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地方の人材育成にリクルートのノウハウが適用できるのか? / コンサルタントにも2種類いる

仕事について、雑記を2本書きたいと思う。

・戦略家(コンサルタント)と戦術家(コンサルタント)について

リクルートの時は余り一緒に仕事したことは無かったけれど、地域で仕事をしていて「コンサルタント」の肩書きや経験をお持ちの方と仕事をする機会が増えた。
そこで凄く感じるのは、コンサルタントという定義の広さである。
たぶんコンサルティングというのは一般的に、ビジネスをより良くする提案をしてくれる、みたいな理解が多いと思う。
頭に「IT」とつけばインターネット系に強いし、「財務」とつけば会計関連に強いんだと思う。
いわゆる一流コンサルティングファームは東大や理系高学歴の人材なんかを獲得して育成し、事業会社はロイヤリティ(忠誠心)の高い人材を獲得して組織を作るけど、より高い思考力をコンサルティングファームから借りて企業経営の一部分を外注する仕組みで成り立っているっぽい。

その中で、同じコンサルタントと言っても、全く別のタイプの違う動きをしていることを発見したので書いてみる。「IT」とか「財務」とか専門分野の意味ではなくて、仕事の進め方の話である。

それは「戦略家」と「戦術家」である。

戦略とは、戦を略すと書くように、何をするか決めること、である。
イメージでいうと、漫画キングダムで昌平君が攻める場所を何個もシミュレーションして決めるとか、王翦が右と左と中央に軍を分けて右の飛信軍で突破するとか、そういうことである。
こういった方は、まず事実の正しい把握や分析を行って、無駄を省くことから始めて、次に複数案の新しい案を比較検討して実施することを決める。時には、無駄を省いたり、案を選ぶ時に否決する過程によって、強権的になりがちだが、その上で人材からの信頼を得て、前向きなチームを作れると超優秀である。

対して、戦術は、戦の術なので、やり方である。
例えば、キングダムで言うと、5人集まって壁を作るやつとか、軍の流れが変わったから人を再編成するとか、戦の大きな目的があってその上手いやり方を考えて作り上げる作業である。
こういった人は、業務プロセスから見直す。その中で戦術の豊富な知識の中から「こんなこともやるといい」「あんなやり方があるよ」みたいに紹介をしたり、具体的な手順を教えてくれたりする。
業務を教わる側からすると、具体的なテクニックを教えてくれるのでありがたいが、コスト観点が抜けていると未完了の業務をただ増やされるだけになる。戦術の積み上げになるので、効果が玉石混合してどれの意味があったのか分かりづらい。

結局、使う側の企業が、「戦略」を求めているのか「戦術」を求めているのか意識的になると良くて、結局は戦略も戦術も実行する人材/組織がないと意味がないので、どうやって実行までやり切れるか、考える必要がある。

振り返ると、姫路時代に大きく業績を伸ばしたのは、広告営業の裏にあるインターネット集客戦術コンサルタント業として評価を得たからだった。
SaaSや広告商品は、機能だけの価値ではなくて、担当営業やコールセンターの提供する、戦略支援や戦術支援や業務代行の価値を含めて売れていることが多いので、営業職は面白いし、自分もサービスを考えなきゃいけない。
ゲストハウスも、ベッドを売っているけど、サービスの価値は見知らぬ人との交流なのである。

・見立てる、仕立てる、動かす

画像はリクルートの時に教わった4つのスタンスと6つのスキルという育成に関する考え方が、ネットに落ちていたので拾った。リクルート内では有名なロクヨンと呼ばれているものである。

ぼくは、地方(後開発国)の人材育成が出来たらいいなーと思っているので、高利益商品があったり採用ブランドの高い一流企業に来る人材だけに通用するものではなくて、多くの一般企業に使える人材育成モデルは何かな?と考えて、サービスを作り上げたい気持ちで取り組んでいる。

4つのスタンスと6つのスキルで、覚えているのは、述べ8人目の上司に面談してもらった時に、この10項目の中で何が強みで何が課題と聞かれ、スタンスの中にある項目を選ぶと、「佐久間くんの年次や能力でスタンスがあるのは当たり前に評価しているよ。これからはスキルに注目して能力を高めよう」と言われたのである。
これを聞いたとき、ほんまや!と思って、スタンスというのは仕事に取り組む姿勢の話であって、新人からギリギリリーダーくらいまでの事なんだなと理解した。
その4つのスタンスは、
・圧倒的当事者意識
・考え抜く、やり抜く姿勢
・広く、深く学び続ける姿勢
・チームとして協働を追求する姿勢
である。

