インスタントフレーバー

3分後には幸せになるんだ
その時だけ忘れて、欲に塗れる
そうしてまた、ぽっかりと穴が
少しずつ大きくなってゆく

部屋にはインスタントフレーバー
窓を開け放しても
なかなか消えないフレーバー
机の上には
飲み干したインスタントスープ

じゃあねってあなたと駅前のベローチェで
口には出さず別れるの

窓の外からは
あなたが女の人と落ち合うのが見える
だから私も、誰かと会おうと
スマホを開き画面を流すけど

そのうちに虚しくなって
あーあ、何してんだろって、
コーヒーに砂糖とミルクを
5個ずつ入れて胃に流し込んだ

その味はインスタントフレーバー
舌が麻痺してる
甘くないフレーバー
このコーヒーをあいつにかけてやりたい

きらきら光るあれやこれやが
無性に堪らなく嫌で
だからといって私にはそこに飛び込む
勇気なんて無くて

だから今日もコーヒーに
砂糖とミルクを倍入れる

インスタントじゃ嫌
Diorの香水も、今の私には
インスタントフレーバー

私にはリセッシュがお似合いだねって
ふざけてあなたは言った

お前にはドブがお似合いだクソ野郎
そんなあなたを好きになった私も

ホームラン軒味噌味喰っとけ

ジェラシー / The Buildings