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好きになった人は…

完全に好きになってしまった。
2回しか会った事がない人。
名前しか知らない人。

背が高く、スーツが似合うカッコいい人。

気がつくと、その人の事を考えている。
次に会う約束もしていない。
このまま、会えないであろう人。

当時、携帯電話も無かったから、メールも、LINEもできないし、会いたいとも言えなかった。

でも、奇跡が起きた。
そして、その奇跡の後に、衝撃な事実を知ってしまう。

それは、私が、会いたい。会いたい。言って2、3週間経ったころ、その人から連絡が来た。

また、スキーに行きませんか?と。
その打ち合わせをしたいから、この前会ったお店で会おう。と。

私は、嬉しくなってその事を先輩に言う前に彼に会うために急いだ。

そして、彼がニコニコしながら店の外で待っていた。

私は、嬉しくなって、いつも以上にはしゃいていた。

お酒を飲みながらいろんな話をした。

出身地や、身長、趣味など、仕事の事など、いろいろ聞いた。

青森県出身の、182センチ、スキーと浜田省吾が大好きな26歳だった。
当時私は、22歳だったので、4才年上だった。
手が大きくて、目がクリクリして、彫りの深い顔、何となく津軽弁を隠して
ボソボソ喋る人で、学生時代は、ボクシングをしていた人だった。

私は、ますます好きになった。

そして、スキーに行く計画をたてた。
何人で行くか?
どこにするか?
いつ行くか?
もう、わくわくが止まらなかった。

話が盛り上がり、あっという間に閉店時間。そして、終電を逃してしまった。

歩いて帰ると2時間はかかるかな、
と思っていたら、うちに来る?歩いて、15分ぐらいだから。良かったら。と。

私は、少しでも彼と一緒にいたくて、
オッケーしてしまった。

そして、彼のマンションの玄関が開いた。
ドキドキが止まらなかった。

でも、一瞬にして目に入ったのが
玄関に置いてあったスキーの板。

男性用の長い板と、
女性用の可愛い短い板。

それを見た瞬間、涙が溢れて来た。

どう言う事?
なぜ私を誘ったの?  
なんで、電話なんてかけて来たの?
なんで、家に呼んだの?

動けないでいる私を見て
彼は抱きしめた。

私は、振り払って部屋から出た。
名前で呼ばれ、一瞬止まったけど
走って帰ろうとした。

腕を掴まれて、抱き寄せられ
キスされた。

もう、私は動けなくなった。

ごめん。ちゃんと話すから。
話したい事あるけど、話せなかった。
だから、部屋に入って話を聞いて欲しい。
何を話そうとしてるの?
私は、怖かった。
でも、彼に抱きしめられ、キスされて
私は、うん。と言ってしまった。

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