見出し画像

短編小説『別世界へ』

カフェで、音楽に没頭する。

友達が好きなミュージシャンが『ヘッドホンの中は別世界』と歌う。その曲はカバーだと教えてくれるまで、半年もかかった。そう、エミにはそういうところがある。


17時は絶妙に人が少ない。私はそこを狙って出かける。今日もすぐに座れた。

音楽に没頭してるつもりでも、ノイズキャンセリングのイヤホンを作った人は、私と似た過去を生きたのかなーなんて思ったりする。

ホットコーヒーはすっかり冷めて、手帳に書くこともなくなってきた。人が少ない時間にここに来ても、特にやることはない。コーヒーを頼んで、イヤホンで騒音を消して、音楽に酔うのがなんか好き。


エミはただの八方美人と思ってたけど、物知りで、音楽の話ができる唯一のクラスメイト。皆と仲が良くて、逆に誰を友達と思っているのか分からない。


スマホが光り、通知が来たと知らせる。

『もうすぐ着く!』

初めてここにエミを呼んだ。明日は休み。何時間でも話したい。



サポートしてくださった分は、4コマに必要な文房具(ペン・コピック等)やコーヒー代に使います。何より、noteを続けるモチベーションが急激に上がります。