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THE冠/『日本のヘビーメタル』【interview】

3年ぶりのニュー・アルバム『日本のヘビーメタル』を
2020年4月29日にリリースするTHE冠
先日、“333musicツイキャス”で話してくれたように
日本のヘビーメタルを背負っていく覚悟で仕上げた作品だ。
とはいえ、本作でもTHE冠らしい遊び心は満載!
それができるのも
確固たる楽曲、絶妙なアレンジ、
最強な楽器陣が生み出す音、
そして冠徹弥の圧倒的な歌唱力があってこそ。
“なんでもあり”がTHE冠の音楽スタイルだというが、
すべての曲にヘビーメタルの熱き血潮がたぎっている。

       *         *

「1分で」はタイトルまんまの1分サイズ。
イベント持ち時間があと2、3分ある時、演奏できたら、と。   

ーー待望のニュー・アルバム『日本のヘビーメタル』堂々の完成。新作ってことでいえば、3年ぶりになりますか?
冠 徹弥(以下、)アルバム『奪還』を出したのが2017年なので、前作から3年弱経ちましたね。その間はもちろん、ライヴやツアーをずっとやりつつ、jealkbとコラボ・シングルを出したり、メタル・ユニット“120600mAh”に楽曲提供、サウンド・プロデュースをさせていただいたり。また、新感線☆RSの舞台『メタルマクベス』とかもあったんで時間がかかりましたね。
ーー『メタルマクベス』は公演期間も長かったですもんね。
冠:僕は“disc1”と“disc3”に出て、なんやかんや半年くらい。
ーーまた、テレビでもちょくちょく冠さんを拝見してましたし。
冠:たま~に。BSフジの『クイズ!脳ベルSHOW』とか。なので、サボってたわけじゃなくいろいろやっていて、ようやくアルバムを出せるという感じです。
ーー制作は、いつ頃から?
冠:去年の夏くらいからですね、本格的に創り出したのは。レコーディング自体は今年に入ってから一気にやって。元々、今年3月はライヴの本数を少なくしてレコーディングに充てようと考えていたんです。それでたまたま他のアーティストさんより新型コロナ騒動の被害は少なかったというか。それでもゼロじゃないですけど。“KNOTFEST JAPAN 2020”や、毎年恒例の“THE冠表裏ワンマン”がなくなって。“KNOTFEST JAPAN 2020”で売ろうと思ってた作った物販が家に山ほどあるっていう(苦笑)。
ーーそれは辛い(苦笑)。時期的なことでいえば、新型コロナでもろもろ規制がかかった精神状態ではなく、以前のテンションで制作活動はできたんですか?
冠:楽曲は。ただ、歌詞はギリギリになって書いているので、その影響下で書いた歌詞も何曲かありますよ。
ーーああ、やっぱり。ところどころにソレが見え隠れしてました。
冠:例えば「FIRE STARTER」(M5)はデマを流す人をモチーフにしてますし。新型コロナ騒動に限らず、ネットには本当か嘘かわからない情報が溢れているじゃないですか。その時代を踏まえた歌詞になってますね。
ーーいわゆるSNSの炎上がモチーフに?
冠:ですね。“FIRE STARTER”は着火剤というか、焚き付けるヤツというか。そんな意味も込めてのタイトルです。
ーーそれでなのか、冒頭の歌詞が衝撃的。♪人を傷つけたいんだ~♪ですから。
冠:歌の出だしが井上陽水さんの「氷の世界」みたいな(笑)。
ーー実は聴いていて<あれ、出だしの雰囲気、「氷の世界」似てるな…>とうっすら頭を過ぎってましたけど(笑)。ここでネタばらししていいんですか?(笑)
冠:いいかな(笑)。もちろん、まんまじゃないんでね。
ーーあと♪実に笑けるね笑けるね ウケるね~♪という部分、本心じゃない乾いた笑いだと感じたのですが、そこも今っぽいというか。
冠:パソコンや携帯の画面上でしか笑ってないというね。実際に会ったりせず、画面上でしか人との繋がりがないんです、この主人公は。こういうヤツが誰かの受け売りなのか何なのか、正義感を振りかざして文句を書き込んでたりするんでしょうね。誰もが見られるネット上に、わざわざ文句を書き込むヤツの気持ち、僕はよく解らない。
ーー同感です。
冠:そういう時代背景があってできた曲です、「FIRE STARTER」は。そして、そういうヤツらの気持ちをたたき直すために「1分で」(M6)を「FIRE STARTER」の直後にもってきたんですけど。
ーーなるほど!
冠:この「1分で」は文字通り1分で終わりますからね。
ーーまんま捻りがない(笑)。
冠:そのまんまです(笑)。ネタばらしをしちゃうと漫画『あしたのジョー』で、僕が大好きなキャラクター、力石徹が矢吹丈に吐く名台詞で、“1ラウンドじゃねぇ1分だ! そのノータリンを眠らせるのは”っていうのがあって。そこから拝借してるんですよ…って言っちゃっていいのかな?(笑)
ーー(笑)。
冠:結局、漫画のストーリー上では矢吹丈が頑張って、その試合は長くなるんですけど。なので漫画の展開どおりではなく、ちょうど1分でやっつける歌にしてます、曲間の問題でカウンターでは1分2秒と表示されますが。この曲はフェスとかイベントで、持ち時間があと2、3分ある時、“時間が余ったんで、もう1曲やります”って演奏できたらいいなという想いもあって作りました。いったら、ひたすら暴れるだけのハードコア・ソングですけど。
ーーせっかくイベントでTHE冠を観てもらえるなら、1曲でも多く演奏したいですもんね。
冠:せっかくなのでね。

