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ハローワークはカラ求人が多い

-BBAサバイバル9-

駅やコンビニ、スーパーなど、いたるところに求人情報誌が置かれている。求人誌への掲載は、キャッシュカード位の大きさですら、何万円も請求される。文字を大きくしたり、写真を入れたり、2週連続とか、複数エリア掲載など、掲載料は倍々ゲームで増えていく。スタッフが確保できないとどんどん経費がかさむから、企業の側も力が入る。

それに比べ、ハローワークの掲載料は無料だ。それも、なんと3か月間。ハローワークの求人情報は、どの地域で受け付けたものでもネットであまねく共有されるから、遠いけれど条件がいいといった会社も探せる。ネット検索は便利この上ない。

しかしここにもハローワークの問題点と言うか、お役所仕事の問題点が凝縮されている。利用者視点の欠如とWEB製作技術のお粗末さとが相まって、せっかくのネット検索機能なのに、あきれるほど使い勝手が悪い。サクサク検索できないし、前のページに戻ろうとすると全部振出しに戻ってしまうなんて、ギャ~っと叫んでしまう。ピントのずれた条件設定、意味不明。エリア設定も、いちいち市町村名を入れるとか、複数選択できないとか。利用したことのある人ならお分かりと思う。

悪戦苦闘しているうち、民間の求人サイトを利用する方が便利なことに気づいた。民間のサイトは自社の求人情報に加え、ハロワ情報も載せているものが多い。難点は、おいしそうな情報に釣られて、目移りしてしまうことだが、自制心をもって臨めば、ハロワ自体のページより、ずっと探しやすい。民間は本当に頑張っている。

また、逆から考えると、人材マーケットは金鉱脈みたいに儲かるのだろう。無数の会社がひしめき合っている。求人会社同士の競争も熾烈だから、少しでも見やすいサイト、便利な機能をつけて、求職者を囲い込もうとする。アクセス数が多ければ求人側の企業に対して高い料金を吹っ掛けられる。

ハローワークは、求人側からも、求職側からも、直接お金をもらっているわけではないが、雇用保険料の総額はでかいだろうな。年金や健康保険に比べると格段に少額なので目立たないが、毎月給与の100分の1、月給30万なら3,000円、年間36,000円。ほぼすべての労働者、および企業から徴収するのだ。

みみずは先日、自転車保険に加入した。万が一の対人保証無制限の特約付きで月額340円だった。失業という事態が発生しなければ、掛け捨ての保険料月額3,000円は結構高い気がする。雇用保険料は年間所得800万なら年額8万円。所得が高い人ほど離職率は低いだろうから、保険料収入の大部分は安定している。

税金にしろ保険料にしろ、ハローワークは民から巻き上げたお金で動いている。直接お代金が支払われなくても、活動資金は潤沢に保証されているので、利用者に媚を売る必要はない。典型的な殿様商売だ。

また、やり方がうまいのは、良いお得意様を抱えていることにある。求人側の利用条件で必須なのが社会保険の加入だが、多くの零細企業にとっては越えがたいハードルだ。小規模でも長年手堅い経営をしている会社、実入りの良い商売をしている会社なら、たいした負担ではないのだろうが、ぎりぎりの会社にはつらい。

以前はそうした利用条件は設けられていなかったが、ある時期から社会保険に加入していない事業者はハローワークを利用できなくなった。年金の世代間格差が拡大し、「年金」バカバカしいかも、とみんなが思い始めた頃。政府はこれはまずいと、一丸となって、年金、社会保険離れを食い止めようと躍起になったのである。

なので、ハローワークには、そこそこ粒ぞろいの会社が求人を掲載している。もう一度言う、掲載料はタダである。そこでどういうことが起こるかと言うと、別段求人する必要がない会社も、のべつ幕なし求人を掲載する。無数の小魚を網にかけて、気になる獲物が入っていればとりあえず面接はしてみる。が、人材が逼迫している訳ではないので、余程のことがなければ採用なんて考えていない。

ハローワークの側も、たぶん、地域ごとの求人数のノルマとかもあるのでしょうね。あるいは、所轄ごとに求人件数が張り出されて、「君のところは、最近、掲載数少ないんじゃないの、ちょっと見栄えが悪いから、頑張ってよ」みたいな。

そうすると、求人企業を探す担当者は、「社長、とりあえず掲載だけでいいですから、お願いしますよ。前と同じに、更新しておきますから」

「ハローワークは空(カラ)求人が多い」と、誰かが言っていた。みみずも100%そう思う。


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