もう一個思い出話は、マネージャーになった時に、日中ヒマとなったことである。

新人から営業を始めて、全然ダメだったけど3,4年ゆっくり成長して、リーダー2年目からようやく高業績を出せるようになった。
ぼくは早くリクルートでマネージャーになってマネジメントを学んで、起業後の経営力を身につけたかったので、労働時間を過少申告して仕事をやりまくった。(昔はグレー笑)
リーダー職には、率先垂範という言葉を何度も教えられ、リーダーが出来てないのにメンバーがついてくる訳がない、結果を出せ、という文化だった。正しい教えだと思う。要は信頼の獲得。

しかし、マネージャーになると世界が変わった。
自分が出来ていた仕事は部下に渡し、出来るように育成する。代わりに全部やってあげるマネージャーは、部下の意欲を削ぎ、成長機会を減らす。
動いちゃダメなのである。
その中で、どう信頼を獲得するのか?結果や業績や長時間労働の姿勢で、言うことを聞いてもらってきた元リーダーのマネージャーは、まずここに苦しむ。
そのマネージャーの信頼獲得方法や、振る舞い方のテクニックは今回は置いておいて、その時にこう感じたのである。

リーダーは「頭と体」を使って成果を出す。
マネージャーは「頭と心」を使って成果を出す。

ロクヨン(6つのスキルと4つのスタンス)の話に戻すと、
リーダーは戦術と実行を高速でやりまくれば業績は出るのである。リクルートの頭の良い人たちが商品戦略や営業戦略は決めてくれているので。ゴールに向かって、方法検討と実行振り返りで良いのである。
6つのスキルのうち、
⚫︎仕立てる(戦術)カテゴリ
・筋の良い仮説を立てる力
・プロセスを作り込む力
がリーダーに当面必要な能力である。
対して、マネージャーは、業務を取捨選択して選んで決めなければいけない。
良く陥るのが、自分にも出来たんだから、という理由でメンバーへの要求が高くなり、過剰労働で潰すという問題である。
仕事への取り組む意欲は、人それぞれであり、能力もバラバラである。
良いマネージャーは良妻賢母である(今聴くとジェンダー感良くないけど!)と教わった。冷蔵庫の中に神戸牛とカニとカツオ1番ダシなどが全て揃っていて美味しい料理が作れないわけがない。そうではなくて、ありものの食材や調理器具で美味しい料理を作るのがマネージャーである、という教えだった。
要は、メンバーに高いレベルを要求するだけでは全く良いマネージャーではなくて、育成支援して協働を促進してチームとして高い結果を出すことが大事である。
で、取り組む物事についても、自分の能力基準で、やった方が良いことを全部やろう、というのは間違いである。自分の体力、能力、意欲を当たり前と勘違いして、月に10個も20個もメンバーがやること増やすと、一つ一つがおろそかになり成果が出ない。やるべきことを優先順位をつけて、絞って取り組ませることが大事なのである。
6つのスキルのうち、
⚫︎見立てる(戦略)スキル
・構造で捉え俯瞰して見る力
・分析的に捉え問題を特定する力
⚫︎動かす(実行させる)スキル
・ビジョンを打ち出す力
・人を理解し統率する力
が、マネージャーになると必要になって、リーダーの時のように、戦術を自分の体力でぶん回すだけでは成果が出なくなるのである。

こういった学びから、地方にも人材育成として共通する順番があるのではないかと感じた。

①メンバーフェーズ→4つのスタンス(働く姿勢)

②リーダーフェーズ→仕立てる(戦術)

③マネージャー前期→見立てる(戦略)

④マネージャー後期→動かす(実行させる)

人材の適切なタイミングで、それぞれのスキルの能力開発支援をすれば、その企業の人材は大きく成長できるのではないかと。
いま、人材育成計画書や研修を設計していて、取り組んでいるのでサービスを磨いて、成果が出るように頑張るつもり。

この2つの雑記から思うこと
・戦術家より、戦略家の方が高次。ゴールが見えない、目的に繋がっているか証明できない、という批判がくる。企業によって必要なフェーズが違うから、価値はあるけど、戦略観点やコスト観点が必要。
・地方にいると「見立てる」ことでデカい顔をする人が増える。こんなんやった方がいい、これがあるといい、あれはあかん、等、一丁前にモノを言う。見立てる能力は高次元の能力であるが、それを仕立てて動かして初めて成果が出る。仕立てる人材や動く人材も乏しい地方環境の中で、「戦略」だけ語って地方の人材は使えない等と批判しているのは結局成果を出す為にチームを作れない悪いマネージャーなのである。
・僕は、仕事で、「仕立てる」を売っていることが多いなと感じる。それがクライアントの中で不足しているからやっているつもりだけど、能力として見立てる・動かすが鈍くなっているとしたら、鍛え続けなければいけない。

・リクルートの頃のような成長環境が本当に羨ましい。もっと成長したい。成長フィールドがほしい。作らなければ。「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ。」まさしく、そうや。自分で作らなきゃ。

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