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議員さんの地味な仕事を知って思ったこと

私はつねづね、「なぜ同じ政党が長く政権を握り続けているんだろう」と疑問に思っていました。

これはきわめて個人的な体験に基づく考え・意見なので、おおいに異議を持たれるかもしれませんが、あくまで個人的見解であることを先にお断りしておきます。

私は、お一人の国会議員の仕事の一端を知る機会に恵まれました。
その経験から思うことです。

同じ政党が長く政権を握り続けているのは、もちろん対抗すべき勢力の力量のなさも大きな要因でしょうが、上記の議員さんを通じて、ちょっと違う理由も感じたのです。

その方、ひとつの国会質疑をおこなうために、かなりの長期間準備をしていました。具体的な時間は忘れましたが「年」単位だったと思います。
で、国会というのは「合意形成の場」だそうです。その質疑の場で出た答弁というのは議事録に残されます。消えません。言ったことは消えないのです。

よくニュースで取り上げられるような丁々発止のやりとりはそんなに多くはなく、ほとんどが事前に質問する側と答える側で合意形成を得るために打ち合わせを相当数やっているんだそうです。「それって出来レースみたいなもの?」と一瞬思うのですが、そこでの議事録が永遠に残るうえ、「あの時言ったあの件、どうなったの?」とのちのち突っ込まれる事にもなるので、ちゃんとした間違いのない答弁が求められるわけです。
劇場型国会って滅多にないんだそうです。

この話を聞いた時、「議員さんは長期間勤めていないと国会の質疑の場にも立てないな」と思いました。なおかつ「あの時言ったあの件、どうなったの?」というツッコミ(追跡調査みたいなもの)は、国民の多数が関心のあるテーマであれば別として、ほとんどはその質問をした議員さんが継続して調査研究をしていきます(マニアックなテーマになればなおさらです)。

ここにある「継続」。これが大きなキーワードです。

議員さんが次の選挙で落選すれば、そこまで積み上げてきた合意形成がそのままとなり、いつの間にかうやむやになったり消滅してしまう可能性が高くなります(マニアックなテーマであればなおさらです)。

で、逆に言えば、私たち一般庶民が「このテーマを国会でも取り上げてほしい! でもすぐには解決しそうもないよなぁ」と思うような事を、

「次で落ちそうだな」

という人には頼みづらいわけです。次の選挙でも勝てる人、つまりなが〜く議員をやってくれそうな人に頼みたくなるのが自然な流れになる。
同じ議員が重複当選したり特定の議員にやけに権力が集中したり、特定の政党が長期政権を握っている背景には、こういう事情があるのか、と感じたのです(私が知っているその議員さんも与党の方でした)。

「じゃあ流動性のある議員構成になることって、非常に難しそう。どうすればその構造が変わるんだろう」

うなってしまいました。

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