「マルクスが日本に生まれていたら」本を読んだ感想

「マルクスが日本に生まれていたら」 出光 佐三(著者)

 出光佐三と出光興産の社長室メンバーが実施した勉強会の記録をまとめた作品。彼のカール・マルクスに対する考察から、彼自身との考え方との違い、さらには日本と西欧の歴史に基づいた価値感の違い等、幅広い議論が展開されていて、とても興味深かった。学ぶべきことも大変多く、どの項目に関しても語りたい点はあるが、本を通して一番深く感じたのが、彼が人間の本質について深く鋭い洞察を持っていたということである。

 社長主義思想や現代の経済学の多く(僕が大学で専門にしていたゲーム理論も)では、人間は合理的な判断をすることを大前提としている。だか彼は逆に人間は不完全な生き物であると言う。そして「社会」その不完全な人間がつくり出したものだから、社会を良い方向に変えようとしても、結局どこかで不完全な形になってしまうから、まずは人間の心のあり方を変えるべきであり、それが実現すれば自ずと社会が良くなるのだそうだ。

 そして彼は現代社会についてこう考えている。今の世の中は西欧が元となった「物」が第一義的な「物の世界」となってしまっている。日本は古来「和」を大切にする「人の世界」であった。だから日本はその古来日本人が持っていた真心を取り戻し、世界にとっての、これからのより良い社会の手本にならなければならないのだと彼は言う。

 実際出光興産はその精神に忠実に事業を行って成功させ、1つの素晴らしいロールモデルとなっている。

 私もこれからは日本の真心を深く理解し、実践していきたいと思った。

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