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行方不明の我が子を探す母に向けられた言葉がイタイ 映画「チェンジリング」 #439

野生動物たちがどうやって自分の子どもを見分けているのか、疑問に感じたことはありませんか?

多くの動物は臭いと見た目で判断しているそうです。ニューヨーク市立大学のJoshua Plotnik心理学助教授によると、「仲間とのあいだでは特に聴覚、嗅覚、触覚に大きく頼っている可能性」があるとのこと。

どれだけ大きくなっても、親は子どもを見分けられる、のかしら。

行方不明になった我が子が発見されたと思ったら、まったくの別人。警察に訴えても耳を貸してもらえない……という映画が「チェンジリング」です。クリント・イーストウッドが監督、アンジェリーナ・ジョリーが主演という豪華な組み合わせで、実際に起きた事件を映画化しました。

<あらすじ>
1928年、ロサンゼルス。シングルマザーで、電話会社に勤務するクリスティンは息子ウォルターとふたり暮らし。緊急で休日出勤した後、家に帰ってみると、息子は行方不明に。5か月後、警察から息子が発見されたという知らせが入り、迎えに行ってみると、そこにいたのは見知らぬ少年だった……。

当時、結婚して子どもができたばかりのアンジェリーナ・ジョリーは、この映画への出演をためらったと語っていました。撮影期間、自分は「子どもを探すパニック状態の女性」になってしまう。そのため、リアル生活の子どもたちに影響を与えてしまうのではないか、と。

映画の中では完全に「頭のおかしい人」扱いを受けています。

アンジェリーナ・ジョリー演じるクリスティンは、「発見された息子」が我が子でないことを、「外見」で見抜きます。顔立ちはもちろん、身長は7センチも低いし、割礼されているし。一方の警察は「子どもの成長は速いんですよ」「緊張状態にあったからですよ」なんて言うばかり。

ロス警察も、医者も、彼女の言い分を信じず、「女だから冷静に、客観的に、理性的に判断できないのだ」と断じてしまう。警察に抵抗した彼女は、ついに精神病院に入れられてしまうのです。

一度こうだと信じた脳内ストーリーを変えられない。誤りを認められない。そんな姿は「リチャード・ジュエル」にも共通しますね。クリント・イーストウッド監督って、ホントに悲劇を描くのがうまいんだなと感じます。

別の場所で連続殺人犯が逮捕され、もしかしたらウォルターも?と話は続いていきます。はたして息子は生きているのか……。

緊迫感のある展開がずっと続くので胸がつまりますが、アンジェリーナ・ジョリーの熱演にご注目。「母は強し」なんて言葉を蹴飛ばすような強さ。母の信念を強く感じる映画です。

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