思い出はおいしい


洋食ランチってなぜかワクワクする。

今日は菫連で、京都MOJOにて演奏。
会場入りは13時。ちょうど昼時。

四条烏丸から、新町に向かう途中にある、
レストラン亜樹。

「いらっしゃいませ」
優しそうなママさんが迎え入れてくれた。
お店はほぼ満席で、入口近くの角の席に座った。
すぐ後に常連さんらしき人が見えられて、
ママさんが声をかけていた。
「毎度ありがとうございます。少々お待ち下さい」
毎度って響きがとても自然で、労ってて、
なんかいいなって思った。

『チャリーン』

後ろの席のマダムが、フォークを落とされたらしく
ママさんがすぐフォローに動く。
「お箸で食べるから大丈夫よ。」
マダムはそうおっしゃり、
お店は食事を楽しむ人たち、
食事を待ってワクワクする人たちの姿に戻った。


日替わりランチは、ポークカツとエビフライ。
デミグラスソースが、ウマイ。ああ、美味い。
丁寧に衣コートされたエビフライ、ウマイ。
タルタルソース、美味い。
そして、ナイフがやたら使いやすい。切れる。
しかし、フォークで食べるライスは難しい。
デミグラスソースとカツが残っているうちに
ご飯を放り込みたいのに、もどかしい。

ふと気付いた。
洋食の、ナイフとフォークで食べるのも
おいしさの一部なのかも。

もっと言えばこのもどかしさ体験。
便利と対極のこの感覚、非日常体験だなと。

洋食が一般に広まって、でもまだ珍しい頃とか。
お出かけして、洋食ランチを食べる。
普段はお箸とお茶碗で食べてるけれど、
この日は見慣れないナイフとフォークで。
食べにくいなあ、なんて内心思うけど、
非日常な行為で、特別な気分になりながら
目の前の華やかな料理を口に運ぶのだ。
ちょっとだけ背伸びした気持ち、
それもおいしさの一部だ。

お皿に乗ったときはまだしゃきしゃきだった
千切りキャベツも、
フォークでゆっくり食べるうちに熱で馴染み、
少しだけフォークに乗せやすくなる。
ポークカツが胃袋に消えた後も、
使いきれなかったデミグラスソースと一緒に、
千切りキャベツは残っている。


気付いたらお皿の上は綺麗に片付いていた。

きっと、色んな思い出が洋食にはある。

想像するだけでも、おいしさを感じるなと、

そう思ったライブ前ご飯でした。

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