LUCKY STRIKE

・立春

あなたが私を想って泣いてくれる
その瞬間を夢見ていました

それはどちらでもいい
喜びでも、悲しみからでも
ただ、私への想いを湛えて
あなたから零れたその一滴が
私の生命に触れて
そっとこの渇きを潤してくれる

かわいいひと
そう言えば
いつも不服そうに
眉間のしわが寄るよ
いつしかやめてしまったね

あなたが残していったタバコの空箱が
私のお守り
そうやって記憶しか持たない私には
それが今、あなたに触れられる唯一の縁
あなたを証す、唯一のモノ

うつくしいひと
あなたは
そう、とても
うつくしい生命

怖くてもよく目を開けておいて
すべては一瞬の出来事だから
怖気付いてもいいから
どうか行かないで堪えて
すべては一瞬で去ってしまう
去っていってしまうものだから

不可逆というけれど
そもそも時間なんて概念は
在ってないようなもの
身体なくしてはまともに
互いを認めることも
話すこともできない、この世界でも
記憶のなかでなら
好きにトラベルすることが出来る

それでも

夢の中ならいざ知らず
過去のあなたとしか会えず、
話すこともできない、私はいま
身体をもっていてもまともに
互いの瞳を交わすことも

例えば、今隣にいる人とすら
ままならないなら
今、なにを望む
わたしは、あなたは
それがあなたのレゾンデートルを
形作ってきた
それが、どうか
明るい輝きを放つ
ありったけの愛に満ちて溢れるもので
ありますように


あなたの遂げる最後が
どうかあなたの生命、その魂が
生まれた瞬間と同じに
それは美しく輝き
満ちて溢るるものと
成ります
私の愛した生命
どうか生きて
私の愛する生命
その名を冠する
わたしの
かわいい、美しい王様

後ろからそっと
守るように抱きしめてくれた


あなたの記憶から私が抜けていく
あなたの心から私が消えて
最初から存在しなかったように映っても
いつだってお互いに守護天使
あなたの気づかないところから
あなたの幸せを祈っている

うつくしいひと
あなたは
そう、とても
うつくしい生命

誰より愛しい
わたしの歌うたい

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