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ビジネス書評

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2018年10月の記事一覧

書評:『歴史入門』(フェルナン・ブローデル)



日本語のタイトルに釣られて買ってしまったが、原題は"la dynamique du capitalisme"(仏)="dynamics of capitalisme"(英)=『資本主義の原動力』とすべきもの。筆者のフェルナン・ブローデルが歴史学者の大家であるために、訳者や出版社が後付けでこんな名前にしてしまったのだろうと思う。実によろしくない。

「歴史入門」というタイトルに惹かれて買ってしま

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書評:『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』(坂口 恭平)



都市を現代の森と見立てて、サラリーマン生活でもなく、農耕生活でもなく、狩猟採集生活と見立てた場合、ヒトはどう暮らすことができるのかを考え、調査し、実施して見た坂口さんの本。賛同はできないところもあるが、とても考えさせらる面白い一冊である。

無一文になってどうするか、と言うところから始まるのだが、現代日本においては知識があれば死なない。

衣服はゴミを探せばすぐ出てくるし、食べ物は炊き出しなど

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書評:『住み開き』(アサダワタル)



三浦さんの『第四の消費』からのこの本である。第四の消費の兆候として、この住み開きが三浦さんの論である。

1:工芸品の広まり(大正時代前)
2:大量生産品の世帯への普及(フォード)
3:ブランド品の個人への普及(ウォークマン、ルイヴィトン)
4:第四の消費

というのが、三浦さんの論なのだが、住方面の第四の消費の兆候が、この住み開きにあるという。

私風に解説すると、第四の消費は、ただ消費する

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書評:『内乱記』(カエサル)



『ガリア戦記』の続き。本当は石垣さんの訳で読みたいが、まだないので古い国原吉之助さんの訳本で。訳が違っても十分楽しめた。ストーリーの中身としては、こちらの方が面白い。ガリア戦記は蛮族相手なので楽勝が多いが、こちらは、ポンペイウスを相手にした内戦なので結構強敵である(入門編として、塩ばあのローマ人の物語Vとその前あたりを読んでおくと、わかりやすかろうと思う)。

戦術・戦闘の描写だけでなく、カエ

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