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チーム担当制がもたらしたもの

リハビリテーション介入は一患者に一療法士が実施します.そこはそうなのですが,当院リハ部では数年前から療法士の個別担当制をやめました.365リハ提供下で療法士の公休日に「ヘルプ」とか「代打」という名称で他の療法士が実施することが療法士にとっても患者さんにとっても,どことなく不自然に思えてしまったのです.

患者さんはチームで診よう.担当する患者さんに関してはチームメンバー全員が方針や目標をしっかりと共有しよう.経験年数の違うメンバー構成によって個別担当制よりも質を一定に保てるかもしれない,と考えました.

しかし,なかなか道は困難でした.

チームで責任を負う,ということは一歩間違えると「個人は誰も責任を追わない」ということにもなりかねません.誰かがやるだろう,という依存も起こるかもしれません.「チームで!」とは言ってもそのチームの中で個別担当制となる傾向もありました.

でも続けました.

悪いことばかりではなかったからです.

まず第一に職種の壁を乗り越えてチームメンバーの凝集性が非常に高まったこと.とにかくチーム全員でどうしていったら良いかをお互いに考えるようになったと思います.個別担当制時代にあった「他の療法士の介入内容にはあまり口出ししない」という空気はなくなったように思います.

共通認識が高まるとリハビリテーション部全体で何かに取り組もうとするとき,非常に風通しよく物事が進みます.新しい介入方法の検討,新しい機器の導入,新しい知見の理解など.

もちろん,担当制がどうであるかだけではなく,脳卒中定期評価としてある程度共通の評価を経時的にとる,書類業務その他をチームで処理していくなど様々な取り組みが影響して部内の風土が醸成されていくのだと思います.

療法士と患者さんの関係は大切です.個別担当制に比べて「仲良くなる機会」が減るチーム制は当初は療法士にも患者さんにも不評でした.

でも単に仲良くなることが目的ではどうにもなりません.担当チームでなくても,介入時間外に様々な患者さんと関係を築くことは可能です.

OTとSTの人数比率が低くなり厳しくなってきましたが,続けていきたいと考えています.

by ぎしちょ


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