歌詞で多少ふざけても、あの説得力のある演奏のおかげで
THE冠の音楽として成立してると思うんです。

ーーそんなイベントのことを唄ってるんでしょうか、「やけに長い夏の日」(M2)では。
冠:夏のイベントで全然、盛り上がらへんかった時の唄ですけど、別に僕のことを唄ったわけじゃないんですよ。
ーーですよね、イベント勝ちするTHE冠がステージ上でスベりまくることなんてあるわけない。
冠:ま、近い経験はしてますけどね(笑)。
ーーしとんのかい!(笑) でまたイントロがいいんです、デイヴィッド・リー・ロスの「シャイボーイ」を彷彿させるギターが。
冠:そうなんです! 僕もいい年のオジサンなんで、もれなく聴いてきたわけですよ、ヴァン・ヘイレンとか。そこからバリバリ受けた影響をこの曲に入れたろう!と。そのイメージで僕がデモを作ったら、ギターのK-A-Zがさらにスゴいギターを弾いてきて。また、シャッフルの曲って実はTHE冠ではなかったから、これも珍しくてええかなと。前奏の語りみたいな部分、♪今日はこんな素晴らしいフェスに呼んでくれてありがとう!♪ゆーてるんですけど、実際のライヴでは、その日の気分で変えていこう、毎回、違う歌詞にして、その日のヴァージョンで言おうと思ってるんですよ。
ーーさすが。それこそTHE冠スタイルのライヴですよね。また、ライヴによって変えるんだろうなって部分が元からちゃんとあるのが“らしい”というか。
冠:はい、ライヴを想定して曲を書いてますから。ライヴでCDと違うなと気づいても、歌詞を覚えてないんじゃなく変えたんだなって思ってほしいなって。
ーーいじわるな聴き方はやめますね(笑)。
冠:でね、本作はヘビーメタル・アルバムでありながら、バラードもしっかりあるのも面白いところで。アルバム最後の曲「どないやねん」(M11)とか全然、メタルじゃないですから(笑)。ちょっとレゲエ的な要素も入ってますし。普通、ここはギター・ソロやろ?ってところがサックス・ソロだったり(笑)。せっかくやから安いサックスでも買ってライヴでパフォーマンスしようかと思ってるんです。
ーー何なら段ボール製でもいいのでは?
冠:ホントっスね(笑)。段ボール製サックスを小粋に構えて、ソロ・フレーズは口で言おうかな(笑)。♪ポロ~ポロッポッポッポポ~♪って(笑)。口ギターならぬ口サックスを(笑)。
ーーそこで突然、武田真治さんとかが、後ろからスッと現れてほしいですねぇ。
冠:それええな。武田真治さんが間奏で出てきたら絶対盛り上がるでしょ? 間違いなく。
ーー今、美しい筋肉で再ブレイクしてる武田真治さんですから、盛り上がらないはずがない。
冠:武田さん然り、例えばフェスとかで東京スカパラダイスオーケストラと共演できたりしたら…夢は膨らむなぁ。
ーーしかし、こういう曲調もやっちゃうんだってビックリです。
冠:だから、あの曲のタイトルなんです(笑)。さんざんメタルを聴かせた後に、こんな曲出してきてどないやねん!って突っ込んでほしい(笑)。曲調はさておき、メロディーはスゴく好きでね、いい曲できたなと自分では思ってます。なので、唄も歌詞もぜひ聴いてほしい。素敵な曲ですよ。
ーー歌詞は、なるようにしかならないっていうケ・セラ・セラな感じ。冠徹弥さんの生き方は反映されてるんでしょうか?
冠:はい、あれは自分の気持ちも入ってます。
ーーだとすると♪強く吹き荒ぶ風が スカートめくることもあるんだ♪って…何書いてるんですか!(笑)
冠:(笑)。風は行く手を阻むこともあれば、スカートめくることもあって、それで喜ぶ男もいる…男ってバカですよね(笑)。ま、あるがままに進んでいこうぜって熱いことを唄いつつも、ちょっとオモシロ・フレーズ入れたぁなるんですよ、どうしても。
ーーそれが冠徹弥というアーティストの性、男の性なのかも。逆に「メタリックロマンス」(M10)は女性目線ですよね?
冠:これも素敵でしょ? バンドの追っかけ、バンギャの気持ちを想像して唄ってるんです、僕のことをずっと追いかけて来てくれてる方への感謝の意も込めつつ。きっとこんな感じでライヴを観てるのかな?と思いつつ。この歌詞はお客さんの心に刺さるんじゃないですか? 特に女性のファンの方には。
ーー♪その高い声で突き刺して〜♪って思ってくれてるかも?
冠:そう思っていてほしい(笑)。メロディーも歌謡曲っぽい切ないメロディーだし、首を振るのにピッタリの曲調だし。ライヴで唄うのが楽しみやな。
ーードコドコ、バスドラが素晴らしくカッコいいし。
冠:全部、生の音ですからね。
ーー凄い! 予算のことも考えないで、カッコいいものを追究するその精神に敬服します。
冠:そこがねぇ、大変なんです(苦笑)。今時、機械のドラムの音で音源も作れるのに、YOUTH-K!!!が、めちゃめちゃ頑張って叩いてくれましたよ、あんなに難しいドラムを全部。THE冠のサウンドを支える皆さんは本当に凄いんで。音に説得力があるから、また僕の歌詞が活きてくるというか。多少ふざけても、あの演奏があるんで音楽として成立してるんだと思うんですよね。

