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King Gnuの魅力 | 「もっと早く聴けばよかった…」が減りますように

私がKing Gnuの曲をちゃんと聴いたのは、今年の8月10日だ。

『白日』のMVの再生回数が2億回を超え、名前は何となく知っていた。でも、なぜか聴いていなかった。

恥ずかしながら、「キングヌー」と読めたのは最近の話だ。

昨年は紅白初出場。でも、注目していなかった。歌ったのは知っているが、「見た……かな?」ぐらいの薄い記憶。


タイムマシンがあるなら昨年に戻って、一から出直したい。King Gnuに出会って3ヶ月が経とうとしている今も、ずっと悔やんでいる。

私よ!なぜ!もっと早く聴かなかった!!!!
魅力しかないこのバンドを!なぜ!聴かなかった!!!!

…それぐらい今はKing Gnuにハマり、ここ最近は毎朝必ず『Teenager Forever』を聴く生活を送っている。もはやモーニングルーティン。


私のように「もっと早く聴いておけばよかった…」と悔やむ人が1人でも減ってほしいという希望を抱きながら、King Gnuの魅力を書きつづる。


『飛行艇』に一瞬で揺さぶられた

King Gnuの曲を聴き始めたきっかけは忘れもしない、8月10日の『プロフェッショナル 仕事の流儀「石川佳純スペシャル」』。

番組の冒頭で流れたのが、King Gnuの『飛行艇』だった。

昨年のラグビーW杯で話題になったらしいが、全然知らなかった。ラグビーの試合を見てたのに、なぜ…(また悔やむ)


YouTubeでMVを見て、すぐさま1曲まるまる聴いた。

そりゃ話題になるし、紅白に出るし、売れないはずがないわ…と秒で納得。

MVのセンスにも恐れ戦いた。ストーリー性、衣装、演出、ドラムに合わせて現れるエンドクレジット。曲に劣っていない。


そして、ちゃんと4人の顔を見た。演奏する姿、歌う姿を見た。

私は音楽を愛してやまないが、技術的なことは分からない。でも、それでも分かる、演奏と歌の技術力の高さ。なぜ今まで知らなかった…(やまぬ後悔)


ようやく『白日』をちゃんと聴き、YouTubeにアップされているMVを全部見た。そりゃ人気だわ…とすべてを悟った。

『飛行艇』が配信リリースされたのは、2019年8月9日。

リリースからほぼ1年後、『飛行艇』は私を光速でファンにした。

指が自然と動き、「King Gnu」と検索するまで時間はかからなかった。Spotifyで毎日聴き、あらゆる動画を見て、インタビューを読み、沼にすっぽりと浸かっている。


King Gnuについて知れば知るほど、沼は深くなる。どうしようもない運命。


4人とも違って、4人とも魅力がハンパない

King Gnuとして4人が活動を始めて、3年と約半年。

まず、2015年に今のメンバーでSri.Vinci(サーヴァ・ヴィンチ)として活動開始。2017年にKing Gnuへ改名した。


King Gnuは4人とも個性が強い。もう、このアーティスト写真がとてつもなくいい…いいよね……。

個人のイメージと心の声をふんだんに織り交ぜながら、メンバー4人をご紹介する。


常田 大希(つねた だいき)
ギター・ボーカル・ピアノ・チェロ担当。King Gnuの全楽曲の作詞・作曲を手掛けている。東京藝術大学音楽学部器楽科チェロ専攻を中退。Oh...藝大…。

しかも、MV制作を手がけているクリエイティブ集団『PERIMETRON(ペリメトロン)』を率いているのも常田さん。おいおいマジか…作詞と作曲だけじゃなくて、動画も携わってるん??才能の洪水やん…。

その上、ビジュアルも最強。初めて見たとき、「え?ジョニー・デップ??」と思うしかなかった。

現在28歳にして、この色気とオーラ。ちょっともう無理。耐えられない。10年後、私は常田さんのオーラで死ぬんじゃないかな…。


オーラつながりで、この動画もご紹介。
ファッションブランド『N.HOOLYWOOD(エヌ.ハリウッド)』のショーでは制作した曲をチェロで生演奏した。後世に語り継ぐべき3分。


かと思いきや、『Teenager Forever』での赤ちゃんのような笑顔(2分34秒頃)
はぁーー無理。もう無理。心が無理って言うとる。
ギャップがえげつない…!えげつない!!(大事なことは2回言うタイプ)



井口 理(いぐち さとる)
ボーカル・キーボード担当。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。バンド内に東京藝大出身者が2人もいるなんて、すごすぎる…。

常田さんとは幼なじみ。幼なじみでツインボーカルで、こんなに人気なんてすごくない?(誰に聞いてる?)

