女ともだちの文通 4


沙也加

ずいぶん肌寒くなってきたけど元気にしてるかい。
さて、誕生日のお手紙ありがとうね。
プレゼントは毎日首長くして待っているよ。
ひとまずお礼をと思ってね。
そしてひと足早くメリークリスマス。
気が早いかな。でも楽しいことは前々から祝っておくべきだって言うでしょう?言わないかな?
まあまあ、とにかく素敵なホリデー・シーズンだね。
どんな風にすごすのかな。美味しいものを食べるのかな。愛する人とゆっくりできますように。
またしっかり腰を据えてお手紙書きたいと思っています。最近は物を書くよりも読む方が捗っています。カーソン・マッカラーズの "心は孤独な狩人" 読みました。
みずみずしく深い傷のある人々の物語です。
映画もよく見ているよ。"テネット" とか "博士と狂人" とかは映画館で見ました。どちらも圧巻でした…。
ではでは。またすぐ。
Happy Holiday ♡

M


M

クリスマスはどんな風に過ごすの?
おいしいものをたべるのかな?
という会話の展開はあなたらしいと思いました。
今年はあまり秋らしいものは食べなかったような気がします。
彼が地元から持ち帰ってくれたりんごくらいでしょうか。
蜜がたっぷりでおいしかったです。
冬は冬らしいものを食べたいものです。
ひとまず、温かい飲み物をと思い、同封しています。
職場に個人カフェのオーナーが来店し、担当したことがあったので、一度行きたいと思い、そこで手に入れたのでした。
テネットと同じ監督作のインターステラーを最近みました。知人に勧められてですが、深い作品でした。
理論的なことはいささか(だいぶ)わかりにくかったのですが、愛というアナログかつ身近で親しみやすいテーマがあったので楽しめました。
それでも愛を、理解したわけではありません。
相変わらず彼を愛しているのかそうでないのか、愛していけるかいけないのか、愛していたのかいなかったのか、明確な答えはありません。
価値観が、やはり違うみたいです。
大きくけんかもしています。
でもわたしは別れを選ばないのです。
彼はわたしのことが好きで、別れたくないと言ってくれます。わたしも彼のことは好きです。
価値観が違うわたしを無条件に愛してくれる彼に不安を覚えるわたしは、わがままでしょうか…
というのも、去年のちょうど今頃は、前の彼と突然お別れした時期でした。
愛に不安を抱かせるには充分だったと思います。
あなたは前回みずみずしく深い傷という表現も使っていました。
傷というネガティブなものにみずみずしいというポジティブなイメージをつけると、不思議な感覚です。
今は全く違う生活に驚かされ、みずみずしい傷はわたしを不思議な気持ちにさせます。
そして気付きます。
また過去に生きていることに。
この前彼とけんかした時はその話になりました。
俺は沙也加ちゃんの前の男を知らないけど、できることなら一番初めの彼氏になりたかったよ、と。
ああ、この人はやっぱり今を生きているんだ、と嬉しかったです。
今を生きることを教えてくれたのは紛れもなく彼です。今を生きるにはあまりにも傷を負いすぎましたが、わたしは間違いなく今を生きています。
彼と共にいるなら、わたしは今を生きる人にならなければいけないのでしょう。
ところで、とってつけたようになりますが、仕事はなんとかやっています。
少しずつ、お客さんがついてくれるようになりました。
またちょっとだけ比較をすると、前職ではとあるスタッフでしかなかったわたしは、だんだんと Kさん と呼ばれるようになりました。
正直、気持ちいいです。
結局のところ、ただのかまってちゃんでしかないのかもしれませんね。

年末年始のスケジュールはどうですか。
わたしは3ヶ日働くので初めて年越しを実家以外の場所で過ごします。
会えたら。
ご自愛ください。
Happy Holidays…⭐︎

p.s.
コーヒーは80℃ぐらいだと丁度いいみたいです!

沙也加

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