戯曲『え待って?他感作用あるん知らなくて草』冒頭版
《登場人物》
1・・俳優
2・・俳優
3・・俳優
シーン①「#あぶらぼうず」
空気を読んで、始まる
始まる際、俳優は舞台上にいてもいなくても、いい
挨拶をするといいかもしれない
たとえば、天気とか季節の話がいい
そして、話し始めるタイミングも、空気を読んでから、始まる
1 あのさ、人生は冒険であり、修行だよね。
2 いいこというね。
1 修行とは人生。冒険も人生。
2 どっちでも素敵だね。
1 しゅぎょじん。ぼうじん。
2 うん。
1 しゅぎょぼう、じんじんせい。
2 うん。
1 しゅぎょしゅぎょじんせい。ぼぼうじん。
2 うん。
1 あ、これも冒険だからね。
2 じゃあこれを聞いてるのは、修行なのか。
1 うん。
2 そか。
1 まー、でもさ、死ぬよね。
2 死ぬね〜。
1 すごい死ぬじゃん。
2 すごい死ぬね。人生で唯一決まってることだもんね。
1 うん。やっぱね、将来的に死ぬわけじゃんか、
2 そうだねえ。
1 死ぬんだよね。。。
2 えあれ、誰の話してるの。
1 ま、自分たちがさ、
2 そりゃあうん。
1 お客さんもね。
2 あー、実はね。
1 ま、でも、人生っていうのは、辛いことを頑張って経験して、死んだ後に、幸せになるための試練じゃん。
2 お。
1 そうだよね。
2 うん。
1 やはりこのように、「死ぬこと」とは、無が訪れる終わりのタイミングではなく、ボディを脱ぎ捨て、新しいワールドへと出発する旅立ちのタイミングなのです。
2 あ〜何かの教義に沿ってスピってるんだね。
1 ま、とにかくね、死ぬんですよ!
2 そうだね。
1 だからね、結局ね、今生きている人たちはさ、全員ね、自殺するわけじゃんか。
2 あれあれ、
1 え?
2 なんで?
1 わかんない?
2 うん。
1 え、え、え、ねえ、本当にわかんない?
2 え、うん。
1 え、え、え、逆にって言ったらアレだけど、希望ある?
2 なによ。
1 この世界にさ、
2 あるよ。
1 じゃあ教えてよ。
2 なにを、
1 例をでしょ。「希望」の。
2 いくらでもあるよ。そんなの。
1 教えてよ。じゃあ。
2 え、
1 参考にするからさ、
2 いやいいけど、え、逆に希望ないの? そっちは。
1 ないない。え、ないでしょ〜。
2 なんでよ。ほら、希望あるよ。
1 え、
2 こういうふうに、みんなで集まったりさ、ほら、こういう、アートを見にいくとかさ。
1 アートとか、自分で言うのやばいね。
2 いや、いうほど、思ってないけどね。
1 あ、そう。でもだって、譜面絵画って、ね。
2 いいのいいの。言わないの。
1 ま、アートで言うとさ、
2 はい。
1 ちょっとさ、流行ってたじゃない、美術館のやつ。
2 え、
1 あのほら、絵に向かって、缶スープ投げるみたいなやつ。
2 あーはいはい。
1 トマト缶とか、
2 あったね。
1 やだよね〜。
2 あ、そう?
1 え、嫌じゃないの。目の前で起きたらとか思ったらさ、
2 あ、そう?
1 え。
2 なんかさ、美術館とか行くのってさ、新しい感覚を帯びたいから向かうわけであってさ、
1 うん、
2 だから、予想外だからさ、「お、いいもの見れたかも」って思っちゃうかも。
1 強いね。心。
2 むりむり?
1 全然むりむりかも。
2 あ、そう。
1 ギョギョギョっとしちゃうよ。
2 ほーん。
1 そうだよ。
2 そっか。
1 でもなんかさ、実はね、トマトスープ以外にも投げつけてたらしいんだよね。
2 あ、そうなんだ。
1 例えば、マッシュポテトとか。
2 え〜。
1 じゃがいもにバター乗っけたやつとか。
2 え、まじで、
1 コーンとブロッコリーとか。
2 うん。
1 デミグラスソースとか。
2 お?
1 石窯パンとか。
2 え待って、
1 包み焼きハンバーグとか。
2 本当?
1 さて。どこからが、ココスでしょうか。
2 んだそれ。
つづく。