「ばすてい」に「すてい」した話
「ばすてい」とは?
「ばすてい」は、静岡県伊豆半島を走る東海バスが運営する宿泊施設。
「バスに泊まる」という、今までにないような新しい宿泊施設。1日1組限定で、かつて使用されていたバス・案内所に泊まるという素敵な体験をすることができる。詳細は、公式サイトを参照してほしい。
予約~チェックイン前の準備まで
宿泊の予約は、公式サイト経由で「じゃらん.net」で予約が可能。
予約が完了すると、「minpakuIN」というサービスを用いて、宿泊者情報の入力などを行います。
この施設は「セルフチェックイン」制で、特に係などはいないので、チェックイン前に色々と入力しておく必要がある。
ここまで準備ができれば、あとは楽しみに当日を待つのみ。
施設リポート
2023年11月17日 金曜日
幸運にも、「ばすてい」オープン初日の予約が取れたので、1組目の宿泊者として訪れた。
施設の入口はバス後方にあり、駐車場を兼ねている。
案内所時代に使われていた正面の扉は開かなくなっている。
建物(旧宇久須案内所)内・旧待合室部
外のバスが目を引くが、まずは室内へ。
扉を開け、案内所へと入りタブレットを使ってチェックインする。手続きは簡単なので心配なし。
すると早速気になるものが…
かつて使われていた「点呼執行基準」と「路線状況表」が残されている。「路線状況表」を見ると、今はなき路線やバス停名などが書かれており、その歴史を感じることができる。かつて現役の案内所であったからこそのものである。
他にも、ガラスケース内にかつての案内マップやポスターなども飾られている。その全容はぜひ行って確認してほしい。
建物(旧宇久須案内所)内・旧窓口部
待合室の奥には、かつて乗車券販売をしていた窓口部がある。ここは広く機能的なキッチンとして改装されている。
調理器具や食器も完備なので、好きな具材と調味料を持参してオンリーワンの空間での料理を楽しむことができる。
できた料理は、かつての窓口のように受け渡しもできる。
建物(旧宇久須案内所)内・旧倉庫部
窓口であったキッチンまでは土足で、そこから先は靴を脱いで過ごすエリアとなる。
窓口奥の倉庫を改装したエリア。
ホテルにも劣らないきれいな洗面所と浴室がある。
アメニティ類もしっかりあるので、持参の必要もなし。
トイレは別であり、バス・トイレが独立しているのが個人的にはとても嬉しい。
1番奥の部屋はシングルベットが2台並んだ寝室。
「バスで寝るのはちょっと…」と思ってしまった人もここならぐっすり寝られます。
そしてこの施設、「テレビ」がありません。
そして、「時計」もありません。
おそらく、「時間を気にせず」だったり、「バスを楽しむ」「西伊豆を楽しむ」「非日常を楽しむ」だったり、いろいろな意図があるのだと思います。
人の少ない「宇久須」という町だからこそ楽しめる夜かもしれません。
でもきちんとWi-Fiはあるのでご安心を…
建物(旧宇久須案内所)外・バス
お待ちかね?メイン?のバスを見ていきます。
屋外に置いてある車両は「いすゞジャーニー」
1999年4月に登録され2023年4月に廃車になるまで、途中3度の社名変更を経験しながらも一貫して沼津エリアを走っていた車両。
ここでは東海バスの旧塗装に装いを新たにし、宿泊客を出迎えてくれる。
車内は3名が宿泊できるように改装されているものの、随所に現役時代の名残があるので、ぜひ現地で探してほしい。
1番後ろにエアコンがしっかりついているので、快適に過ごすことができる。
一方で、運転席は現役時代のまま…なので、写真を撮り忘れています…
運転席からは行先を変える操作ができ、好きな行先を出すことができる。中身は行ってからのお楽しみ。
さらに音声合成装置も残っており、放送を流すこともできる。
イベント等で行先表示器を操作できる機会はあっても、放送まで流せる機会はかなり貴重なのでは…?
