短編小説『もっと話そう』
女の子じゃなかった。
「ごめんなさい、実は男です」と聞いて、実はそうかもと思ってたし、そんなに驚かなかった。
僕がよく利用するVRカフェ。現実の店舗ではなく、VR空間にあるカフェだ。そこで仲良くなった女の子、モカ。
VRに慣れてなくてウロウロしてた僕にモカが話しかけてくれて、使い方を知り、平日の夜はVRカフェで会うようになった。
僕は剣士の姿をした男のアバター、モカはひらひらのワンピース姿の女の子。カフェ内のゲームで遊んだり、最近流行っているVRの話をしたりして、現実とは違う時間を楽しんだ。
盛り上がって、つい「リアルに会って話さない?」と言ってしまい、モカが男だと判明した。
「謝ることないよ。男でも女でも嬉しいよ。でも、ほんと、無理にとは言わない。よかったら」と返した。嘘はない。
「嬉しい。あ…ぼ、ぼ、僕も会って話したい」
僕らは同じ区内にいる。大丈夫。リアルでも何も変わらないよ。また話そうよ。
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