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萎縮することなく発言する自由を 『ネット炎上の研究』 #324

ツイッタラーさんってメンタルの強い人が多いんだなーというのが、わたしの印象です。

わたしの場合、何か事件や批判の嵐が起きている時は、タイムラインをながめるのもつらくなるので、Twitter自体を開くことがなくなってしまう。でも、Twitter大好きなツイッタラーさんたちは、ちゃんとTwitterにいるんですよね。強いなーと感じます。

『ネット炎上の研究』によると、炎上に参加している人はネット利用者の0.5%なのだそうです。

計量経済学者である田中辰雄さんと山口真一さんによる、炎上の定量的分析をした本です。炎上の原因と対策について詳しく書かれています。

「炎上」という言葉の定義はいろいろあるようですが、この本での定義はこちら。

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2016年に出版された本なので、この時よりもTwitterをはじめとするSNSの利用者数は増えているでしょう。そして、この間にも炎上案件はありましたが、まずはこの本が出た時点での炎上が分類されています。

炎上

数ある炎上を分類し、予防策と対策を提起。また、炎上の社会的コストについても触れられています。

では、炎上に参加する人はどういう人なのか。

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こちらは約2万人に対するアンケート調査の結果から浮かび上がった属性です。「ネット上でイヤな思いをしたことがある」のに、人を攻撃するとは、よく分からんですね。でも自分が正しいと思いこんでいたら、自分の言動が相手にイヤな思いをさせているとは気づかないのかも。

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意外なことに、炎上に参加したことがある人は1.1%。2回以上書き込んだことがある人はその半分程度。こちらの数字をいろいろスクリーニングして割り出した数字が「0.5%」です。

ただ、数字としては数十人の攻撃だとしても、される側としてはたまったものではありません。「こんな目に遭うくらいなら、なにも発信しない方がいいや」と考えるようになることが、最大の問題点であり、損失です。

話は変わりますが、昨日(5月28日)に、本屋B&Bのイベントで、西田善太さん×中川淳一郎さん×嶋浩一郎さんの対談がありました。

雑誌「BRUTUS」の編集長である西田善太さんは、雑誌の発売日には精神的に不安定になるとのこと。「その気分を毎日、毎分やってんだから、中川はよくがんばったよなー!」と何度もお話されていました。

でも、中川さんがセミリタイアを決めた理由は「PV競争、炎上対策から離れたい」から。

せつないなー。それがTwitterであれ、会社の会議であれ、発言には配慮が必要だし、責任をもたなくてはいけません。一方で、萎縮することなく自分の考えを語る自由はあります。

Googleは「Democracy on the web works.= ウェブ上の民主主義は機能する」という哲学を掲げていますが、さて、はたして、という気分です。

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