他にも降車ボタンもきちんと押せるので、「ピンポーン」と楽しむことができる。
一方で、注意されたいのはこちら。
20:00~08:00までは「行先表示・降車ボタン操作」は控えるようにお願いがされている。
現役当時のもののため、行先表示はかなり明るく降車ボタンは音が大きい。
放送を設定すると自動的に行先表示も点いてしまうので、20:00~08:00までは操作できないということは留意してほしい。
「近隣トラブルで閉鎖…」なんてことが起きないように、ぜひとも守って欲しい。
「ばすてい」の過ごし方
1.バスの撮影を楽しむ
先述の通り、テレビも時計もないこの施設はゆったりとした時間が流れる。
明るいうちは、バスの撮影を目一杯楽しめる。
バスの前の門は自分で開閉できるので、「撮影時は開け、それ以外の時は閉めておく」といった感じ。
そして、目の前は現役の宇久須バス停。
路線バスが来ればこのようなコラボレーションも。
暗くなっても趣ある雰囲気を楽しめる。
バスのヘッドライトは点灯しないが、周辺に照明があるので暗くなることはない。
旧案内所時代の出入口にかかる暖簾。
暗くなるとより素敵に見える。ただ、透ける感じがあるので、気になる人は目隠しできるようなブランケット等を持参すると安心かと思う。
2.食事を楽しむ
「ばすてい」には、夕食付きプランの用意もある。
先述のキッチンを使うのも良いが、夕食付きプランで美味しい西伊豆グルメを堪能するのも楽しみの一つである。
今回は刺身盛り付きプランで宿泊予約していたため、18時ごろに豪華な刺身盛りが届けられた。
大変美味しい刺身で、金目鯛がたくさん載っていたのが嬉しい。
中身は時期やその日の水揚げ内容によって変動するとのことなので、画像はあくまでも一例として捉えてほしい。
夕食付きプランの場合、18時ごろに近くの宿泊施設「西伊豆うぐす温泉宿 四季の里 まきば」さんより料理が届けられる。
炊飯器でお米を炊き、18時を楽しみに待つのもこの施設の楽しみ方と感じる。
また、屋内用BBQグリルもあるのでプチキャンプ気分も楽しめる。
BBQプランであれば食材も用意不要、お手軽BBQが楽しめる。
素泊まりでも、キッチン・BBQグリルは使用可能なのでそれぞれに素敵な夕食を楽しめる。
なお、お米は各自で用意する必要がありますが、炊飯器があるのでそちらで炊き立てのご飯を用意できる。
また、調理時の調味料類は持参する必要がありますので、その点はご注意を。
(BBQプランの場合、BBQに必要な調味料は用意してくれます)
3.「すてい」そのものを楽しむ
「ばすてい」の立地する西伊豆町宇久須は、小さな街です。
だからこそ、「ばすてい」を出てゆっくり散策してみるのも良いかもしれません。
小さな商店があったり、漁港があったり…
もしかしたら、素敵なふれあいがあるかもしれません。
晴れている夜なら、見上げれば星が見えるかもしれないくらい、空気の澄んだ場所です。
夜は波の音が聞こえるくらい、静かな場所です。
そんな場所「宇久須」で、ゆっくり「すてい」する。
それも良い楽しみ方かもしれません。
それぞれの素敵な夜を過ごしたら、バスに乗って夢の中へ…
翌朝、起きたら8時から行先表示・降車ボタン等が操作できるので、10時のチェックアウトギリギリまでバスで楽しめます。
10時になったら、名残惜しいですがチェックアウト。
素敵な「すてい」が終わります。
最後に
長々と書きましたが、本当に素敵な施設でした。
バス好きなら楽しいこと間違いなしの場所です。
宿泊対象は小学生以上とのことですが、乗り物好きのお子さんも大はしゃぎするような場所です。
「バスで楽しみたい」
「非日常を体験したい」
訪れるにはそれぞれに理由があると思いますが、それぞれに素敵な「すてい」ができること間違いなしの場所だと感じました。
この唯一無二な施設、「ばすてい」
皆様もぜひ訪れてはいかがでしょうか…
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