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実際に体験したちょっと怖い話

これは私が20歳の冬に実際に体験したお話です
私はこの頃昼夜問わずにバイト漬けの日々を送っていました。朝の10時から夜中の1時、2時まで働くような日々でした。
その日もバイトが終わったのは時計の針が1時を回った頃でした。冬の寒さに凍えながら暗い夜道を原付バイクを走らせ帰宅している途中、原付のヘッドライトが切れてしまいました。もう家も近く少しくらいの距離なら大丈夫だろうとそのまま原付を走らせてしまったのです。
自宅まであと100mちょっとというところでした。
そこは山を上がっていく坂道で街灯が少ない場所でした。ヘッドライトがつかないので速度を落とし慎重に運転していたのですが私の少し前の暗闇の揺らぎに私は気づかなかったのです。それはおじいさんが自転車を押して歩いていることに直前で気づき慌ててハンドルを切りました。その勢いで私はバイクごと転倒しました。おじいさんには当たらなかったのか正直私にはわかりませんでした。

「大丈夫か!?」

おじいさんはそう言って私に駆け寄りました。

「すみません。おじいさんこそ大丈夫でした?」

私がそう言うとおじいさんは急に足を撫で始めたました

「まぁ、大丈夫だ」

そうおじいさんは言いますがヘッドライトが切れていたことでのことだったので私はおじいさんを家まで送ることにしました。倒れたバイクを起こし押して歩きながら道すがらおじいさんと話をしました。
どうやらおじいさんは友達のところに行く途中だったことや、よく海外に行くことなどを聞きました。途中でおじいさんはコンビニでおでんを買って食べました。

30分くらいでおじいさんの家につきました。最初は罪悪感やバイクで転んだ衝撃や動転していた意識は落ち着きを取り戻していき流石に薄気味悪くなってきたのです。
おじいさんは家に上がっていけと言うのですが私は遠慮しようとしました。しかしおじいさんのしつこさに負け上がることになってしまいました。
玄関までは手入れがされていない庭木が邪魔をし居間の方から入っていくよう説明されおじいさんの後について行きました。
居間で待つよう言われおじいさんは台所に下がっていきました。電気は海外に行っていたので今は点かないとのことでした。居間は暗闇に包まれていました。その空間にはなんだか冬の寒さとは違う背筋をなぞるような寒気が漂っていました。しばらくしておじいさんが戻ってくるとマッチをすり電気の代わりに蝋燭を灯し始めたのです。
そして部屋に灯りが灯ることで私の目に入ってきたのは部屋の壁、床を埋め尽くすかのように並べられた大量の日本人形でした。私はいきなり目に入った光景に心臓鷲掴みされたような感覚を覚えました。大小様々な日本人形が蝋燭の灯に照らされ薄暗い空間を埋め尽くしているのです

「今、お茶を淹れてくるよ」

そう言ってまたおじいさんは台所にまた下がっていきました。私はこの家で何かを口にしてはいけない、と思い走るように外に出ました。
急いでバイクに跨りエンジンをかけました。不思議なことにヘッドライトは点いていました
しばらく鼓動は静まらず早鐘を打つように脈動していました。


少しずつ頭を整理していくと所々に不思議なことに思いあたるのです。なぜおじいさんはあんな深夜の1時過ぎに友達のところに行くのでしょうか?そしておじいさんにぶつかりそうになったところお寺の近く、墓地の横の道でした。入ることのできない玄関に電気のつかない部屋。壁や床を埋め尽くすほどの日本人形とその中にあった仏壇。

おじいさんは本当に実在する人物だったのでしょうか?しかし途中で寄ったコンビニでは普通におでんを買っていました。ただの幻覚、心霊体験では済まない実感とともに残った恐怖。

しばらくして、そのおじいさんの家を探しましたが未だに見つけることができていません。そしておじいさんの家に行ったのは深夜2時を過ぎた時間帯、つまり丑三つ時だったことに最近気が付きました。


どのベクトルに進んでも怖い話とまで称された私の実際に体験したちょっと怖い話でした
ありがとうございます

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