1週間二郎系を食べ歩いた末の8日目のそうめん~文武日記②
8月X日
『もしも徳川家康が総理大臣になったら』のコラムが、無事公開された。
本文中でも触れているけれど、野村萬斎の徳川家康が良すぎる。特に声。長い演説シーンがあるのだが、ずっと聴いていたい。2時間ずっと演説でもいいぐらい。「カリスマ」って、こういう人のことを言うんだなと。野村萬斎がその気なら、独裁国家も作れてしまうのではないか。ちょっと怖くなった。
大事な役で出演されているある俳優さんが、ご自身のⅩアカウントで、このコラムを読んでないとわからない小ネタを使われていた。嬉しい。気に入っていただけたなら何より。しつこさに囲まれたさわやかさの例として書いた、「1週間二郎系を食べ歩いた末の8日目のそうめん」というフレーズだけど。
なんでこんな回りくどい言い方をしたかと言うと、「一服の清涼剤」みたいな、カビの生えた慣用句を使いたくなかったから。なんなら、「俺が新しい慣用句を作ってやるぜ!」ぐらいの意気込みを持っていたから(書いた時はそこまでは考えていませんでした)。
8月X日
Ⅹで告知されていたライター交流会というものに、初めて行ってきた。いい年して恥ずかしいが、僕はめちゃくちゃ人見知りだ。酒が入ればまだなんとかなる。酒は偉大だ。ありがとう、酒。
だが今回は昼間の開催だ。場所もカフェ的な場所なので、酒はないだろう。つまり、シラフで、本来の僕のポテンシャルだけで、数多の初対面の方々と戦わねばならない。いや別に戦いはしないが、いや、ある意味これは戦いだ。
みなさん、別に友達を作りに来てるわけではない。”仕事”を作りに来ているのだ。虎視眈々と、”仕事”を勝ち取りに来ているのだ。そんな戦場に、僕みたいな副業ライターが放り込まれたら、あっという間に骨だけにされてしまうのではないか。
この戦場で武器になるもの、それは名刺だ。いかに絶妙のタイミングで名刺を渡すか。ここにすべてがかかっている。僕だってこういう日のために、ラクスルでシンプルかつカッコ良さげな名刺を作った。だが営業職の経験のない僕は、”名刺を渡す適切なタイミング”というものが、よくわからない。
「結局1枚も名刺を渡せない」、あるいは「変なタイミングで名刺を渡そうとして微妙な空気になる」。ただただこの辺が怖かった。
少し遅れて到着した。本当は開始時間に間に合うように到着したのだが、そのまま入る勇気がなくて、あたりをプラプラしていたのだ。飲み屋街の中にあったので、立ち飲みで一杯引っかけてから行こうかどうか逡巡したりもした末、30分遅れで店に入った。
入った途端、その場の主催者の方の指示で、元からおられた方が全員僕の前に並んだ。”強制名刺交換タイム”になった。無事、全員と名刺を交換した。その後も誰か来るたびに、一列に並んだ。主催者の方の、粋な計らいに感謝した。
結局戦場でも戦いでもなく、コーヒー飲みながらまったりお話して帰った。みなさん、いい人だった。誰もギラギラしていなかった。昼間の十三で酒を飲まなかったのは久しぶりだ(十三は昼酒を飲みに行く所)。
8月X日
記事の告知が続いて申し訳ない。「『キングダム』(映画版)の戦士たちでトーナメント組んだら、誰が一番強いのか」というコラムを書いた。
ふざけつつも真面目に書いたけど、こういう記事は賛否両論あるだろうなぁと思っていた。僕は後悔するとわかってても石をひっくり返してうにょうにょを確認してしまう人間なので、「否」の意見を確認したい。そんな時はヤフコメを見るといい。もちろん「賛」の意見もあるが、「否」の辛辣さはⅩのクソリプの比ではない。
あったあった。「読むに値しないくだらない記事」と書かれている。ライターなりたての初々しかった頃は、いちいちショックを受けていた。もうすっかり慣れた。「いたいた!」って感じで逆に嬉しかったりする。「賛」しかないと、逆にさびしい。
「暇なおっさんやな笑」これは一見「否」だと思うかもしれないが、実は「賛」である。少なくとも僕はそう解釈している。文末に「笑」が付いている。僕の記事で笑ってもらえたなら、書いた甲斐がある。たとえそれが「呆れ笑い」であっても。
僕の書くものは、最初から大笑いを狙ったものではない。それでも、どこかでクスッと笑ってほしいみたいな下心はある。その下心から、ちょっとした小ネタを挟んだりもする。でも、「○○のところ(小ネタ箇所)でめっちゃ笑った」という意見もあれば、「○○の時点で読むのやめた」という意見もある。
100人いれば100通りの思考や指向や嗜好があるわけだから、すべての人間が面白いと思える文章を書くことは不可能だ。これからも、賛否両論ある文章を書いていきたい。「否」に対して「賛」の方が反論しているところを(逆パターンもある)、神の視点から眺め続ける。
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