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はじめの一歩

ギィー。
『研究者になりたい』彼の夢の扉が開き始めた。
第一志望だった大学院のとある研究室へ所属することが決まった。


大学3年生時、そろそろ卒業後の進路を考え出すとき、周りの友達の多くは『就職』を希望した。ちょうどその頃、彼らの周りもザワザワしはじめ、就職活動に関するキャリア関係の授業や説明会が始まった。
その時彼は一言だけ親に確認を取った。



『就職しなくていいよね?』

『就職したくないの?どうしたいの?』

『就職したくない。大学院へ行きたい。』
(確かに、働きたくないよなぁ。分かるよ分かる。)←心の声

『院へ行ってどうするの?』

『研究者になりたい。』

『そう。自分がやりたいこと、好きなことをやり続けて。』
(普段の姿を見てよく理解してたけど、一応親側も確認を取った。)

そして、彼の『院活動』がスタートした。
研究したいことが明確な彼は、まずは、研究したいことに近いことができる研究室を片っ端から探し始めた。ある程度目星を付けたら、次にそこの教授へのラブコール。
『メールの書き方』そんな文字をキーボードで打ち込みパソコンの前に座り込みながら、メール連絡に勤しむ姿。目の前のToDoLISTは全てが初体験、ドキドキとワクワクが混じり合った楽しそうな活動で、見ていて微笑ましかった。『初めてのおつかい』ならぬ、『初めての院活動』。そして、第一志望となる研究室が決まった。

2020年緊急事態宣言が出る数日前にギリギリ、見学へ行くことができた。
見学を終えたその後、
『物理世界の最初の一歩をあの教授の元で踏みたい。』そう彼は言った。憧れ?惚れたのか?初めて訪れた研究室見学で、彼の心にどんな形の感情が生まれたのか分からないが、目に見えない何かに引っ張られるように、その場所へ吸い寄せられていった。

そして、彼の強い願いは叶い、長い年月想い続けた世界への『はじめの一歩』を踏み出すこととなった。

初めて寝返りをしたとき、初めて立ったとき、初めて歩き出したとき、初めて話し始めたとき、彼にとっての『初めて』が今思い出される。瞼に浮かぶ彼の顔は、髭面メンズの今とは異なり、どれも可愛らしい笑顔だ。

自分で見て、感じて、考えて、選択して行動する。静と動、二つの作業を己一人でやり終える彼を誇りに思う。そして、この作業の結果、寝ても覚めても愛し続けた『物理』世界への切符を手に入れたことを一緒に喜びあいたい。

本当におめでとう。


彼の内に在る『純粋』がようやく外へ飛び出してきた
その澄明な大気が彼のこれからの世界を創る
その場所こそが、彼の存在を包みこむ安心安全な居場所となりますように♡
はーじめーの第いっ〜ぽ!



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