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年200本の男

隣の部署の、顔だけ知ってるけど接点の無い人に突然、
「ハシマさん、映画お好きらしいですね!?」
と、話しかけられた。
「僕は、年に200本は観てます!」
と、胸を張られた。
「ハシマさんが一番好きな映画はなんですか!?」

僕が一番好きな映画。
なんだろう。
とりあえず、最近観た中で一番良かったのは、『鬼滅の刃 無限列車編』だ。
これは泣いた。
まさか40過ぎたオッサンが、映画館でアニメを観て号泣するとは思わなかった。
思えば、煉獄さんのようになりたくてなれなかった人生でした。
いや、今からでも遅くはない。
僕も煉獄さんのように、「心を燃やして」生きてみよう。

しかし、「年200本の男」に「僕が一番好きな映画は『鬼滅の刃』です!」と答えるのも恥ずかしい。
鼻で笑われそうだ。
そもそも、こいつが一番好きな映画はなんなんだ?
見るからに「映画通でござる」って顔をしている。
フェリーニとか。小津安二郎とか。ピエル・パオロ・パゾリーニとか。そんなんか。
いっこも観てないぞ俺。

「逆に、あなたが一番好きな映画はなんなんですか?」
「『チャーリーズ・エンジェル』です!」

彼は、胸を張って答えた。

もちろん、「年200本の男」が一番好きな映画が『チャーリーズ・エンジェル』であっても、一向に構わない。
キャメロン・ディアスかわいかったしな。

だが、その会話以来、ずっと胸の奥でもやもやした物が消えない。
例えば、この「もやもや」をはっきりと言語化できるようになるために、僕は毎日文章を書いているんだ。多分。


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