「物理学者、SF映画にハマる」を読んだ感想

「物理学者、SF映画にハマる」 高水裕一(著者)

 あのホーキング博士に師事したこともある優秀な物理学者である著者が、「バックトゥーザフューチャー」「TENET」「ターミネーター」「インターステラー」「スターウォーズ」などのSF映画を題材に、特に「時間」と「宇宙」というテーマにしぼって科学的考察をしていく。

 昔流行った「空想科学読本」の様な本だ。もちろんSF映画はあくまで「サイエンス“フィクション”」なので科学的におかしい設定が多々あるが、著者は「これはおかしい」と真っ向から切り捨てることはせず、そのテーマにおいて現代科学ではどのように考えられているとか、こういう形だったら実現できらかもだとか、この視点は素晴らしいだとか、とにかく生産的な内容になっている。

 SF映画好きの知的好奇心を絶妙にくすぐってくるし、何よりも僕が驚いたのが、科学的な視点で見ることで「え、あれってそういうことだったの!?」と単純に物語の設定や解釈に対して新たな発見が生まれることだ。

 やはりSF映画を含め、芸術作品は関連知識を身につけておくことで、より深く楽しむことごできるのだろう。

 ただ、この本は肝心の科学的説明の部分をなるべく簡単に書いてあるけど、門外漢からすると少し直感では理解しにくいところも少しあるので、理系アレルギーの人は心の準備が必要かもしれない…。

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