短編小説『初めてのホワイトデー』
バレンタインデーに初めて彼女ができた。女同士で付き合えるなんて、本命チョコをもらえるなんて、今でも夢みたい。
彼女の江崎さんがこのカフェで働き始めたのは、1年前。私は3年目。
江崎さん…リエは150cmぐらいかな。猫みたいに可愛くて、カウンターやフロアをちょこちょこ歩く。
「よく大学生に間違えられるんですよー」と本人も言ってた通り、28には見えない。童顔も高めの声も羨ましい。羨ましいっていうか、その、だいぶ好き。
「森永さん、ほんとに私が初めてなんですか?」
「だから初めてだって」
「ふふっ…じゃあ私のほうが先輩ですね」
彼女は2人と付き合ったらしく、職場では見せない、得意げな様子も可愛い。
恋人とホワイトデーを過ごすのも当然初めてだ。お返しはクッキーが正解か分からないまま、今日を迎えてしまった。
「仕事終わったら、どっか食べに行く?」
「行きます!」
正解なんていらないか。私はリエと一緒ならどこでもいい。
※こちらの続きです。
今年は月曜がバレンタインデー・ホワイトデーだったので、便乗して書いてみました。
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