いつかの自分であり、ときたまでてくる自分

川上未映子さんの「すべて真夜中の恋人たち」を読んだ。

わたしは確かに入江冬子さんの苦しみ、やるせなさを経験したことがある。

仕事仲間の聖が冬子に放った言葉が、突き刺さる。
「楽なのが好きなんじゃないの?他人にあんまりかかわらないで、自分だけで完結する方法っていうか。そういうのが好きなんでしょ。要するに、我が身が可愛いのよ。」

会話の途中でだまってしまう。
言いたいことが言えない、自分の気持ちがわからない。
どうでもいい、と問題に真正面から向き合わない。閉ざしてしまう。

聖に「傷つくのが怖いのよ。」と言われてしまう。

冬子はいつかの自分であり、今でも自分と向き合う時間がすくなくて自信がなくなると出てくる自分。

冬子は、聖にもらった質の良い服を着て、普段は履かないヒールをはいて好きな人と高級レストランで過ごした。
でも後から、いつもの喫茶店でスパゲティーやサンドイッチを食べればよかったと思う。お酒ならコンビニで買って、並んで公園で飲んだらよかったと。

よくわかる、わたしにも経験がある。
学生時代、似合わないのに、好きじゃないのに、いつも一緒にいる友達のマネをしてかわいい系の服を買い、高いお金を払ってアフタヌーンティーを楽しんでいた。
本当はカジュアルな服が好きで、ご飯は家もしくは近所で食べたいのに!!
きらきらした友人に憧れていたし、あの頃はそれでよかったのに、なんかちがうと気づいたのは結婚してから。
友人と距離ができて自分と向き合う時間ができてから。

相手に合わせてるなんて考えもしなかった、友人の好きなものが自分の好きなものだと思い込んでいたのに何年も気づかなかった。でもずっと、モヤモヤはしていた。自分が好きじゃなかった。
気付いたら、自分は本当は何が好きでどんなことに心躍るのかそんなこともわからなくなっていた。
今だってわからないから、これからたくさん自分の好きを見つけたい、ワクワクしたいと思ってる。

一つ自分に課してることがあって、「その日に食べたいものを食べる」こと。
何でもいい、お腹を満たせればいいじゃなくて、ほんとうに食べたいものを食べる。
今は自粛の時期もあり、好きなファッションからは遠ざかり本当に食のことばかり考えてるよ。
あとは読みたかった漫画と映画を楽しんでる。

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