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殺伐百合の分類について〜陰と陽、あるいはアップダウン〜

こんにちは。皆さん元気に殺伐百合な毎日を送ってらっしゃるでしょうか。
はい、いいお返事です。前回の記事で殺伐百合のことを知った人、元から知っていた人、これからも各々の殺伐百合を鍛えていきましょう。

さて、殺伐百合の概念は理解した。具体的な既存作品にも目を通した。
ならばあとは自分で書いたり描いたりあるいは読んだりするだけなのですが……気になりますよね、殺伐百合にはどういう尺度があるのか。

いやもう個々人の表現したいものがあるならそれに忠実に突き進むのが一番です。もちろん。

ただもし「殺伐百合を書いてみたいけどどういう基準があるのかなあ」と悩める貴方がいたら参考にしてください。前回と同じく私の独断と偏見まみれの記事です。

個人的には、殺伐百合には二つの尺度が存在すると思っています。


1.尺度:陰と陽

前回のNoteで出したこの画像を覚えていらっしゃるでしょうか。

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そう、殺伐百合太極図ですね。

背景にある白黒の太極図は、簡単に言ってしまえば陰と陽の関係を示しているそうです。Wikipediaで調べました。
こういう画像を作ったからというわけでもないのですが、殺伐百合にもこの陰と陽という分類が使えるのでは? と考えるなどしました。

つまり、陽の殺伐百合陰の殺伐百合があるわけです。


■1.1.陽の殺伐百合

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殺伐百合ってもうその時点で陰じゃない?とか思っても言っちゃいけません。何事も時と場合です。

前回のNoteでは殺伐百合について色々持論をぶちこみました。
そこで「世界観/展開が殺伐としていること」を基準のひとつとしましたが、登場人物がそれに苦しんだり死んだりしてるとは限りません。

世界観次第では女が死なない女をどつきまくることだってできるでしょうし、ブラッ●ラグーンみたいなシビアな世界でも、登場人物たちが順応できて人の命を蹴散らして我が道を行くのなら陽です。

簡単に言ってしまえば、「暴れる割に自分たちは死ななかったり、命の扱いが極めて軽い殺伐百合」ですね。後者はサメ映画のようなものだと思ってください。死はノルマ。


■1.2.陰の殺伐百合

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では陰の殺伐百合は? これは分かりやすいと思います。
陽の逆。つまりは「自分の命も脅かされる状況下、もしくは命の扱いが重い殺伐百合」ですね。

ちなみにここで言う「命の扱い」は単純な死者の数に対する比とは別に考えてください。
死者が少ないから命の扱いが重く、死者が多いから命の扱いが軽いわけではないです。

戦時下が舞台のお話だと人の死が日常的ですが、そうした無常感や哀しみが伴う死は、いくらありふれていても当事者には重く扱われるものだと思います。
逆にドンパチ世界で生きているキャラは、興味もない少数の追手の命など息するように摘み取ると思います。そういう意味での扱いの違いですね。

要は、殺伐百合における陰陽とは「作風」の話です。
明るい世界で殺伐百合をするか、暗い世界で殺伐百合をするか。そうした差で捉えてください。


2.尺度:アッパー系とダウナー系

この尺度については殺伐百合太極図に相当するものがなく、視覚化できず申し訳ないです。

アッパー系ダウナー系といえば怪しいクスリの効果みたいですが、まあそんな変わらないです。女と女の間に存在する感情って劇薬なので。

その劇薬が当の女にどう作用するかが、アッパー系殺伐百合ダウナー系殺伐百合の分かれ目となります。


■2.1.アッパー系殺伐百合

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前回のNoteの話をまた蒸し返しますが、「女から女への感情が殺伐としていること」を殺伐百合の基準に挙げました。

まあ基本「大嫌い」とか「死んでほしい」とか「羨ましくて妬ましい」とかそういう方向性なんですが、殺伐とした感情だからといって心まで殺伐としているとは限りません

何言ってるかと言うと、その女への殺伐感情が「当人にとって悦ばしいもの」である可能性もあるわけです。

戦闘狂キャラの百合で考えれば一番分かりやすいでしょうか。
「あの娘をこの手で殺したい」という思いとともに「あの娘と殺しあうのが楽しい」という感情も持っていれば、殺伐感情は彼女にとって祝福です。

その他、殺意や憎しみまでとはいかずとも女が女に巨大感情を向けることがあると思いますが、そこに悦びを覚えていればアッパー系殺伐百合だと思います。


■2.2.ダウナー系殺伐百合

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こっちは先のアッパー系殺伐百合より分かりやすいと思いますね。
要は、女へ向けた殺伐感情に苦しめられる女の殺伐百合です。

好意であれ、嫌悪であれ。己の強すぎる感情に苛まれる人間は少なくありません。

「あなたがいなければこんな気持ちになることもなかったのに」
そう思ってしまうような女がいれば、それはダウナー系殺伐百合と呼んでいいでしょう。女への感情に苦しみ悶える女は良い。

つまるところ、殺伐百合におけるアッパー系ダウナー系は「感情」、もっと言えば「感情への心持ち」で分かれるわけです。


3.殺伐百合マトリクス

以上の尺度をマトリクス図にまとめると、こうなります。

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まあ作ったからなんだって話ですが。
殺伐百合書いてる方は自分の作品をここに分類してみてもいいかもですね。暇つぶしにどうぞ。


……ところで、ここまで書いてて思ったんですが。普通の現代社会が舞台だったり殺伐感情がない殺伐百合だと上記の定義あんまり使えませんね。

私の書く殺伐百合が基本「命のやり取りすることが多い」「だいたい女が女に殺意向けてる」系の話なのでこういう分類になってしまった。

とりあえず上記の説明は無視して、

殺伐百合の陰陽…作風の話
アッパーダウナー:感情の話

くらいに捉えてもらってもいいと思います。今までの説明なんだったんだろう。

まあ殺伐百合の世界に果てはないので、それに尺度を設けようとする私の思惑が浅はかだったのかもしれないですね。
大人しく殺伐百合の原稿に戻ります。新しい殺伐百合の産声、みんな聞いてくれよな。

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