井口さんは高音担当。しかも音域が広い。なんというか、もう、さすが声楽科という感じ。


『白日』を何十回もカラオケで歌ったが、全然うまく歌えない。歌うと難しさがよく分かる。

繊細で美しい歌声。コーラスも完璧。ポルノグラフィティの岡野昭仁さんご本人と歌われた『アゲハ蝶』は何回見て/聴いても鳥肌が立つ。


井口さんからダダ漏れの末っ子感、とても好き。実際に井口さんは4人兄弟の末っ子で、King Gnuでも1番年下(井口さんは93年生、他3人は92年生)

素直で、健気な感じがとてもいい。ムードメーカーで、芸人のような面白さも兼ね備えている。


新井 和輝(あらい かずき)
ベース・コーラス担当。シンセベースやコントラバスなども演奏。
King Gnuでは母親のような存在で、まとめ役の感じもある。

『Teenager Forever』では新井さんのリアルお母様が出演されていて、車をリアルにプレゼントした(1分12秒頃) ただの聖人。

新井さんは井口さんと3年ほど同居し、ラジオでは“この2年半で約500回洗濯を回して、理は2回ぐらいしか回してない。”と話していた。どれだけ聖人なんだ…。

そして、いつも冷静で動じないイメージがある。抜群の安定感。

King Gnuは先日、日本人初のレッドブル・アーティストに選ばれた。インタビューでは、相変わらずの冷静さに驚きを隠せない。

(このインタビュー、内容はもちろん、衣装や座ってる姿もいいですよね…。)

新井さんは28歳とは思えないほど、言語化が的確でうますぎる。今自分が考えていることを、とてもきれいに表現できる方。個人的には、新井さん作詞の曲をいつか聴いてみたい。



勢喜 遊(せき ゆう)
ドラム・コーラス・サンプラー担当。お父様がドラマー、お母様がシンガーという音楽一家。

まず、勢喜 遊という名前!本名ですよ?!素晴らしすぎませんか?(誰に聞いてる?) ご両親のセンス、素敵すぎる…。


素人目で見ても、「ドラムが上手い」と分かる上手さ。しかもドラムとサンプラーを同時に演奏するってどういうこと??(真ん中の機械がサンプラー)

髪型をコロコロ変えていて、時には金髪、時にはピンク。派手めで独特なのに、おしゃれが成り立っているこのセンスよ…。

トークは、斜め上で予想外の言葉選びがいちいち面白い。クセになる面白さ。

見た目だけで判断すると、King Gnuで1番ぶっ飛んでそうに見えるかもしれない。しかし、結婚しているのは勢喜さんだけという意外さ。これもまた魅力。

随所で垣間見える優しさに、ほんわかする。ドラムをあんなに高レベルで叩く人と同じ人とは思えない。

『Teenager Forever』のMVで肩をポンポンと叩くところ、めっちゃ好きです。


ここで余談を。

私の中で「O型はセンスがいい」が定説だ。King Gnuは井口さんがAB型、他の3人がO型。知ったとき、センスがいいわけだと深く納得した。井口さんはある意味納得。


名曲だらけ。名曲しかない。

私は音楽が好きだ。このまま一生好きだろう。

しかし、「このコードがいい」とか「あの弾き方はすごい」とか、技術的なことは分からない。

分からないなりに、King Gnuの音楽的な魅力を伝えてみる。


【メロディ
同じ人が作曲した曲をいくつも聴いていると、「この曲ってあのアーティストが作ったよね??」と分かることがある。曲によってはイントロで「もしかして〇〇の曲?」と当てられる。

King Gnuの曲にはそれがない。
パッと聴いても「これはKing Gnuの曲?」とは分からなかった。


たとえば、これまで挙げた『白日』『飛行艇』『Teenager Forever』はどれも色が違う。

『白日』はイントロでバラードかと思いきや、ノリノリになれる、なんとも説明が難しいメロディ(頼むから聴いてほしい)

