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短編小説『中途半端な季節』

秋のような夏。夏のような秋。今が一番好きな季節かもしれない。

中途半端な僕を受け入れてくれる、そんな季節。


なんとなくコーヒーを飲みたくなって、カフェに来た。コーヒーを飲みたい明確な理由なんてなかったから、ホットコーヒーを飲みたいのか、アイスコーヒーを飲みたいのか分からない。

並んでいるお客さんがいないのをいいことに、メニューを見て佇む。夕方という、昼と夜の境目が僕をさらに中途半端にさせる。

「悩みますよね、この時期」

待ちきれないのか、店員さんが声をかける。さすがに悩みすぎか。

「すみません、待たせてしまって。アイスコーヒーをお願いします」
「あ、いえ、急がせてしまって申し訳ございません!」

ふんわかとした女の子を謝らせてしまった。中途半端な僕が悪い。



チェーン店のロゴ入りグラスに注がれた、アイスコーヒー。

僕もロゴのように刻まれる何かがほしい…なんて考えた、九月の夕暮れのテラス席。カラスが一羽鳴いていた。



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