水割り
曲は付いていたり、付いていなかったり。
都営三田線の車内で目を覚ますと、手すりに掛けていた傘が居なくなっていた。 巣鴨に着いた。午後5時。10月にもなると、もう日が落ち始めている。 向かっているのは商店街にある叔父の家だ。 田舎から出てきたひとり暮らしの僕を気遣い、たまに家へ招待してくれる。ありがたいと思う反面、大学生としては偉いもので、親戚付き合いの意味合いが7割を占めている。本当は価格均一の居酒屋で友達と盛り上がりたい。 結局予報は外れ、霧雨が降っていたから軽く濡れた程度だった。 「いらっしゃい。あ、少
点滅する君の目に 傾いた明日を背に そっと問いかけてみる 光るアスファルトの上 いつも友達まがいの 話をし続けていた 僕らはいつの間にか 終わりのない旅に出る 最高な映画があったって 完璧な役者が居たって うちらが演ってきた毎日には敵わないねってまた笑う 歩いて 歩いて この夜を 歩いて 正気な フリして 世界は 進んでいく 照れる君を横目に 片付けたはずの服 代わりにたたむ僕は 君のものになっていた いつも恋人みたいに 指の先を交差して 僕らはいつの間にか 溶けて
東京のせいにして 僕は電話を無視する 東京のせいにして 青いジャケットを選ぶ あてもなく環七を行く また歩く 何となく夜が 無駄に流れてる感じ 東京のせいにして 僕は電話を出るフリ 東京のせいにして カーテンみたいな服着る 途方もなく降り続く雨 また続く でも空は明るくて 部屋の掃除が捗る 掛け違ったボタンを 僕は意地でも直すよ 東京のせいにして 今日も意味もなく駅へ 外に出るのが恥ずかしくて また誰か巻き込んでしまう でも よく晴れた夕暮れを見ると なんだかそ
開かない目で 手探りで目薬 外出られず もう5分ね 付けたモニター 始まる世界 気付かんように 腕を抜く 今日 君はどんな 靴を履くのだろう 君はどんな 風に笑うのだろう 片すグラス 点けるデロンギ 寒がりながら 香りを待つ 起きないままで 夢に居て 寝顔横目に 熱いコーヒー 今日 君はどんな 色の服を着て 君はどんな 道を歩くのだろう もう世界が 動き出すんだ この時間に 悟る週末 今日 君はどんな 靴を履くのだろう 君はどんな 風に笑うのだろう 今日 君
首都高を抜けて関越道の上。 鉛色の空から、生ぬるい風が少し開けたパワーウィンドウをくぐり抜けて流れてくる。 フレンチポップが刻む重低音が俺を蝕む。 あせる鼓動と曲のBPMが重なる時、バッドエンドへのカウントダウンが始まる。 漏れそうである。 助手席に座る会社の同期は、そろそろサービスエリアよね、と無感情で同調している。 やっとサービスエリアの入口が見えてきたにもかかわらず、1キロ程だろうか、車の列が動かないでそこにある。それを見た瞬間、生きる活力がさらに削られた。
半額シールが貼られるのを周りで待つ人間たち
旅行の途中に財布を失くす。
居酒屋のトイレの壁に貼られている、世界一周船旅のポスター
残ったコチュジャンを使いきれないまま半年が経つ
たまに同じアーティストを2曲連続でかけてくれる、シャッフル機能のセンス