スマホを公開……できますか? 映画「完璧な他人」 #137
パートナーのスマホを見てしまい、見なきゃよかったと後悔する。「だったら見なきゃいいのに」と思ってしまいますが、こんなドライな考え方をするわたしでも、「電話やメールなど、全部見せ合いっこしましょー」と言われたら考えてしまうかもしれません。
やましいことはない。
ただ、見たくないものを見てしまう可能性はあるから。
韓国映画「完璧な他人」は気楽に始めたゲームが、とんでもない展開になってしまうというブラックな映画。2016年に公開されたイタリア映画「おとなの事情」の韓国版リメイクです。
幼なじみとその妻たち、3組の夫婦+1人が引越祝いのために集まります。そこでひとりが提案。
「スマホを公開しましょ」
夫婦の間に秘密がないなら電話やメールなどを公開しても平気でしょ♡というゲームを始めるんです。
今の時代、携帯電話はプライベートな諸々が詰まったブラックボックスですよね。長年の付き合いとはいえ、友だちに言えないことだってあるし、隠し事のない夫婦なんているの!?
予想通り、パーティはどんどん険悪になり、修羅場となり……というお話です。この映画の美術スタッフのうち、20代のメンバーで実際にこのゲームをしてみたところ、15分ほどで修羅場になり、退散する人も出たとのこと。恐ろしい。笑
・イタリア版の方が会話がしゃれていたような気がするけど、ギャグのセンスはお国柄かも。
・医者夫婦の家とはいえ、インテリアがゴージャス! クラゲの水槽ほしい。
・イタリア版で“女と男”を“MacとWindows”にたとえていたのが、“iPhoneとAndroid”に変更されていた。時代ですねー。
・チョ・ジヌンが演じたソクホのエピソードは、イ・ジェギュ監督自身の話が入っている。
・結婚指輪がクルクルと回り続けるシーンは、クリストファー・ノーラン監督の「インセプション」へのオマージュなのだそう。レオナルド・ディカプリオ演じる主人公のコブが大事にしているコマの役割ですね。
このパーティは皆既月食の夜に開かれるのですが、古代では天文現象と地上での出来事や人間の運命は関連していると信じられていました。そのため占星術における月食は、過去の苦しみや悲しみといった感情を手放し、新たなスタートを切る準備のタイミングを意味するのだそう。
隠されていた顔が次々明らかになって、友情も愛情もこんなにあっけなく崩壊するのか……と思いきや、後味はさわやかにできています。超ブラックだけどコメディなので、たくさん笑えますよ。ギリシャ、スペイン、ロシア、インドなどでもリメイクされています。見比べてみるのもおもしろそうですね。
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