見出し画像

【 #ティアマトの11の怪物 】クルール:魚人間【11】

 ティアマトの11の怪物も残りはあと2つ。竜・蛇>海の魔物>獣人・サソリ人間と来て、魚人間もしくは魚ケンタウロスと呼ばれる怪物が出てきます。
 もっと有体に「男の人魚」と呼んでしまっても良いかもしれません。

 魚人の意匠は割と古代オリエントの世界では人気で、バリエーションも豊かです。
 上半身が人間というのが一番なじみ深いですが、顔だけが人間であったり、人間体の部分が他の動物であったりする場合があります。
 この半身が魚で更に半身が羊といった別の動物の怪物もSuhurmàsuよ呼ばれ、クルールと対をなす存在もしくはクルールの女性体とも説明されるのですが、ティアマトの11の怪物の中には入っていません。
 またクルールの女性体(いわゆる一般的なイメージでの)人魚はクリルトゥ(Kuliltu)もしくはクリアナ(Kuliana)と呼ばれることもあるようです。
 水と流れを象徴するこの怪物はエア神とも関係があり、エアが淡水の神でもあることからその一部であったとも考えられています。しかし、この女性型であるクリアナはニヌルタ神の神話においてはムシュマッヘ等と同様に討伐される存在となっています。
 のちのギリシャ神話で海と関係ある魔物が魚人型に類推されるようになることとなんらかの関係があるような気もしますが、今後の研究が進んだり資料が見つかる中で補足していければ面白そうです。

 クルールは水という点ではティアマトと合致しているようですが、元はティアマトとは直接の関係がない怪物と考えられています。
 マルドゥク神の格を上げるには、ニヌルタ神と同じかそれ以上の勝利の証が必要なので、彼に倒されるかその配下になってもらわなければならず、ティアマトの11の怪物の中に列席させる必要があったのでしょう。
 あまり戦闘的ではなさそうで、そもそもエア神にも近いのですが、その辺りの矛盾はあまり考慮されていみたいですね。

ここから先は

129字 / 4画像
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?