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365日ライカ:016 「フィルム風」はただの流行か?

4月5日、ほぼ外出せずに自宅で作業をしていました。

2本ほど原稿を書いたほか、作品制作のために昔撮影した写真のRAWデータをLightroomからCapture Oneにコピーして現像し直すなど、楽しく過ごしていました。

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Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

今日現像したすべての写真では、最後に仕上げとしてフィルム風のスタイル(Capture One用語。いわゆるフィルターです)を適用しました。

この記事に掲載している写真もすべてフィルム風スタイルで仕上げています。

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Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

この”フィルム風”というテイストは、インスタグラム以降の大きなムーブメントと言えるでしょう。

実際、ここ数年ほど、雑誌やネット上の記事などに掲載されている多くの写真がフィルム風に調整されています。

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Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

明らかにフィルム風に調整されているとわかるもの、隠し味程度にフィルム風加工を加えているものなど、程度こそさまざまですが、これこそが現在の流行であり基本的なテイストと言えるでしょう。

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Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

自分でRAW現像時にフィルム風スタイルを適用すると感じるのは「これは引き算なんだ」ということ。

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Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

現像ソフトにRAWデータを読み込んだ時に表示されるのは、比較的フラットかつカラフルな情報量に富んだ画像です。

そこからコントラストや色味を調整してフィルム風スタイルを適用した後に、ビフォー/アフターを比較してみると一目瞭然。「自分はRAWに含まれている情報を削ぎ落として、“何を強調して見せるか”を選択していたんだ」とよく分かります。

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Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

そんな”情報量を削ぎ落とす”という感覚は、画調をフィルム風にしなくともあるのですが、フィルム風スタイルを適用するとより強く感じられるのです。

そしてフィルム風スタイルには効能がもう一つ。自分以外の人間が作ったスタイルを適用することで、作品からエゴが薄れ、どこか客観性のようなものが加わるのです。

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Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

かつてデジタル写真は当初フィルムに追いつくことを目標としていましたが、いつの間にか精細さの面でデジタルはアナログよりもはるか優位に立ちました。

次はトーンや色味という点でフィルムに迫ろうとしているのかもしれません。

時代に逆行した流行? いや、それはどうでしょうか。

だって、最新のデジタル機材で撮影されているハリウッドの大作映画ですら、その絵作りは「フィルムルック」と呼ばれる”フィルム風”が当然なのですから。


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