君に告ぐ


嘘でもいいから、きっと大丈夫と呟く
それはいつか、本当に成ることを
知っているから

楽しいことをしよう
思いっきり

強がりで結構、だから笑おう
これがいつか、本当の表情に成るの
私は知っている

ずっと居場所が欲しいの

怖くって、怖くって、怖い
不安で不安で、いっそ笑けてくる

どうしよう、心の裏側から
引っ掻いてくる

誰も知らない

楽しいこと、
なんだっけ

君は誰、そう問えば
なんて返ってくるか分かってる
時々疑問だった
この子を救えるのが私なら、
私を助けくれるのは誰

どちらも私だから
相互作用で救われる
それでも、泣いているのはあの子で
私はいつだって聴き手でしょう
此処にはふたり、
だけど、ひとりしかいないの

嗚呼、助けて
遠くでサイレンが聴こえる

かつて、夢の中にあらわれた君は言ったの
「手を伸ばせば、必ず掴んでやる」って
あれ、嘘だね

火葬場でひとり
焼かれている人に寄り添う彼は
しかし、理解されず
挙句非難された
私はそれが、さびしかった

わざと負けたのは
あなたがいつも負けていたから
グーチョキパー
どれを出せば勝てるかは分かっていた
あなたの役割はなるたけ負けて
目の前の子を笑顔にすること
だから私はチョキを出したの

今思えばあなたには
大した事ではなかったのかもしれないし
全部、私のエゴでしかなかった
あなたは私の心を知らないし
私に何を出せば勝てるかを教えた其の人は
どう想っていたかしら
ただ、あなたに勝ってほしかった
それは、全く知らない、
負けてばかりのあなたの
喜ぶ顔が見たかったから
何か善きもの、
私にも渡せることを知りたかった
それは、本当にエゴでしかなかったけれど
勝つことよりも欲しかったの
もう会うことはない、その人の微笑みを

同じように、あなたにも

譲れないものがふたつある
逆を言えば、それ以外はすべて
あなたにあげるよ

私が欲しいのは音と心
言い換えれば、感情と衝動

今空っぽに映る器に
水を汲んで
ずっと灯されるのを待っているトーチ
君へ向かう星は見えている


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