短編エッセイ『美容室のコーヒー』
美容室で飲むコーヒーが好きだ。
美容室なら、髪を切ったり、シャンプーしたり、染めたりするだけで充分。髪が整えば、何も文句はない。
コーヒーはなくたっていい。何も問題ない。
それなのに、いつからだろう。美容室で髪を染めると、飲み物を聞かれるようになったのは。美容室によってオレンジジュースがあったり、お茶があったり。ただ、コーヒーは必ずある。
カラーを頼んだときにだけ出てくるコーヒー。カラー剤を髪の隅々に塗りまくられた後、待ち時間用にコーヒーは登場する。その優しさが好きだ。
雑誌を読みながらコーヒーを飲むのが主流だったが、疫病で雑誌は読めないらしい。iPhone片手に時間をつぶす。
ちょっとずつ飲んでいると、紙コップ3分の1程残っているのに、シャンプー台へ連れて行かれる。
ドライヤーも終わって立ち上がり、そそくさと残りを飲み干す。ここまでがセット。美容室のコーヒーを飲むスピードは、何年経っても掴めない。
サポートしてくださった分は、4コマに必要な文房具(ペン・コピック等)やコーヒー代に使います。何より、noteを続けるモチベーションが急激に上がります。