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フィクションのような現実

ついに推し達のオフラインコンサートが始まり
LAでの忙しない中でも楽しそうな彼らの姿が毎日のように更新されて
私は日本から、どうか無事に、そして楽しくこのアメリカでの活動が終わりますように
と願いながら見守り続けた日々がひと段落した。
そして2019年以来の長期休暇に入るというお知らせが届いた。
怒涛の数週間。いや怒涛の2年間、ひとまずお疲れ様でした。
彼らがまた、たくさんのファンの前でキラキラに輝いていたLAコンサート
夢か現か、、、とふわふわしながらその姿を見られた喜びを噛み締めていた記録

閉ざされた場所で思うこと

私の暮らすこの国は、大陸と繋がっているわけでもなく
世界から見たらほんの小さな島国で、こんなに情報の溢れた時代にも
自分から情報を取りに行かないと
見えてこないこともたくさんあるのだな、と改めてここ数年で
強く感じていた。
パンデミックが始まった2020年から、世界はどんな風に時を進めて
日本はどんな風に変化していくのか期待よりも不安の方が大きかった気がする。
そしてそれは今もなお大きくなり続けているようにも思う。

BTSがLA公演に向けてアメリカに入国して間も無く
他のアーティストのコンサートを楽しむメンバーの姿がSNSを通じて
公開された。幸せそうなメンバー達の姿に、仕事の休憩でスマホを握りながら
見ていた私は、よくわからない感情で涙が溢れた。
きっと安堵の涙だったと思う、仕事以外にも彼らに癒しの時間があったこと、
好きなアーティストのコンサートを生で感じて、彼らもひとりのファンとして
コンサートを楽しむ時間が過ごせたこと、そしてその幸せそうな姿を共有してくれたこと。
なんて贅沢なんだろう、遠く離れた異国でもそうやって元気な姿を見せてくれること、
今まではお隣の韓国で時差もなく応援し続けられていたことにも、
恵まれていたんだな、と思うと同時にアメリカや時差の大きい国のARMY達は
普段からリアルタイムで配信を見たりすることがこんなにも大変なのか。。。と
実感したりした。

ただ、SNSのタイムラインを見る限りは、彼らのその姿に苦しくなってしまう日本人も少数ではなかった。まだこのパンデミックが完全に収束した訳ではなく、
この国では充分な政策がなされていないまま、完全にこの国に暮らす人々の
自衛によって感染が少し収まっているように見えている現状だからかもしれない。
私も相変わらず接客業で感じる感染リスクのストレスは減らず、
お客様達も特に旅行や外出は増えていないし、私も休日に友人と過ごす時は
前後2週間は他の人との予定を休日に入れないようにしている。
それが偉いとかそういうことではなくて、ただ自分がそうしたいからそうしている。
万が一、が起きてしまわないように。仕事や生活に支障をきたすことがないように。
この2年で身についたその警戒心と未来への不安は、普段何気なく過ごしているように見えて、地味にストレスがついて回っているものだと思う。
それに個人差はあれど、多かれ少なかれ生活する上で抱えるモヤモヤがあるものだ。
そんな中で、彼らが存分にコンサートを楽しむ姿を見て、自分の生活とのギャップを感じてしまった人達は苦しくなってしまったのかもしれない。
私は他の国でフェスが再開され、大勢の人が野外コンサートを楽しむ姿を
いつかは自分もまたこういう日々を楽しめる日が来るはずだという希望として
受け取っていたけれど、少しだけフィクションのように感じながら過ごしてもきた。
私の生きるこの地と全く違う時間が流れているんだ。と思うことで、
羨ましいとか、自分の今の暮らしが虚しいとか、
そういう気持ちに直面しなくても済むようにしていた。
何に対しても自分が過ごしやすい距離感を保つことが大事だと思うから。
日本や韓国で、彼らの公演を観てみたいなと思う反面、今すぐの現状では難しいことも
理解しているし、ただただパンデミックの収束を早く、と願っているけれど
自分が不自由な立場にあるからといって、そのフラストレーションを
推し達に向けるのは理解し難い。そういう人もいるんだな、とは思うけれど。
気持ちや生活の上での余裕が足りなくなると人は不安定になるものだし
実際に私自身も、今年の夏は推しのことも考えられないほどに
追い詰められていたので、今も苦しく感じてしまう人たちには
無理をしないでSNS等から距離を置いてもらいたい。

何も知らないからこそ

AMAsで3冠、アーティスト・オブ・ザ・イヤーを獲った彼らが
受賞の後、VLIVEで配信をしてくれた。
久しぶりに観客の前でパフォーマンスをしながら
「マスクをしていないけど大丈夫かな」とか
「ソーシャルディスタンスとらなくていいのかな」とか
内心ぎこちなかった。というような言葉を口々にいう彼らを見て
彼らだってどこか夢心地のような、今までの現実とのギャップを感じながら
アメリカでの活動をしている最中なんだなと思った。
そういう胸中も話してくれるところがまた彼らの魅力でもある。
LA公演1日目の夜も、ホテルに帰ってすぐにVLIVEをしてくれて
公演ができて嬉しい気持ちと、観客のみんなが歌ってくれているのか、
笑っているのかが、マスクで表情がよく見えなくてそれだけが残念だった
という旨の話をしている彼らを見ながら
いつかお互いの笑顔を見ながら目を合わせて一緒に歌える日が来ますように
と願わずにはいられない。
日本国内でのマスク着用率が高いせいもあって他の国ではどうなんだろう
実際に現地に行けないからわからないなと思っていたけれど
LA公演に参加した方達のレポートを見ても、
SNSで流れてくるファンの動画や写真を見てもマスクをつけている印象だったので
ワクチン接種もしくは陰性証明提示、そしてマスクの着用の義務付けは
徹底されていたんだなと個人的には感じた。
オタクに国境などない、推しを護らなければという気概すら感じる。
無事にLA4公演が終わって本当によかった。
(オンラインでの配信はもちろんダバダバに泣きました。)
そしてこの国からしばらく出ることのない私は
本当に彼らのことも、他の国の様子も何も知りようがないんだなと実感した。
ずっとアイドルや俳優を推すオタクとして大事にしていることは
「私は推しのことを何も知らない」と自覚し続けること。
表に出てくることに真実がどれほどあるのか。
知ったような気持ちになったり、過度な期待で架空の人格を作り上げて崇拝するような
推し方は絶対にしたくない(もはやそれは推しているかも怪しいなとすら思う)
過信からの勝手な落胆もしたくない。
彼らが共有してくれる僅かな風景や気持ちをそのまま大切に受け取りたい。
同じ時代に生きられてただただ嬉しい。
長期休暇明けのニューアルバムめちゃくちゃ楽しみだ。
彼らも、ファンもどうか健やかで幸せな年末年始を過ごせますように。

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