美しい汗

朝、長男が学童に行こうとつま先をトントン言わせながら靴を履き、玄関の鏡を見てこう言った。

「なんて美しい汗だ」

朝から室内温度が30℃を超えクーラーをかけたものの、効きの悪い室内で汗ばんだ自分の額に光る汗を見てこう言った。

今まで、自分の汗を美しいと思ったことが今まであっただろうか。
汗が美しいと感じるのは、部活動を頑張る中高生、テレビで見る甲子園やオリンピックなど、一生懸命の果てに生まれる汗、その経緯への称賛も含めての「美しい」だ。

それなのに、蒸し暑い居間でだらだらと朝のテレビを見ながら朝食のパンを食べながら生まれた汗を美しいと言う息子に、私は虚をつかれた。
そんな言葉をさらりと残し、じゃあいってきます〜と軽やかに息子は出かけた。
それはそれは美しかった。

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