大人になっても悩みは尽きないけれど、
“だからどうした”の精神で生き抜くだけ。

ーー「FALLING DOWN」(M9)のスクラッチ・ギターといい、他の曲でもカッコいいギターのフレーズ、リフが盛りだくさん。本当にいろんなギター・プレー・スタイルが入ってるじゃないですか、このアルバムの中には。
冠:デモの時点で僕がギターを入れてるんですけど、その何倍もカッコよくK-A-Zが弾いてくれるんでホントにありがたい。デモなんて聴かせられないですわ(笑)。
ーーそれゆえ、このアルバムは、ギター・キッズにはぜひとも聴いてほしい、そして参考にしてほしいと強く思うわけです、私は。
冠:ぜひぜひ!
ーーだって、キッズにとってはヒントの宝庫ですもん。
冠:僕もいろんなところからヒントもらってますから(笑)。
ーー歌詞は中年サラリーマンのボヤきみたいで、キッズの参考にはなりそうもないですが(笑)。これ、お友達のサラリーマンのお話が元になっていたりします?
冠:それにまつわるものと、いろんな情報も入れつつ、また実体験も含めて書いてます。若い子としゃべっていて<俺、オモロイ>と自分で思ってるオジサンの歌です。で、主人公は必死で若者に取り入ろうとして失敗するっていう(笑)。最後なんて♪ぴえん〜♪で終わりますから(笑)。
ーー“ぴえん”は泣いてる様子を現す若者言葉ですが、それすら微妙に古くなりつつあるっていう(笑)。ま、頑張って若者文化を取り入れようとしても♪追いかけて雪国♪(吉幾三のヒット曲名)とか言っちゃってる時点でダメですよ。
冠:あそこで一瞬、場がシーンとするっていう(笑)。だいたい唄いだしの部分、親睦会するから呑みに行こうぜ、みたいなこと言ってるとこからオッサンのスベリは始まってますよ。
ーー昨今では強引な呑み誘いも、若者からパワー・ハラスメントと言われかねないですもん。
冠:今はね。けど、主人公のオジサンは、それに気づかずに部下を誘って、酒の席でギャグや冗談を飛ばして若者に取り入ろうとするも空回り(笑)。
ーー哀愁が漂ってました。
冠:この曲は対象年齢は若干、高めかもしれないですけど、若者目線で読んでも面白いはずなんで、たぶん。
ーーあー、こういう残念なオヤジいるよねー、みたいな感じで(笑)。
冠:若者の共感も得たい…と思う時点でオヤジなのかな(笑)。「だからどうした」(M8)もね、年とってからわかること、僕の生き方を唄っていて。年をとれば老眼にもなるし、細かいものも見えづらくなる。と同時に細かいことも気にならなってきて。だとしたら、年をとることも楽しいんじゃないか?と。
ーーポジティヴ・シンキングは大事。
冠:老化も含めて年を重ねることも楽しいんだということと、細かいことを気にせず、だからどうしたの精神で突き進んで行けよ! もう生き抜くだけやんけ!っていう熱い気持ちも入っている。自分の生き方を唄ってますね、この曲では。
ーーであるなら♪ギャルが好きなくせして♪の1節は聞き捨てならないなぁ。
冠:♪流行りすたり知らない 追いかけることもない♪と言いながら、実はギャルは好きなんですよね、この主人公は(笑)。
ーー主人公のせいにしてる(笑)。“やっぱり女は20代前半だよな〜”って自分が年を重ねていくつになっても言ってる人、いますよね(笑)。
冠:危ないんですよ、そういう人は(笑)。
ーーというか、男性って好きな年齢層が一生変わらないでしょう?
冠:変わらないんですよね…だからどうしたって話ですよね(笑)。まあ、大人になっても悩みは尽きないけれど、だからどうした、♪so fuck’n what?♪の精神で生きていきたい。ココには昔のバンド名、“So What?”を入れてたりもするんです。そこはちょっと拘ってみました。
ーー音楽的なことでいえば、スカの要素も入ってますよね?