『飛行艇』はどっしりとした低音とテンポにしびれる。『Teenager Forever』はまさにティーンのような疾走感があふれている。


ツインボーカルだし、井口さんの音域が広すぎる。だから分かりにくいのだと思う。

たとえば、『Slumberland』は常田さん、『Prayer X』は井口さんがメインボーカルで歌っている。


メインボーカルが変わっている上、イントロから雰囲気がガラッと違う。まるで別バンドのようにすら感じる。

しかも、この2曲は2ndアルバム『Sympa』に収録されている。アルバムを聴くと、メロディの幅の広さにとことん驚かされる。

2ndアルバムから、メロディの印象が強い2曲を挙げる。

まずは『Flash!!!』。King Gnu名義の1stシングル。

イントロでしびれて、動けなくなる曲。

King Gnuというバンドのセンスが最初にドバッと溢れ出し、さらに、気概や覚悟も感じられる。

常田さんが歌い始めるまで、約32秒。その32秒にドラム、ベース、ギターのセンスがこれでもか!と詰められているように思う。ボーカルの勢いもすさまじい。


そして外せないのが『The hole』。

King Gnu屈指のバラードで、最初はピアノと井口さんのボーカルのみ。

井口さんの繊細な美声に泣かされる。弦楽器も印象的で、背中を押すように泣かせにくる。

この『The hole』は今年8月のストリーミング配信のライブがとてつもなく素晴らしくて、ライブ後にリピートで聴きまくった曲。



1stアルバム『Tokyo Rendez-Vous』は、『破裂』で度肝を抜かれた。

メロディ、絶妙な音数、侘び寂び、弦楽器、井口さんの歌の巧さ。いや…こんなの1stアルバムなわけがない…と感じてしまう。音楽の知識は深くないが、完成度の高さにただただ驚いた。


3rdアルバム『CEREMONY』は、おそらく今年の名盤MYランキング1位だろう。1曲目『開会式』からラストの『閉会式』まで、圧倒されたまま時間が過ぎる。全12曲中7曲がタイアップ曲。実質的なベスト盤といえる。


King Gnuの曲はすべて、常田さんが作詞も作曲も手掛けている。編曲は他のメンバーも携わっている。

4人それぞれ、いろんなジャンルの音楽を吸収し、自分のバンドに昇華しているのだとバシバシ感じる。『トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイルバンド』と称されるのも納得だ。

