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ふふふとなる短編集 『トイレで読む、トイレのためのトイレ小説』 #273

トイレが詰まった夢をみたら、それが現実になってしまったという、ウソのようなホントの話。現実の方が「やばいよやばいよ、気づいてや~」と夢を通してメッセージを送ってくれたのか、「こんなことあったらイヤだな~」となんとなく思っていたことを引き寄せてしまったのか。

トイレにはちょっと神秘を感じますね。神様もいるらしいし。

わたしがお風呂で本を読んでいると、ダンナは「信じられない」と言います。反対に、ダンナはトイレで新聞やマンガを読んでいるのですが、わたしはそれをやりません。

ある有名ダンサーの話を聞いたからです。

ダンサーは身体の筋肉すべてを、思い通りにコントロールする必要があります。そのため、日常生活で身体を動かす時も、筋肉を意識するようにしているのだとか。だからトイレに入っている間も、本を読んだりせず、お尻の筋肉に意識を集中するのだそうです……。

マジか!?

お風呂やトイレといった最大限リラックスしている空間って、そうそうないですよね? そんな場所で読む本は、図書館やカフェでの読書とは違うものがいい。

トイレで読む、トイレのための小説があるんです。作者の雹月あさみさんは「第3回カクヨムWeb小説コンテストキャラクター文芸部門」で特別賞を受賞され、作品が書籍化ました。それが『トイレで読む、トイレのためのトイレ小説』です。

どれも短くて、あっという間に読めます。トイレタイムにぴったりの短編集。イラストはヨシタケシンスケさん。『思わず考えちゃう』の著者の方です。

ヨシタケさんのイラストを活かした紹介動画もありました。あるあるな光景を見ているだけで、ふふふとなってしまう。

「ふた巻きめ」に収められている小説は、「さるかに合戦」のトイレバージョンや、スマホをトイレに落としてしまったカップルのお話など。

流れる水の中からスマホを拾い上げた彼女。電源ボタンを押しますが、電源が入りません。

私のスマホは防水仕様じゃない。こういう時どうしたらいいんだろう。
ネットで調べようにもスマホが動かない。

ふふふ。一大事ってこういうことですね。

本の最初にはランダムに並んだひらがなの表があります。その中から最初に見つけた3つの言葉が「今、あなたが手に入れたいこと」なのだそう。

わたしは「ぼっとん」「ゆめ」「べると」でした。

確かに、ベルトが古くなったので買い換えたいなーと思っていたのでした。このままいくとスカートが「ぼっとん」する「ゆめ」を見ちゃうかもしれない。トイレ詰まり事件のように、その夢が現実を引き寄せてしまうかもしれない。

一大事になる前に買物に行きたい。

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