冠:はい。僕は1番と2番で同じことをしないので。2番でメロディーを変えたり、メタルの中にレゲエやスカの要素を一瞬だけ入れたり。ただひたすらドコドコドコドコ、ツー・バスが鳴ってるだけのバンドではない。いわば、THE冠の音楽は変化球メタルだと思ってるんで。そこにはいろんな音楽の要素を楽しんでほしいなって思いもあるんです。僕がまた、いろんなアーティストとお付き合いがあるから、いろんな音楽を好きで聴いてますしね。
ーーそうそう、冠さん、顔が広いですもん。
冠:誰が顔デカいねん!(笑)
ーー定番のツッコミありがとうございます。「大人の子守歌」(M7)はスナックのママにくだをまく質の悪いお客さんを唄っていて大笑い(笑)。
冠:正に大人の世界、スナックのママとお客さんの物語。ちょうど、この歌詞を書いている時に大阪のディープ・タウンに行きまして。商店街を歩いてると、お店から歌声とか、オジサンたちとママとのゲラゲラ笑い声が漏れ聞こえてきて。その泥臭い雰囲気がスゴく面白くて<ああ、こういう人いるやろな〜>って想像して歌詞を書いたという。なので、酔っ払いの主人公=自分ではないんですけどね。あの空気感がわかる人には、ああ、こういう人おるやろなって聴いて笑っていただいて、わからない人にはなんとなくの雰囲気で笑っていただければ(笑)。
ーーなんとなくの雰囲気で笑うって(笑)。
冠:あとこの歌詞には隠しワードがいっぱい入ってるんで、ぜひ何度も読み返してもらいたいたいですね。音のことでいえば、ピアノやストリングスが入ったりとアレンジがめちゃくちゃ豪華だったりするんです、生演奏ではないけれど(笑)。そんな一風変わったバラードも楽しんでいただけたら。そういった変化球ソングとは真逆の「キザミ」(M4)は本作のイチオシ曲といいますか、わかりやすい名刺代わりの1曲かな、と。たぶん、ライヴで盛り上がるなって。これはボケもなく真っ直ぐな熱い歌詞ですね。夢やぶれ何度挫折しても諦めるな!的な。粉々に砕かれ、お前の足元でバラバラに散らばっている破片でもまだ尖ってるぞ! まだ光ってるぞ! 俺らは粉々の破片になっても、ギラリと光る尖った破片で突き刺していくぞ!っていう。
ーーカッチョイイ。硬派だ!
冠:実は種明かしをすると、仮タイトルが「キザミ」だったんです。
ーーこういった歌詞のテーマがあって?
冠:いえ、デモ音源でギターを刻みたおしていたから(笑)。あの曲、ずっとギターを刻んでるんですよ、♪ザンザカザン ザンザカザン♪って。まあ曲調はスラッシュメタル、ヘビーメタルだし、それに合うような歌詞を…と考えて。
ーー音楽に捧げる人生を雄々しく唄い上げてますよね。
冠:僕も音楽に人生、捧げちゃいましたね…。まあ厳ついサウンドですけど、サビはめちゃめちゃキャッチーなんで、ライヴでは皆さんも一緒に唄ってください、ぜひとも。そういう言葉的な面白さでいったら、「ZERO」(M3)もそうかな。
ーーこの“ZERO”って、お笑いのサンドウィッチマンが言う“0キロカロリー”みたいな、あったものをなかったことにするって意味合いですか?
冠:これはね、-196℃ストロングゼロって酒を呑んでバーッと盛り上がって最後はめちゃめちゃ二日酔いになって、次の日パーになる(=ZEROになる)って曲(笑)。それで“STRONG”とか“ZERO”とか、いっぱい歌詞に入ってるっていうね(笑)。これはぜひ、-196℃ストロングゼロのCMに使ってもらいたい。だけど、酒呑んで最終的に二日酔いになってダメになる曲だから…ダメですね(苦笑)。これもご陽気ソングといいますか。次の日、後悔することがあるかもしれないけど、今をパーッとやり散らかそうぜって曲。もうライヴで盛り上がるために書いたような曲だから楽しみやな、ライヴでやるのが。
ーーまたこの曲もK-A-Zさんのギターがカッコいい。
冠:いいですよね。よーあんなにたくさんの引き出しを持ってるな、と関心しますよ。またK-A-Zもギタリスト・キャリアが長いし、付き合いも長くなるので、僕のツボを解ってるというか。デモ音源に入ってる僕の下手くそなギター・リフを聴いて、僕がやりたいことをちゃんと理解して、もっとこうしたほうがええやろうなってカッコよく変換してくれるのはありがたい。

