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オーガニックの静岡茶を部落で。茶空民さんにお邪魔しました。

有機栽培でお茶を作る茶空民さんにお邪魔しました。

緑茶の健康パワーはものすごい。
体のためにも毎日飲みたい食後の緑茶!

けれども、農薬の不安が強いのも緑茶。
是非とも農薬不使用を選びたい食品の一つだだけど、お茶どころ静岡でも(だからこそ?)なかなか農薬不使用のものには出会えない。
それくらい、農薬なしにたくさん作るのは難しい作物なんだと思う。

そんな中、出会った茶空民さん。

静岡県浜松市北部の砂川(いさがわ)で標高 400m、40軒程度の集落をあげて、有機栽培でお茶を生産している、静岡県一の有機茶の産地。
農薬や化学肥料・除草剤を使用せず、使う肥料も有機のもののみ。

お茶以外にも、この部落では野菜などにも農薬を使わないと決め徹底しているので、どこかから農薬が飛んでくることもない。
何よりも安心できるお茶を作ろうというオーガニックに対する共通認識と一致団結した方向性がとても心強い。

そんな砂川の魅力に、移住を決めた茶空民さん。

元々、カウボーイを目指していた旦那さん。
オーストラリアの牧場で農薬を撒いてからワックスでコーティングするような農業のあり方に衝撃を受けたという。一方でオーストラリアのオーガニックへの意識は先進的で、2極に別れる食の選択肢の中で、「自分たちはこっち(自然に沿った形)を選びたい」と思ったのだそう。

オーストラリアで奥様と知り合いご結婚された後、他でも様々なご経験をされた後、巡りあった砂川の有機茶の栽培。
平均年齢の高い部落にやってきた若いファミリーへの期待は大きく、お茶農家の方がこぞって栽培について教えてくれたのだそう。
今は担い手のいなくなってしまった畑を6〜7借りて生産している。

「よい」お茶をオーガニックで作る難しさ

「よい」とされるお茶は時代によって変わっていく。
現代は、渋みや苦味、えぐみを除いた、甘味の強いお茶が好まれる。
そうするとどうしても甘さを押し上げるための化学肥料が必要になり、そこによってくる虫を駆除するための農薬が必要となる。
ペットボトルなどのお茶も甘みのある緑茶が好まれ広まる中、どんなにこだわっても化学肥料なしの自然な甘みのお茶は「美味しい」と評価されにくい。

静岡のお茶の苦労

「初物」には価値がある。
しかし第二の産地九州に比べて静岡は八十八夜も遅い。
時期的に全国的にみた「初物」にはならず、高く売りにくい。

また、九州の茶畑は平地が多いのに対し、静岡は傾斜が多い。平地なら一人で機械でできる作業も、山地では二人がかりでしなければならない。あらゆる作業効率も悪くなる。特にこの砂川はその象徴のような場所。二人がかりの作業が基本なので、ご夫婦でお茶作りをしていたうちで、どちらか一方が働けなくなってしまうと、途端に茶畑を管理できなくなってしまうということもある。

山のお茶の良さ

山のお茶は甘い。
砂川はその標高による朝晩の寒暖差と年月をかけ培った豊かな土壌にめぐまれ、山のお茶特有の香り豊かで甘みがあり、またその気候で平地よりも虫もつきにくいため、有機でのおいしいお茶の味につながっている。

静岡の平地だと風を流して3〜4月頃に凍らないよう冷気を流す防霜(ぼうそう)ファンという扇風機のようなものが設置されている。
山では霜は降りにくいので防霜ファンが不要=霜対策にエネルギーがかからないのもよいところ。

「山のお茶の特徴で、朝昼晩と三煎目まで楽しめます。飲むたびに甘み旨味が変わって面白いので楽しんでみて」
確かに、もちろん濃さは違うものの、三煎目までおいしい!
山のお茶の底力はすごい。

農薬の不安を手放して、1回で何度も味わえる安心の緑茶。
知れば知るほど、砂川のお茶の魅力は深い。

空を飛んでるみたい!圧巻の茶畑。

「価値がわかる方に届けたい。」
茶空民さんは、デザインを工夫したり、海外や東京などに向けた販売を強化されているという。

山のお茶の良さも、難しさも真っ直ぐに受け入れて。
じゃあどうするかと考える。
茶空民さんのお茶が一層広まることを願って。

知って選べば、どれも正解!
今日も楽しい食選びを!

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