短編小説『私の本命チョコ』

コンビニもスーパーもデパートも、チョコの山。

チョコを利用する人は大勢いる。商売とか告白とか感謝とか。でもさ、処刑された日なんでしょ?それってどうよ。

私は女で、好きなのも女で、本命チョコを渡したことももらったこともない。一度、友チョコと偽装して渡した。



「今日の帰り、何か予定ありますか?何もなければ相談にのってほしいです」
後輩の江崎さんがレジで話しかける。背が低くて、猫みたいに可愛い。今日?失恋した…?

「何もない、いいよ」
さらっと返す。



「急にすみません」
「いや、全然。暇だし」
「よかったらチョコ…その…好きです」
「え…本命ってこと?」
「そ、そ、そうです。好きです、森永さんのこと」

閉店後の職場、カフェに2人。嘘。どうしよう。好きな人からのチョコ。

「あの…私も好きです」
「ぎゃっ!ほんとですか?」
「そういうとこ、可愛いと思うよ。これからよろしく」

初めてバレンタインデーに感謝。今晩処刑されたっていいわ。



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