4人の個性も曲も、それぞれ違って全部いい。


【歌詞

私は歌詞が好きで、小説のように読み込む癖がある。

King Gnuの歌詞は常田さんが書かれている。
常田さんの歌詞は、いつもどこか儚さや切なさを感じる。


YouTubeのMV再生回数が2億8,000万回を突破した、『白日』。

真っ白に全てさよなら
降りしきる雪よ
全てを包み込んでくれ
今日だけは
全てを隠してくれ
ー『白日』

この歌詞は『白日』のサビだ。“降りしきる雪”に“隠してくれ”がなんともたまらない。儚く、切ない。

この曲は春でも夏でも秋でもダメで、冬しか成り立たない。全てを真っ白に包み込み、傷口をえぐるように冷たく、凍てつく雪。

以下は冒頭の歌詞。初めて聴いたとき、“犯した罪を知る”で心をつかまれた。

時には誰かを
知らず知らずのうちに
傷つけてしまったり
失ったりして初めて
犯した罪を知る
ー『白日』

暖房などない。そう、刑務所のような寒さに、自ら身を置いている。そんな雰囲気も感じる。冬以外では成り立たない。


さらにもう1曲。

『飛行艇』は音も歌詞も力強く、応援ソングといってよいだろう。“命揺らせ 命揺らせ”は聴いていると本当に命を揺さぶられる。自然とやる気がみなぎる。

他にも、力強い言葉が並ぶ。

・正しさばかりに恐れ戦かないで
・今夜この街を飛び立って
・一歩ずつでいいさ
ー『飛行艇』

そんな強さが並ぶ中、こんな歌詞が出てくる。

代わり映えしない日常の片隅で
無邪気に笑っていられたらいいよな
ー『飛行艇』

これは2番の出だし。この2行はどうも異質で、妙に引っかかる。
他の箇所は風が吹き、ここだけ風が止んでいる…。そんな感じを受けるのだ。

“今夜この街を飛び立って”と書きつつも、“代わり映えしない日常”が歌詞に登場する。この2行があるのとないのとでは、大きく印象が違う。

冒頭の歌詞に“夢”とある。

どんな夢を見に行こうか
ー『飛行艇』 

「“代わり映えしない日常”=現実」と「夢」の対比はつらくもあるが、希望も抱く。


常田さんの歌詞には、“〜よな”という語尾がたびたび登場する。

自分もしくは相手に語りかけるような優しい口調で、ほんのりと希望を感じさせ、とても好きだ。絶妙な語尾だと思う。

“無邪気に笑っていられたらいいよな”は
1.(あなたみたいに)無邪気に笑っていられたらいいよな:他人を羨む
2.(将来は)無邪気に笑っていられたらいいよな:願望や期待
3. 無邪気に笑っていられたら(それだけで)いいよな:強い確認
など複数の意味を考えてしまう。

曖昧さを残した絶妙な語尾に、感動すら覚える。


そして『飛行艇』の歌詞はなんといっても、サビの“命揺らせ”が強い。 

米津玄師さんに「サビがないと日本では売れない」のように言われて以来、常田さんはサビを意識して楽曲を作っているらしい。

ところが。ところがどっこいだ。「サビが大事」と言われたところで、そう易々と作れます???天才が天才を呼び起こしたとしか思えない…。

メロディはもちろん、歌詞も、まごうことなきサビだ。しかもただの歌詞ではない。たくさんの人の心を揺らしまくっている歌詞なのだ。


他にも挙げたい歌詞はあるが、挙げるとキリがない。
特に胸を打たれたのはこの歌詞。

僕が傷口になるよ
ー『The hole』

常田さんが書く、切なさと儚さの真骨頂だと思う。僕が傷口になるよ…。薄いガラスのようで、文字だけで泣きそうになる。


今後も目が離せるわけがない

今年1月に3rdアルバムをリリースして以降、King Gnuは新曲を出していない。

事前に“お騒がせしていく”と告知されたとおり、10月に入って怒涛のお騒がせが続いている。(ザワザワお騒がせって言葉がこれまたいい…)

ツアー開催日と新曲発売日を発表。新曲2曲はドコモのCMとドラマのタイアップ。

さらに、常田さん率いるmillennium parade(ミレニアム パレード)の新曲が配信され、井口さんは野村不動産ブランドムービーの主演を務めた。

ブランドムービーというか、これは短編映画。8回観て8回泣いた。(井口さんは俳優でもある。)



『白日』のMVの再生回数が飛び抜けて多いため、「King Gnuは一発屋」と思う人もいるかもしれない。

しかし、『白日』の後に発売された『飛行艇』はオリコンとBillboard JAPANで3位、アルバム『CEREMONY』は1位を記録。

ドラマやCM、映画と引っ切りなしのタイアップ。
日本人アーティスト初のレッドブルとの契約。

10月28日付のSpotifyデイリーチャートを見ると、『白日』15位、『飛行艇』94位、『Teenager Forever』101位、『どろん』151位、『傘』185位。200位以内に5曲入っている。

一発屋なわけがあろうか。何発もあげている。
それに、新曲が多くの人に響く可能性だって大いにある。

ヌーの大群のようにいろんな人を巻き込みながら、熱はずっと続いているのだ。


常田さんは最近のインタビューで次のように語っている。

自分が確かに出会ってきた人たちを遠ざける表現はしたくないなって思ったんですよ。millennium paradeというプロジェクトだろうが、King Gnuだろうが、人を分断する表現はしたくない。それはけっこう自分の中で大きい感覚なんですよね。
音楽ナタリー

ここを読み、心底優しい人だなあと思ったし、King Gnuの4人は人を分断していないように感じた。お互いを分断せず、4人それぞれが培ってきたものを否定しない。だから、多くの人を惹きつけるのだろう。


10月30日、King Gnuは新曲『三文小説』を先行配信する。1月にアルバムを発売して以降、初の新曲だ。

ファンの皆様は首を長くして、今か今かと待ちわびていたに違いない。King Gnuと出会って約3ヶ月の私なんかより、楽しみは何億倍も膨らんでいるだろう。


私がこれまで好きになったアーティストは、解散・活動休止が多い。「まさか解散するなんて…。あ〜〜あの時ライブに行くべきだった!」と何度も悔やんだ。

その後悔が山のようにあるゆえ、この記事を書いた。
(King Gnuを聴くのが遅かったことをすでに悔やんでいるが)

この記事が、King Gnuと出会うきっかけになることを祈って。


King Gnuは今後も目が離せない。離せるわけがない。


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