるゾーン。
原稿がはかどりそうないいゾーンだ。
写経は、お手本の用紙を購入し、
トレース台に載せて文字をなぞる。
正直よく意味も分からず、
身を粉に……とかなんかすごいことを書いた。
私はなにかを誓ってしまったのだろうか。
ほねを、くだかなきゃいけないのだろうか……?
でも、心が落ち着く気がした。
あと、なぞってるだけだけど字が上手く書けて気持ちがよかった。
色々な衝撃を受けすぎて、
頭がくらくらした状態で外に出る。
牛久大仏の爪切りを買うぐらい心酔してしまった。
予想外に楽しかった。ハッスルした。来れて本当に良かった。
動物と触れ合える場所もあり、
苑内では思ったよりもたっぷり時間を過ごせそうだ。
予想外のことだらけで、
なにも知らずに来てよかったなぁと思ったけど、
誰かと共有した過ぎてブログに書いてしまった……。
全部読んでくれて、まだ牛久大仏に行ったことのない方へ。
ある程度知ってても充分楽しめる場所だと思います。
書けなかったこともいっぱいあります。
生で見る牛久大仏の迫力は、写真じゃ伝えられません。
お時間あればぜひ……!
帰りはバスに乗った。
牛久大仏が、しばらく窓の外から見守ってくれていたけど、
やがてぐんぐんと離れていった。
あれだけへとへとになりながら歩いた道を、バスはあっという間に走り抜けてしまう。
あそこで汗だらだらかいてたなぁとか、
ちょっと迷ったなぁとか、今日の思い出が次々によみがえってくる。
バス、快適だなぁ……。
快適だけど、歩いて良かったなぁ……。
今日は、楽しかったな。
とか考えてたら寝ていて、すぐに駅に着いた。
駅前のファミマでこの日初めての食事、ファミチキを購入した。
結局わからなかったから、
家に帰って、『遊ぶ』の意味を辞書で調べた。
『子供や動物が、好きなことをして時間を過ごす。
また、大人が仕事をせずに、好きなことをしたり、無為に過ごしたりする。酒色にふけるのにもいう。』
大人たちは、「大学生のうちに好きなことをしとけよ」と言っていたのだ。
私はちゃんと遊んでいたのだ。
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