ヘビメタなんてなくても生きていけるかもしれない。
だけど心を豊かにしてくれるのは
エンターテインメントなんです。

ーーそしてアルバム・タイトルにもなっている「日本のヘビーメタル」(M1)について。ここまでバシッと言い切っていただくと、スカッと爽快です。
冠:タイトルどおり、ど直球、“これぞ日本のヘビーメタルだ!”っていうね。“333musicツイキャス”でも話しましたけど、“これぞ、最新の音楽だ!”と声高らかに叫びたい。
ーー叫びましょう!
冠:ヘビーメタルは無駄に音数が多いだの、無駄に声が高いだの、無駄にシャウトするだの、音数が無駄に多すぎるだの、世間一般では思われてるかもしれないけれど、僕はここで言いたい、その無駄なものほど美しいんじゃないか?と。人生、真っ直ぐに進むだけではつまらない。一見、無駄に思える回り道をして、その途中で見つけ出したものが、またよかったりもするじゃないですか。
ーーホントそう思います。コロナ渦の今、そういった人の生死には直接的に関係のない、もしかしたら無駄?とされるエンターテインメントが真っ先に標的とされたじゃないですか。ライヴハウスへ行ってはいけない、と。もちろん、ライヴハウスって空間は“3密”だから致し方ないところはありますが。
冠:音楽なんてヘビーメタルなんて、なくても生きていけるかもしれない。だけど、心を豊かにしてくれるのはエンターテインメントなんですよ、それだけは間違いなくて。
ーーうんうん。
冠:また無駄とされることこそが美しいものだったりするんですよね、実は。
ーーその無駄こそが人々の人生に彩りを添えるというか。
冠:ホンマにそうです。人生が豊かになるというか、幅が広がるというかね。
ーーええ。音楽好きにとっては、ライヴへ行くことが人生のご褒美だったりするわけで。そのご褒美があるからこそ、仕事も勉強も家事も頑張れるってところは多かれ少なかれあると思うんです。
冠:本当に。実際、僕もそうですしね。僕にとってはライヴがご褒美みたいなもので。お客さんが盛り上がってる様を見られたら幸せなんで。大変な思いをして音楽を作るんですけど、音楽ができた後にはライヴという喜びが待っている。それがあるからこそ頑張ってるところはありますから。
ーーそうやって自分を叱咤激励しながらヘビーメタルで約30年。
冠:どっから数えるか、そこは難しいですが、高校の時からカウントしたら30年以上、So What?結成は'91年なんでバンド活動を始めて29年になりまして。その長い道程の中、いろんなことがあっての今ですからね。迷うこともたくさんあったし、辞めようかって時もあったんですけど、それでも続けて、まだこうしてヘビメタをやってるという。「日本のヘビーメタル」には、そういった熱い想いも入ってます、30年ぶんの。
ーー今、この境地に辿り着けたって凄いと思います。近道せず、時間をかけて辿り着けてるってところも含め。
冠:ここまで来るのに時間かかりましたけど、まだまだ継続していきますよ。
ーーしかも日本のヘビーメタルは俺だ!と大きな風呂敷を広げたって“333musicツイキャス”でおっしゃってましたが、広げた大きな風呂敷で日本のヘビーメタルを丸ごと包んで背負って行かれるんだな、と感じたんです。ホントに頼もしい。
