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学園祭

去年の大学芸会で200を越えるキャパがある方南会館の圧に負け、ネタをゴリゴリに飛ばして、そういう時特有のなんとも言えない空気から逃げるようにしてサークルに行かなくなってから丸1年が経過した。

色々なことがあった結果、1年をかけてあの時の傷を癒しきることに成功したので、久しぶりにサークル活動に顔を出した。
久しぶりに会うサークルの人達が、かなりの確率で名前を覚えていてくれたのがすごく嬉しかった反面、あの頃の自分がサークル内で悪目立ちしていたのではないかという後ろ向きな考察が頭から離れなくなってしまったりもした。

その日のうちに、このサークルで副代表をしているらしい同期に誘ってもらって、即席ユニットでコントをやらせてもらえることが決まった。

すごく嬉しかったけど、それと同じだけ不安もあった。
コントなんて今まで1回もやったことがなかったし、作ろうと思ったこともなかった。

その日から、早速ネタ合わせの日々が始まった。
両者がキャンパスにいる時に予定をあわせて、昼休みに毎週1回は腰を据えてそれなりにじっくり話し合った。
その結果、ふたりが目指しているものがあまりにも違いすぎることが発覚した。

俺はコントよりも圧倒的に漫才の方が好きなこともあって、会話劇中心のコントを作りたいという意向を伝えた。
それに対し、副代表くんはラーメンズが1番好きなこともあって、会話が成立していなければしていないほど良い、という考えの持ち主だった。

ユニットのネタ作りは、最速で暗礁に乗り上げた。

そんな中で、ひとまずお互いのネタ作りの傾向を見るために、溜まっているネタのストックを放出して送りあうことになった。
俺は、漫才コントのような流れに小道具が少しだけ登場するような、登場人物全員がほぼ微動だにしないようなコントを3本送った。
副代表くんは、とてもシュールで大喜利のボケを詰め込まなければならない形式のコントを、ボケが虫食い状態のまま数本送ってきた。

これらの台本は、全てボツになった。

要するに、双方のこだわりに合致するものが1つたりとも存在しなかった。

ストックされていた台本をブラッシュアップしていくだけ、という最も楽な道筋から、ものすごい勢いで茨の道にルートが変更されていった。

我々は、ネタ合わせの頻度を週3日に増やした。

住んでいる場所の都合上、どちらかの家に集まって対面のネタ合わせを実施することが難しかったため、大半がZoomでのネタ合わせとなった。
1回のネタ合わせの間に、必ずお互いが1度は通信トラブルを起こした。
毎回3時間程度の打ち合わせを経ても、ほとんど進展がないという状態が常だった。

気付けば、即席ユニットとは思えないほどの時間をネタ合わせに費やしていた。

当初の予定では、学園祭の2週間前までには大方の台本を完成させて、早めにネタ見せに臨むつもりだった。

結局、最後まで事前に立てた予定通りに進んだことなど何もなかった。

その後、今までのことは全て忘れて、新たな設定をいくつか考えて持ち寄ることになった。
案だけでいえば、この段階でお互いに10個ずつくらい出していることになる。
もうほぼ単独ライブ前の打ち合わせだった。

その中から1本しか披露しないのだから、引くほど非効率的だったなと今になって思う。
結局、マグロ漁の設定が採用されて、「まぐろ大将」などという間抜けな名前の小道具を使うことになった。

今までは、漫才の中でもコントインすらしたことがなかったのに、今回は小道具を使った動きのあるコントをやることになった。
完全に未知の領域だった。

ここから設定を広げて展開を考える段階に突入して、更なる地獄を見ることになった。

このあたりでキングオブコントが放送されたこともあってか、副代表くんは隙あらばロングコートダディやニッポンの社長がやるような繰り返しの展開をねじ込もうとしてきた。
俺はその都度「ああいうのは広く世の中にボケの面白さが認められているような突出した大喜利力があって初めて成立するんだよ」という旨の話を噛んで含めるように繰り返すことになった。

度重なる説得の末に、副代表くんはとても良い展開を提案してくれた。
単に設定をなぞるだけでは全然尺が足りなかったところをほぼ全て解決してくれる上に、かなり綺麗なオチがつけられるというものすごいアイデアだった。
こんなに良い展開を思いつける人に対して、上記のようにとても偉そうに諭すようなことを言っていた自分がかなり恥ずかしくなってきていた。

そんなこんなで、おぼろげながらに台本が固まりつつあった。

この時点での浮かれたストーリー
まだまだここから時間がかかるということを
知りもしないで浮かれている

ここからはネタ作りも大詰めで、そこまでの労力を要する作業ではないのではないかと思っていた。
しかし、それはあまりにも現実味のない希望的観測に過ぎなかった。

結局、細かいセリフについては本番の1時間前まで定まらず、目を血走らせながら調整に追われる羽目になった。

そのような進捗状況の中で、我々はネタ見せの機会をことごとく逃し続け、遂にはネタ見せを1度も経ることなく本番に臨むこととなった。

1年ぶりの人前。
1度もやったことがないコント。
ほとんどが俺きっかけで進むセリフ構成。

ネタを飛ばす気がしてならなかった。
というよりも、絶対にネタを飛ばすだろうという確信があった。
当日の通し練習でも、全てのセリフが抜けることなく完全に成功することなどほとんどなかった。

本番直前、意味もなく舞台袖をウロウロして嫌な顔をされ続けた。

そして迎えた本番。
上手くいった。


YEAH!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

海のOh!

はい。
2000文字も書いてきたのに、最終的に壮大な自慢話になってしまった。
ダルすぎる。

このまま終わるのは流石に文章としてダルすぎるので、その後の思い出も日記的に記しておく。

1年ぶりのサークル活動だったので、空き時間を過ごすお決まりのグループなどあるはずもなく、色々な人達の中にしれっと混ざることでどうにか凌いだ。

昼過ぎにみんなでたべたチヂミがおいしかった。

ブレントフォードのネタ作りにちょっと参加させてもらえて嬉しかった。
なんならちょっと案を採用してくれたりもして、もっと嬉しかった。

夜はフーティエンおすすめのレトロ喫茶にご飯食べに行かせてもらった。
なんかサークルっぽくてすごくよかった。

長年地域密着型でやってきたのが伺えるような雰囲気漂う店構えの通りに、とてもアットホームな喫茶店だった。
しかし、そうしたアットホームな接客が過ぎるあまり、御歳78の壮健な店主の自分語りを聞くだけの時間がかなり長くあった。
こんな経験はなかなか出来ないだろうと思ってそれなりに前のめりになって話を聞いていたけど、「そういう時代」という言葉で片付けて泣き寝入りするしかないようなどぎつい下ネタが、女性陣にかなりのダメージを与えていた。
かわいそうに。

継ぎ足しエッグカレー
¥950


目に光がなさすぎる
この日めちゃくちゃ鼻血を出していたのも相まって
かなり怖い写真

味は本当によかったので、あの店主の元気がなさそうな時間帯に行くのが良いのかもしれない。
開店直後の朝方とか。

その後、途中まで一緒に帰った後輩の子とLINEを交換することになったけど、俺の対後輩コミュニケーションの経験不足が災いしてあまりスムーズにいかなかった。
その子と仲のいい同期に訊いてみたところ、やっぱり俺の縦社会スキルに問題がありすぎるのが原因だろうと言われた。

精進が必要。
もっと試行回数を増やして経験値を積むべきなので、後輩のみんなともっと積極的に交流していきたいなと思う。

というわけで!!!!
もしこれを読んでる人の中に後輩さん達がいるのであれば!!!!
これからなかよくしてね!!!!!!

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