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とある地方大学生との対話③~すべての就活生へ~

ストーリー(ものを語る。物語)が大事であることを述べてきた。
今日は具体的な私の経験から学んだ、キャリアストーリーのことを語りたい。

自分が、唯一無二の存在であることは、うっすらと気が付いているとは思う。なのになぜか自分の経験を語るときに、社会人のみなさんは
「サラリーマンを10年やっただけです」
「しがない事務ですよ」とか、謙遜する国民性なのか?それとも権威主義なのか?部長職ぐらいやっておかないと、自信をもって語る方が少ないように感じる。

となると、就活生のみんなこそ、同じ年齢で就活をするわけであるので経験したきたことに差は、ほぼ無い。帰国子女とが、数学オリンピック出場など、「どや!!」って経験をしている方はいないだろう。

高校時代はテニス部の副キャプテンをしていて、大学では社会学を学んだが、コロナ禍でフィールドワークができなかった。サークルはなんとなく参加したテニスを途中で辞めた。

「私には、ガクチカがないんです。」

その時、私は生まれて初めてガクチカという言葉を知った。学生時代に力を入れたこと。のようだ。
なに?ガクチカ???

学生時代に力を入れたこと = それが自己PR

という勘違いをしているのでは?率直にそう感じた。「ガクチカ」というコンセプトには他者と違うことで自らの希少性を伝えたい。違っていないとPRにならないということがあるようだ。そしてそれを錦の御旗にして、

「さあ、私のユニークさが分かったでしょう?採用しなさいよ」

と伝えないといけないと思っている。それも前のめりに。

面接というのは、面接される側にとっては「非日常」の中のトップ中のトップぐらいの場面だと思うが、採用する側にとっては「いつもの採用面接」でしかない。確かに目立つということは大事であるのだが、言葉でいくら伝えても、その人自身が、自分の魅力に気が付いていなかったら相手にその雰囲気は伝わってしまう。
企業研究と同時に、自己分析が大事と20年以上前に就活(当時はなかった言葉)をした私のころから言われているが、自己分析という言葉自体、なんか変なものである。自己分析をして
「自己一致」
をする。そこまでセットにしないと「自分が何某か?」を知っただけでは、就活で勝つことはできない。

話を戻すが、今、なぜあなたはそのシャツを着ているのか?面接の場面でいきなり質問されたら、どのように回答するだろうか?

私は、生まれ故郷の北陸のデパートの2次面接で、誰よりも早く内々定をもらったとき、たまたま実家にあった父親のブルーのワイシャツを着ていた。
就活生=白シャツ が当時も一般的であったが、京都の下宿から石川の実家に帰って、何気なく手にした父親のワイシャツの肌触りがとてもよく、そしてなんとなく父親と一緒にいるような感覚が気に入って、一枚もらったのだ。

金融関係で仕事をしていた父親は、能登の田舎住まいにもかかわらず、シャツやスーツにとてもこだわりを持っていた。今、思い出したのだが、確かこの「コーゲンシャツ」だった。いいものだった。

「なんで、君、みんな白シャツなのに、青シャツなの?」

と質問されたとき、私は特に意識もせず、父親のシャツが気にいって一枚もらったのだ。銀行マンだった父のシャツはいつのまにか、私にピッタリとフィットした。いいものは、長く着れるっていいですね。と語った。嘘偽りのない、素直な気持ちだった。

面接官は最初「なに青シャツで意気ってんの?」的な雰囲気だったが、最後には明らかに「共感のまなざし」を注いでくれていた。

その日の夜、京都の下宿に帰宅し、留守版電話を聞くとそのデパートから
「申し訳ないが明日もう一回きてくれ。交通費は出す」
との人事部長からの連絡だった。翌日副社長から「ぜひ入社してほしい」と
いわれ、役員社食に行ってカレーをご馳走になった。

結局、そのデパートには入社しなかったのだが、ストーリーは意識的に準備するものであるが、その内容を決して「盛ってはいけない」

ああ、今思い返せば、こうだったなああ

と、素直に感じたことを、相手が聞きたいと思ってもらえるような、ポジティブワードに満ち溢れたものに仕立て直すこと。
そう、記憶を再度仕立て直すことなのだ。
※父からもらった青シャツは仕立て直してまだ着ている

続く。



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