冠:昨今、“俺こそがメタルだ!”ってヤツがあんまりいないんですよね…。
ーーなぜでしょう?
冠:自分でジャンルを決めたくないってアーティストも、きっといるんでしょうし。そんな時代ですけど、僕は僕なりに覚悟をもって、ヘビーメタルを背負っていきたい。ヘビーメタルというのは音楽にとどまらない、ひとつの生き方、貫くという姿勢だと僕は思っていて。そういう意味でもヘビーメタルをやっていきたいんです。なのでね、もっともっと出てきてほしいな、我こそがヘビーメタルだ!ってヤツらに。そういうヤツらと対決していきたいし、切磋琢磨しながらヘビーメタルをやっていきたい。
ーー命果てるまで。
冠:今のところ、そのつもりです。
ーーその意気込みを伺ったら、ますます生で冠さんのメタル魂に触れたくなる…早くライヴが観たいです。
冠:早く人前で唄いたい、本当に。その日が来るのを信じて、今は、みんなで我慢するしかないんですよね。きっと今、大人しくしているぶん、新型コロナが終息した暁には爆発すると思うんですよね、みんなのメタル魂が。今、ライヴハウスが危機的状況にありますけど、なんとか踏ん張っていただいて。この状況が終息すればライヴハウスも絶対、凄いことになりますから。
ーー私もそう思います。
冠:いいほうに考えるなら、今回の一連の騒動は、これまでにはない他のやり方を模索する時間でもあるのかな?とも思うんです。ああ、こういうやり方もあるんだとか。僕も、いろいろ勉強になってることはありますし。
ーーええ。今年9月の“大冠祭2020”までに収まるといいですね…。
冠:9月27日の“大冠祭2020”には収まってほしいな…。そして50歳になる来年は“大冠祭”もデッカくやろうと思ってるんで。“超大冠祭”と題して大きな会場でやろうかと。
ーー先々の楽しみは希望になります! ありがたい。
冠:なので、それまではアルバム『日本のヘビーメタル』を家でおとなしく聴いてもらって。
ーーおとなしくは聴けないかも(笑)。
冠:(笑)とにかく今は再会できるその日まで力を溜め込んでもらって。また元気にライヴハウスで会いましょう!■
                   【取材&文 / 増渕公子(333music)】

※曲タイトル後のM○はアルバム収録○曲目の意味。



New Album『日本のヘビーメタル』

THE冠 日本のヘビーメタル 表1

2020年4月29日 ON SALE

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過去4作品 サブスク解禁!!

○『鎧兜鎖血』
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○BEST OF THE冠『骨』
○『奪冠』

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▼2020.04.14 配信“333musicツイキャス”
ゲスト:冠 徹弥 [THE冠]


昭和生まれでバブル時代に青春を謳歌した世代。音楽の世界で仕事(インタビューとか編集とか)をして30年ちょい。いつまでも好奇心を失いたくないと必至で藻掻いてます。基本せっかち、そしておっちょこちょい。白猫(保護猫出身、12歳、♂)と仲良くやってます。