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【 #ティアマトの11の怪物 】バシュム:毒蛇【4】

 エヌマ・エリシュにおいて3番目の怪物として生み出されたバシュムですが、ここから1番目のムシュマッヘ、2番目のウシュムガルに比べると破格に扱いが変わります。
 3番目から11番目の怪物は単に単語として羅列されるだけであり、その姿についての描写もほとんどありません。
 なので、ここからはエヌマ・エリシュにはほとんど触れず、他の考古学的遺物や文献を基に考えていく必要が出てきます。
 一応、記載されている部分の日本語訳を引用しておきます。

(また)彼女は毒蛇、炎の竜頭サソリ尾獣、怪獣ラハム、巨大なライオン、狂犬、サソリ人間、激しく押し寄せる嵐、魚人間、不思議な野牛、をつくりました。
(すなわち)仮借ない武具*1を身につけ、戦いを恐れないものたちです。
 彼女の指示は重みがあり、逆らうことのできないものです。
 その上こんな十一(の怪物)を彼女は出現させました。

(後藤・矢島・杉 1978)

*1 英訳ではmerciless(King 1902)なので、慈悲のない武器とも解せる。

 ただ、ある意味幸いなことに、3番目以降の怪物には古代オリエントの遺跡にその姿が描写されたであろうレリーフや像が割と残っています。
 バシュムに関してはさらに幸いなことに非常に他の怪物たちに比べてシンプルな蛇ないし竜に角と手が付いたといった趣のレリーフになっています。

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