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ビジネス書評

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#ドラッカー

書評『イノベーターの条件―社会の絆をいかに創造するか 』(P.F.ドラッカー)



ドラッカーは、社会について分析して書いている。この本の邦題は全く実態と異なっていて、原題の"The Essential Drucker on society"が正しい。「社会に関するドラッカーの洞察のエッセンス」あたりが内容を示している言葉であろう。

この本は、数々のドラッカーの社会に関する著書のまとめである(ドラッカーは基本的に、社会生態学者である。これからの社会の変化を読んだ上で必要なの

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書評:『ポスト資本主義社会』(PFドラッカー)



社会について書かれた本。本来、社会科の勉強においては、こういうことを教えて欲しい。世界の歴史、こと近代史についての意味ある解説本として捉えると、この本は良いと思う。

我々は、資本主義に生きていると思っている。その割に、資本主義について知らない。ドラッカーは、歴史を紐解く。鉄鋼王などがいた時代の資本主義は、「少数の大金持ちによって、会社という生産財が寡占されていた時代」である。鉄鋼王カーネギー

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書評:『見えざる革命』(P.F.ドラッカー)



1976年の本である。今頃読んでも面白い。ドラッカーの慧眼である。

まず、ドラッカーは、米国の社会を「年金基金社会主義」と呼ぶ。世の中の財産には生産財とそうでない財がある。生産財とは、利益の出ている企業の株式のようなようなものを指し、お金を生み出す財産である。『金持ち父さん、貧乏父さん』で言う所の財産を指す(一方、後者は、買い切った自宅など、消費してキャッシュを生み出さないものを言う)。米国

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書評:『ドラッカー わが軌跡』(P.F.ドラッカー)



原題は、"Adventures by a bystander"。旧訳は『傍観者の時代』とあるが、この場合のbystanderは「居合わせた人の冒険」というニュアンスだと思う。ドラッカーの出会った人たち、お世話になった人たちを、ドラッカーの目から書いている半自伝的な作品である。但し、描かれている対象は、ドラッカーではなく、その出会った人たち、お世話になった人たちである。本人の前書きにあるが、それ

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書評:『断絶の時代―いま起こっていることの本質』(P.F. ドラッカー)



この本を読んでの一番の感想は、「あぁ、なぜこの本を10年前に読まなかったのだろう」という後悔である。そして、今もなお、読んでないより、読んでおいた方が、人生の為に役に立ったと思う。

この本は1968年に初版がでて、その後1983年版がでて、これが、1999年に日本語版として出ている。30年経って内容が色あせなかった、というより、ドラッカーの予言的なものがことごとく的中していったように見える。

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書評:『新訳 経営者の条件 』(P・Fドラッカー)

名著です。感動しました。

新訳の本なのですが(上のリンクをたどって頂ければ分かると思います)、やはり、原題の方が私は好きで、"The Effective Executive"です。直訳すると、「効果的なエクゼクティブ」、あとがきで翻訳された上田さんは、

「The Effective Executive"の真訳は『出来る人』です」

と書いておられますが、言い得て妙だと思います
(そして、私はド

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