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男2人で住むなら風呂無し四畳半はやめとけ。

20代の一時期、風呂無し四畳半に住んでいた。
参照↓

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僕の歪んだ承認欲求が満たされます。


僕の風呂無し四畳半に、先輩役者が転がりこんで来た。
あるお芝居で共演させていただいたのをキッカケに遊びに来るようになり、そのまま居ついてしまった。
彫りの深い二枚目でタッパもあり、舞台映えのするいい役者さんだった。
共演したお芝居は僕の初舞台であり、右も左もわからない僕にイロハを教えてくれた恩人でもあった。

ただ、致命的に空気が読めなかった。


その頃、僕はバイト先に好きな子がいた。
当時の僕の貧弱な恋愛スキルを総動員して、いろんな所に連れてってメシもおごって…。
そして、先輩が夜勤のバイトに行ったのを見計らって、ついにその子を自分の部屋に招き入れることに成功した。
望んでいた展開になり、そこからさらに望んでいた展開になりそうなその時。

先輩帰って来やがった。

「今日夜勤やったんちゃうんか、コラァ‼︎‼︎」

僕は上下関係を忘れた。
パンツいっちょの格好で先輩の胸ぐらを掴んで、廊下の壁に押しつけた。

僕のことが大好きなゲイの隣人(上の記事参照)が、布団にくるまっておびえている彼女を見て、なぜか興奮し出した。
「俺をバカにしやがって‼︎」
「なんでやねん‼︎お前の彼氏になった覚え無いわ‼︎」

胸ぐらは掴んだまま、改めて先輩に問いただす。
「バイトは⁉︎」
「いや、あの、班長とケンカしてやめて来てん…。あの、その、そのまま続けてくれてええで…‼︎俺、気にせーへんから…。すみっこでメシ食ってるから…」
「できるか‼︎殺すぞ‼︎」

先輩への恩義は全て忘れていた。

血の涙を流しながら、僕は服を着た。
彼女はおびえて泣いていた。
先輩は、本当にカップ焼きそばをオカズにして白飯を食べ出した。

それを見て怒りが沸点に達し、僕は壁を力まかせに殴った。
老朽アパートの壁は、簡単に大穴が開いた。

翌朝、大家さんに壁の穴のことを詫びた。
大家さんは大丈夫大丈夫とか言いながら、壁の穴にガムテープでダンボールを貼り付けた。
応急処置ではなく、それで終わりだった。
修理代も請求されなかった。

一刻も早くこのアパートから脱出することを、誓った。










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