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仕事について

僕はいったい何をしているのか?と考えた時に、3つ出てきた。
アート、社会運動、ビジネス

アートはものすごくパーソナルな部分。自分が表現したいものをいかに形にするか。それは実際に触れたり使えるモノでもいいし、鑑賞するだけの絵画や音楽でもいい。コンセプチュアルで人の思考を試すようなものでもよければ、体験として感覚に訴えるようなものでもいい。
とにかく、自分の中にある、表現せずにはいられないような衝動が何よりも大事である。その衝動がちゃんと伝わるような形になっているか?どこかズレていないか?妥協はしていないか?それは非常に感覚的なプロセスであり、正解は自分の中にしかない。
僕の場合はやはり、田舎暮らしをきっかけに畑を始め、農のある暮らしの豊かさに触れたことが初期衝動となっている。自分がやっていることはすべてこの衝動をいろんな形で伝達することなのだ。369商店は野菜を売っているのだが、野菜を買ってもらえるかどうかよりも、この豊かさが伝わっているかどうかの方が気になるし、大事なのだ。

こうした感覚や価値観が世の中に広まるには、どうしても自分一人の活動だけでは限界がある。社会が益々変革を迫られている中、自分の中のこの衝動を信じて、これをいかに社会の中に組み込んでいくか、というのが僕の社会運動である。そのためには、ひとりの八百屋として小商いをしているだけではなく、同じような感覚や価値観を共有している仲間たちと共に、面的に活動するような組織が必要になる。
結局社会運動っていうのは、いかに理想を高く掲げようともそれが社会の中に仕組みとして組み込まれて実際に社会に変革をもたらさなければ、絵に描いた餅に過ぎないと思う。
京都オーガニックアクション(KOA)は、オーガニック農業を広めるための活動のように思われがちだが、そんなに単純な話ではない。自然と調和したコミュニティを何世紀も維持してきた農村と、自然から搾取することで成り上がってきた都市が、いまいちどお互いに補い合い、社会全体としてバランスを取る必要が出てきている。その中で、毎日の暮らしに欠かせない「食」と、それを支える「農」の関係、「都市」と「農村」の関係を再構築することが目的なのだ。
これは何も京都だけの話ではなく、全世界共通の課題としていま様々な実験的な取り組みがあらゆる国で行われており、KOAもその一例であるにすぎない。

369商店は自分のパーソナルな表現であるのに対して、KOAはその369の思想を拡大して仕組みとして社会に実装するための社会運動である。そして、どちらも継続して行くにはビジネス的に運転資金を稼ぐ必要がある。
こうして見ると、どう見ても僕にとってビジネスっていうのは「手段」でしかないのがよく分かる。自分の表現、そして社会運動を継続して行くために必要なお金を稼いでいるだけなのだ。
商売や起業の勉強をしたことすらないので、何もかも初めてでいろんな人に助けてもらいながらやっているが、Learning by Doing の精神でどうにかここまでやってこれている。

しかし、最近になってこのままではやばいなーって思い始めた。
運転資金が回っているのはいいのだが、手元にお金が残らないのだ。
野菜ってなんぼ売っても儲からへんわーとか冗談のように言うてるけど、活動の運転資金を稼いでいるだけなので、そもそも残す気がないのだ。

要するにマインドセットが非営利になってるんやわ! ということに最近になってようやく気づいた。

というわけで、そろそろ自分のマインドのプログラムを非営利から「やや営利」に書き換えたいと思うのだが、はてさてどうやったらいいのやら。


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