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母親の反省

私の母親は自身の子育てに関する反省の言葉をよく口にする。
「過保護に育てた事は間違っていたわ。」
「必死に育ててきたんだけどね…。」
その言葉を聞くたびに、私は思う。

「私は失敗作なのか?」

つい先日も母親と話をしていて新たな発見があった。
母親は読書が好きだ。小さい時から本をよく読み、70歳を過ぎた今でも図書館へ通い様々な本を借りてくる。
私が小さい時にもよく本を読んでくれた。

母親がよく口にする言葉の一つに、
「小さい時から本を沢山読んできたのに、本が好きな子には育たなかったわ。親の願い通りにはならないものなのよ。」

・・・

46歳の娘の私は今、一番の楽しみは読書だ。
私の興味が向く本、私が面白そうだと感じる本、私が読みたい本が自由に選べる時間を過ごせる書店へ行くことがとても楽しい。
書店には作家とその作家たちの世界が溢れた本が選び放題で、ワクワクしてくるのだ。

先日母親と一緒に書店へ行ったときのこと。
「これ、なんか面白そう。読んでみたいなぁ。」の私の言葉に対し、
「そんなハウツーものは面白くないからやめとけば?」
その言葉を聞いたとき私は「ハッ」とした。

私が小さい頃読んでくれた沢山の本は、母親が読みたい本、読ませたい本、だったのではないか?そのまま母親に確認してみたら、「もちろんそうよ。」いとも簡単に笑顔で返ってきた。

「じゃさ、お母さんが好きな本ではなく、幼い私が選ぶ本を読んでくれたら私は本が好きな子供になってたんじゃない?」
キョトンとした母親は目を見開き言った。

「あっ、そうね!私が読みたい本ばかり読んでたわ!」
ハハハ~、と無邪気に笑う母を見て私は伝えた。

「私ね今本を読むことが1番楽しいよ。」
「それはすごくいいことよ~♪」母親の顔はとても嬉しそうだ。

・・・

お母さん、本好きな心豊かな子になって欲しい、その小さな願いが少し叶ってよかったね。
一生懸命育ててくれた彼女の嬉しそうな顔を見ていると、
「反省するポイントが少しずれているのでは?」

そんな言葉は口にはできない娘だった。

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