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映画へGO!「To Leslie/トゥ・レスリー」

(※多少のネタバレあります)
宝くじに当選するも酒に使い果たしてしまったシングルマザーの物語・・
と聞くと、なんだか後味悪くて気持ちが沈んでしまうような気がして避けていたのですが、他に観たいものがないちょうどエアポケットなタイミングだったのと、妻がぜひ観てみたいというので、映画館に足を運びました。

で、結論から言うと、アンドレア・ライズボローの繊細な喜怒哀楽の演技を堪能でき、「あぁ観て良かったぁ」としみじみと思える、希望あるエンディングの名作だったのでした。

始まって半分以上は、主人公レスリーのダメ人間・ダメマザーぶりがこれでもか、これでもか、というくらい描かれ続けます。
この先立ち直っていくような予兆すら感じさせない、救いのない展開に、案の定気分が重くなります。

ところがどうでしょう?レスリーは確かにクズなのですが、どこかほんのかすかに、人としての品格・尊厳が残っているようにも感じ取れます。
それは監督の描き方の演出的計算が見事だということかもしれませんが、おかげで、希望のあるラストのリアリティーへと無理なくつながっていくのでした。

物語の後半。何か特別ドラマティックな出来事があるわけではありませんが、少しづつレスリーにも運が向いてきます。
そしてその幸運に、本人がなかなか気づけなかったり、手放しそうにもなるので、観ている方がヤキモキしてしまうのですが、いろいろな出来事の積み重ねや人との出会い・思いやりによって、レスリーはギリギリのところで踏みとどまり、いよいよ自分の人生を取り戻す瞬間へと進んで行きます。

エンディングへの道筋は、結構な急展開なので、あれあれ・・という感じではあるものの、決して違和感が先に立ってしまうわけではなく、心打たれる素敵なラストシーンを素直に味わうことができます。
スウィーニー・ロイヤルはもちろん、ナンシーも最後は仲間に戻って本当に良かった。カッコええ女性や。そしてジェームスもよう頑張ったし、レスリーを受け入れてくれてありがとう、という想いに至ったのでした。

本作品はもちろんレスリーが主人公であり、その再生の物語ではあるのですが、タイトルは「To Leslie」。”To”が付きます。
そこには、レスリーを取り巻くいろんな人のいろいろな働きかけ・気持ちの伝達がある気がします。

そして自分も、彼女のような境遇の存在に対して、より良き方向に寄り添える側の人間でありたいと思わせられ、だからこそこの映画のタイトルは「To Leslie」なんだ!と勝手に腑に落ちたのでした。

個人的評価:★★★★☆
インディーズっぽい映画ですが、品格があります。妻に誘われてでしたが、観て良かった!



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